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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

中国に設立されている非製造業の日系現地法人は、実は日本の製造企業の中国販社としての性格が強く、出先機関という色合いが濃い。企業としての規模が小さく、完全子会社で、沿岸部に集中という当たりに特徴が出ている。

 中国における日系現地法人というと、製造業のイメージが強いですが、今回は、最新の集計である2014年度実績を集計した「海外事業活動基本調査」のデータから、中国における非製造業の日系現地法人の状況を確認しています。

 前回のエントリーでは、中国に設立されている日系の非製造業現地法人の特徴として、

・100%出資の完全子会社が多い

・香港を含む中国の沿岸部に立地している割合が高い

・企業規模が、他地域の非製造業現地法人に比べると小さい

という特徴をデータ的に確認しました。 

 

 こういった特徴の背景として、業種的な法人数分布をみてみます。

 中国に立地する非製造業の58%(2,075法人)が卸売業で、それに次ぐのが、サービス業でした。3位以降は、運輸業情報通信業、小売業がつづき、それぞれ5~8%の構成比となっています。

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 中国の非製造業現地法人が、世界全体の日系非製造業現地法人に占める構成比は、27%ですが、卸売業だけの現地法人数では、中国の構成比が31%に上昇します。ということは、中国の日系非製造業では、卸売業のウェイトが世界平均よりも大きいということになります。

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 従業員数でみると、中国非製造業現地法人の従業者数は24万3,273人で、世界全体の非製造業現地法人の従業員数の21%を占めています。法人数の構成比27%に比較すると、従業員数では、中国の占める割合が若干低くなっています。

 また、日本人の派遣社員数の比率も高く、中国の現地法人への派遣日本人の半分以上は卸売業法人に帰属しており、中国の日系卸売業法人における日本人派遣者の比率は高くなっています。

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 さらに、授業員数の業種別構成をみると、卸売業が43.7%、次いで小売業16.2%、運輸業14.9%となり、上位3業種で7割以上を占めている。従業員数に占める卸売業の存在感は、法人数における存在感ほどには大きくないようです。

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 売上高でみると、中国非製造業現地法人の売上高は19兆7,578億円、世界全体の非製造業現地法人の14%を占めています。売上高の大部分は、卸売業によるものです。やはり、全世界の法人数における中国の構成比27%に比べ、売上高における中国の構成比は大分低くなっています。

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 売上高の業種別構成比をみると、卸売業だけで84.5%を占め、次いでサービス業4.9%、小売業4.1%、運輸業3.3%となり、これ以外の業種はそれぞれ1%前後と少ない構成となっています。

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 前回のエントリーと併せて、「中国における日系非製造業現地法人の特徴」をまとめると、

  • 中国における日系非製造業現地法人(中国法人)の多くは、卸売業者。世界的にも非製造業海外現地法人の多くは、卸売業者であるが、中国の場合は、若干比率が高い。
  • 中国法人のほとんどが100%出資法人で、特に卸売業ではその比率が高い。また、立地場所も沿海部に集中している。
  • 中国法人の平均像では、他地域の現地法人に比べると規模が小さく、1社当たりの売上規模はほぼ半分。
  • 中国法人の6割が卸売業、従業員数では半分に満たないが、売上では8割以上を占めている。他方、日本人派遣者の半数以上は、卸売業。

といった感じになります。

 

 このような特徴を踏まえると、2014年度段階の中国法人は、いまだ日系製造業の流通網を担っているという性格が濃いものと思われます。そのため、中国に立地する非製造業現地法人では、卸売業の比率が高い上に、その卸売業法人に対する日本側の影響力(出資、派遣人員)が強くなっています。また、企業規模が小さく、「出先」的色彩が強いとも言えます。

 中国においてサービス提供を本業としている現地法人の存在感は、実は小さいと言えるのかも知れません。

 

 次のエントリーでは、卸売業が中心となる日系中国非製造行現地法人の取引の状況について、データを確認していきたいと思います。

 

 

 

◎スライド資料

中国における日系非製造業現地法人の実像;2014年度海外事業活動基本調査結果に基づいて|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

 

 

 ◎ミニ経済分析の一覧表

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