経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

2月の生産上昇寄与業種は、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、化学工業。化学工業以外の2業種、そして電子部品・デバイス工業は、4月の生産計画が高い水準となる見込み。

輸送、はん用・生産用・業務用機械、化学工業の3業種の寄与が大きい

 平成29年2月の鉱工業生産は、前月比2.0%上昇だった訳ですが、15業種のうち9業種が前月比上昇となりました。

 生産上昇への影響度、寄与が特に大きいのは、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、医薬品を除く化学工業でした。上昇寄与全体の半分弱(8分の3)が、輸送機械工業の上昇寄与でした。残りの上昇寄与をはん用・生産用・業務用機械工業と化学工業で2分している状態です。上昇寄与4位の非鉄金属工業の寄与は、化学工業の7分の1よりも小さく、文字通り、2月の生産上昇はこの3業種の前月比上昇によるものと言って良いと思います。

 

輸送機械工業は、乗用車中心に、先行きも好調

 2月の輸送機械工業は、前月比4.7%と2か月ぶりの上昇、それも大きめの前月比上昇幅となり、その指数値も昨年12月の106.2を超える、106.5となり、平成26年の駆け込み需要期(同年1月106.9)以来の高水準になっています。

 輸送機械工業については、普通乗用車の生産が前月比5.8%上昇、自動車用エンジンの生産が前月比7.9%上昇とけん引役となりました。船舶などを除いた、いわば自動車関連の輸送機械工業の生産は、前月比5.8%上昇で、2月の輸送機械工業の生産は、自動車関連の伸びによって上昇となっています。

 

 翻って、輸送機械工業の先行き生産計画をみると、3月については前月比マイナス3.6%低下という計画ですが、4月については3月比12.5%上昇と急上昇するという計画です。3月の計画値は、昨年12月や今年2月の生産実績に比べると低いですが、昨年の(予測調査ベースの)平均的な生産水準に比べると高い状態です。

 4月の生産計画値はリーマン後である平成21年以降では最も高いレベル(これを上回るのは、平成23年12月調査の翌月見込みだけ)にあり、強気の生産計画となっています。

 

はん用・生産用・業務用機械工業は万遍なく上昇で、リーマン前を伺うレベルに

 2月の鉱工業生産上昇への寄与が2番目に大きかったのは、はん用・生産用・業務用機械工業です。はん用・生産用・業務用機械工業は前月比4.9%上昇で3か月ぶりの上昇となっています。指数値は121.0となりましたが、はん用・生産用・業務用機械工業の生産指数が120台となる、つまり基準年である平成22年の平均生産水準を2割上回るのは、平成20年10月以来であり、ほぼ6年ぶりとなります。この2月のレベルはリーマン後最高というよりも、リーマン前の水準となりつつあると言えるでしょう。

 品目面でも、クレーンなどの運搬機械(建設用ではない)、蒸気タービン部品などのボイラ・原動機、そして数値制御ロボット、プレイバックロボットといった産業用ロボットといった設備投資関連の品目が万遍なく上昇しています。他方、半導体製造装置などが大きく前月比を低下させているのですが、そのような低下があっても全体が上昇しているので、先ほどの上昇品目の勢いが、強かったことがこの面からも推察されます。

 

 はん用・生産用・業務用機械工業の先行き生産計画をみると、3月については前月比マイナス1.1%低下という計画ですが、4月については3月比でプラスの16.3%上昇と急上昇するという計画です。3月は前月比マイナスですが、それでも計画値の水準は昨年平均よりも高く(今年の1、2月実績よりは若干低い)、決して大きく低下するということでもありません。

 さらに、4月の計画値の前年同月実績比は3割増で、この4月の計画値の水準は非常に高く、実績値は言うに及ばず、実績に比べると上振れする計画値においても、今年4月のはん用・生産用・業務用機械工業の計画値を超える値は、平成20年の前半、つまりリーマン前にしか出てきません。

 このように今年4月の輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業の生産計画は、かなり高い水準となっています。

 

 2月の生産上昇寄与3位は、医薬品を除く化学工業で、前月比7.2%上昇で2か月ぶりに大きめの上昇となりました。指数値は103.1ですが、平成28年平均指数96.8、昨年第4四半期98.3と比べても高い水準となりました。この化学工業が、平成21年以降で指数値103台となったのは、実は1回(平成23年6月)しかなく、この面からも2月の化学工業の生産水準がここ数年の中で高い水準にあったことが分かります。

 そのけん引役となっているのは、ファンデーションや合成洗剤などの「下流製品」の消費財でした。特に、化粧品の生産指数は、2月に123.6となりました。化粧品生産指数は平成28年に入って120台に何回か到達していますが、今年2月の指数値は過去最高です。リーマンショック前の指数レベルは、90台ですので、この1、2年で化粧品の生産レベルは歴史的に最高レベルになっていると言えます。

 化学工業の先行き生産計画をみると、3月については前月比マイナス0.9%低下、4月については3月計画比1.2%上昇という計画です。3月の減産計画とはいえ、前回調査の見込み値から1.4%の計画上方修正となっており、当初低かった生産計画が強気になっているという評価ができます。先にもみたように、今年2月の化学工業の生産水準は歴史的にみても高めの水準となっていますが、その水準が向こう2か月維持されるということかと思います。

 ただ、2月の上昇寄与業種である輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業の4月の計画値が大きく盛り上がることと比較すると、化学工業の4月の計画値の盛り上がりは至って控え目という結果でした。

 

電子部品・デバイス工業は前月比低下だが、水準は高い

 一方、2月の鉱工業生産の低下業種をみると、電子部品・デバイス工業が前月比マイナス1.6%低下と最も大きな低下寄与となっています。電子部品・デバイス工業を除く低下5業種の低下寄与を合計しても、電子部品・デバイス工業の低下寄与よりも少なくなっており、電子部品・デバイス工業が主たる低下要因であると言い切れると思います。メモリや中小型の液晶が前月比低下していたほか、発光ダイオード太陽電池セルといった半導体を利用した電子部品類の生産が低下していました。3月実施の生産予測調査の電子部品・デバイス工業の実現率(生産計画と生産実績のズレ)をみると、マイナス12.7%と下方修正となっており、かなり大きめな予測誤りが生じていたようです。

 とはいえ、2月の低下幅を昨年2月の低下幅マイナス16.5%低下と比較すると格段に小さくなっています。指数値も109.1と昨年、平成28年の最高値1月の107.3を上回っており、水準的に高い状態を維持しています。電子部品・デバイス工業の指数値が109~110になるのは、リーマン後では平成27年1月だけですし、そもそもリーマン前の水準も111台ですので、今年の1月の110.9や2月の109.1は、リーマンショック前の水準に相当するレベルと言えると思います。

 

 電子部品・デバイス工業の先行き生産計画をみると、3月については前月比マイナス4.6%低下、4月については3月計画比12.7%上昇という計画です。3月計画は少し大きめの減産となり、前回調査からマイナス5.4%の下方修正となっています。その生産計画の水準は、今年の1月、2月の水準からすると低下しますが、昨年までの2年間の生産実績と比較すると、実績変動の上限値に相当するものであり、前年同月実績比で2割近い増産です。

 4月については、その計画水準は過去の実績に照らして非常に高い水準で、この計画値並みの生産が行われたのは、平成23年2月にまで遡る必要があります。勿論、12%を超える上昇が実際に生じるとは考えにくいですが、仮に伸び率が半分だったとしても、その生産計画の指数は、今年の1月、2月を少し上回るものとなります。電子部品・デバイス工業の先行きは3月の減産を挟んで、4月の生産については強気の見通しとなっているという結果です。

 

 

 

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