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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

中国の非製造業日系現地法人数は、2014年度に減少。新規設立が少なく、卸売業を中心に撤退解散法人数が50法人以上。日本からの中国向け出荷は2015年に低下、中国の日系製造業の売上の伸びも鈍化しており、製造業の中国との取引と、中国の日系非製造業の動きが連動していることが分かる。

 中国の非製造業日系現地法人の取引データを確認すると、現地取引が多いのですが、現地日系企業との取引も多く、それだけなくやはり日本との輸出入取引も多いことが確認できる。そのため、日本の製造業の海外展開における中国の存在感の高まりとともに、日系非製造業の現地法人における中国法人の存在感も高くなってきていました。

 そこで、中国と日本製造業の取引関係についてデータを確認してみました。

 

 日本からの中国向け出荷指数(2010年=100、季節調整済、数量ベース)は、2012年に大きく低下し、2013年第1四半期以降は回復傾向でした。しかしながら、2015年第1四半期以降は再び低下傾向で推移している。

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 2015年の中国における日系現地法人の売上高(速報値)は約2,253億ドルで、そのうち、44.9%を「輸送機械」、26.2%を「電気機械」(電子部品・デバイスを含む)が占めている。2014年の半ば以降になると前年同期比がほぼ0%となり、2015年になると前年同期比がマイナス圏で推移するようになっています。

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 日系製造業の海外現地法人の実質出荷を指数化した海外出荷指数の前年度比をみると、2015年度も、安定的にプラス寄与の北米地域における現地法人の活動が「海外出荷」を支えていたことが分かる。一方、中国からの出荷も3年連続のプラス寄与ではありますが、その寄与の度合いは明らかに小さくなっています。

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 中国向けの出荷の低下、中国立地の日系製造業法人の活動の勢いの鈍化が、中国における非製造業現地法人数に既に2014年末段階で表れていました。

 2014年度における、非製造業海外現地法人の新規設立のうち、中国現地法人の構成比は8%だった一方で、解散・撤退法人では、37%が中国現地法人となっていました。法人数の構成比27%に比べて、中国法人の解散・撤退数の構成比が、かなり高くなっていることが分かります(新設の比率もかなり低い)。

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 中国の非製造業現地法人の新規設立は32社、一方、解散・撤退は141社で、2014年度では、法人「減少数」が「増加数」の約4倍となっています。卸売業の新設14法人に対し、解散・撤退が57法人で、やはり卸売業の撤退が目立っています。

 世界全体の日系非製造業では、法人の新設と解散・撤退の数がほぼ均衡していることに比べ、中国法人の解散・撤退が目立っていることは否定できないと思います。

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 ここまでの4回のブログエントリーをまとめると、次のようになります。

  • 中国に立地する日系非製造業現地法人は、2014年度末で約3,600法人。売上高は約20兆円。2000年度に比べると、ほぼ3倍。
  • 現地法人の多くが、卸売業に分類され、沿岸地域に分布している。構成比では、法人数の約6割、売上高の約85%が卸売業。
  • 従業者数、売上高は、法人数に比べ、世界全体に占める構成比が小さく、1社当たりの規模もほぼ半分。
  • 売上の販売先については、現地販売(国内向け)が3分の2を占め、その中でも地場企業向けが6割を占めるが、売上全体に対する比率では、4割を超えない。広義の日系向けと第三国向けの合計で、ほぼ半分。
  • 仕入については現地調達が半数を占めるが、その中でも卸売業では日系企業からの仕入が多くなっており、広義の日系仕入れが5割を超える。
  • 中国の非製造業の中心は、日系製造業の「販社」であり、そのため沿岸地域の海運交通の便の良い所に立地している。「出先」的性格が強く、出資、人員の面で日本色が濃く、設備投資や研究開発機能はあまりない。
  • 2014年度には、卸売業の新設14法人に対し、解散・撤退が57法人となっており、非製造業全体でも100社以上の減少となっている。世界全体の日系非製造業の新設と解散・撤退は均衡していることと、大きな違いが見えている。

 

 今回のミニ経済分析は、海外事業活動基本調査の2014年度実績データに基づいて、中国における日系非製造業現地法人の状況を定点観測的に確認してみました。今後は、時系列的な変化を確認してみたいと思います。

 

 

 

◎スライド資料

中国における日系非製造業現地法人の実像;2014年度海外事業活動基本調査結果に基づいて|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

 

 

 ◎ミニ経済分析の一覧表

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