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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

今年10月の第3次産業活動指数は、前月比0.2%と3か月ぶりの上昇だが、6月以降、104を挟んでの狭いレンジの中で上下動している。上昇業種は、情報通信業や「金融業,保険業」だった。

 平成28年10月の第3次産業活動指数総合は,季節調整済指数104.1、前月比0.2%上昇と3か月ぶりの前月比上昇でした(9月分が103.9に下方修正、その結果前月比もマイナス0.1からマイナス0.3に修正)。8月の前月比横ばい、9月の前月比低下からの3か月ぶりの上昇となります。

 今年の6月に指数値が103.9となって以降の5か月間は、比較的高い水準である指数値104を挟んで、動きの小さい推移となっています。このような水準感とは別に、方向感としては、大きくサービス産業の勢いが上昇していくという状態でもありません。

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 さて、平成28年10月の第3次産業活動指数では、11大分類業種のうち、上昇業種が4業種、低下業種が6業種、「医療,福祉」は前月比横ばいとなっています。

 10月の前月比上昇業種の中では、情報通信業、「金融業,保険業」の2業種の上昇寄与が大きくなっています。この2業種は、9月の前月比低下3業種のうちの2業種でした。残る1業種、卸売業は10月も前月比低下となっています。

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 さて、情報通信業は9月に前月比マイナス3.5%低下でしたが、10月に前月比3.4%上昇となり、9月の低下分がほぼ回復したという状況です。9月の低下内訳系列もソフトウェア業や情報処理・提供サービス業でしたが、10月の上昇寄与の大きい内訳系列もやはりソフトウェア業と情報処理・提供サービス業でした。この2系列を含む情報サービス業が前月比7.4%と大きく上昇しました。第3次産業活動指数の前月比0.2%上昇に対するこの情報サービス業の上昇寄与は0.32%ポイントと大きくなっています。

 「金融業,保険業」では、資金決済サービスである「全銀システム取扱高」の寄与が大きくなっています。「金融業,保険業」では、株式取引高である流通業務の変動寄与が大きい傾向がありますが、10月は前月比マイナス2.3%低下と全体とは反対の動きとなりました。銀行の業務の中でも、貸出サービス(金融仲介業務)というよりは、決済サービスが10月には活発でした。10月には臨時福祉給付金の支給開始(振り込み開始)といった特殊要因もありましたが、金融決済業務は9月も前月比上昇であり、資金決済は順調なようです。

 

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 また、寄与は小さくなりますが、小売業も2か月連続前月比上昇の前月比1.1%上昇で、指数値100.8は、今年の小売業の中でも最も高い数値になっています。内訳系列の中では、ホームセンター等の「その他の小売業」、織物・衣服・身の回り品小売業、そして自動車小売業の前月比上昇寄与が大きくなっています。10月の鉱工業指数の出荷指数は,前月比2.2%上昇を見せており、消費財出荷も前月比4.1%上昇と大きめの上昇を見せていました。小売業が2か月連続で前月比上昇となるのは、昨年の9、10月以来のことであり、多少、個人の財需要の回復が見られるのかもしれません(指数値100.8は、昨年10月の指数値101.5以来の水準)。

 

 10月の低下業種の中では、事業者向け関連サービスが前月比マイナス4.0%低下と、特に全体を大きく引き下げています。特に、技術サービス業が、前月比マイナス16.2%低下と大きく低下しています。寄与度でいうと、事業者向け関連サービスの低下の大部分は,技術サービス業によるものとなっています(事業者向け関連サービスの寄与マイナス0.31、技術サービス業の寄与マイナス0.37)。この技術サービス業の低下も、大部分が建設コンサルタントの前月比マイナス32.7%低下です。

 10月の鉱工業出荷では、建設財出荷が、4か月ぶりに前月比3.3%上昇となっていました。橋りょうや鉄骨、H型鋼の出荷が伸びていました。過去の季節パターンからも、公共事業の実際の工事が11月からレベルが上昇するようです。そのため、事前工程となる建設設計等の建設コンサルタントは一服ということかも知れません。

 ただ、建設コンサルタント指数の数年の動きをみると、今年9月の指数値が例年に比べて非常に高い水準となっており、9月に業務(発注)が集中したようです。よって、10月の大きな前月比低下は、10月が落ち込んだというよりも、9月が高すぎたということになるかと思います。

 寄与は事業者向け関連サービスの3分の1程度になりますが、10月の低下寄与2番目は不動産業でした。不動産業は3か月ぶりの前月比低下で、前月比マイナス1.3%低下でした。低下要因は、主にマンション分譲業でした。マンション分譲業は、今年の7月に季節調整済指数で62.2と過去最低レベルになっており、昨年末から今年前半は指数値70台と低レベルに落ち込んでいましたが、9月に大きく上昇しました。しかし、その上昇に持続力はなく、10月には反動的に前月比低下となりました。8月の指数値が78.3、10月の指数値が81.1ですので、今年の前半からすると、まだ若干高い状態ではありますが、昨年の80台後半よりも高い水準で推移していたことからすると低い状態で、前年同月比もマイナス4.2%低下です。

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 10月の第3次産業活動指数は、3か月ぶりの前月比上昇となりました。指数水準としては、リーマンショック前の水準と言って良い104台を維持できている状態ではありますが、その方向感が強い上昇方向を向いているという様相でもありません。業種的にみても、上昇のけん引役は、9月からの反動増業種であり、2か月連続で前月比上昇となった小売業や物品賃貸業の寄与は大きくありません。低下業種についても、2か月ぶり、3か月ぶりに前月比低下となった業種ばかりであり、総合指数が狭いレンジの中で上下動していることが、業種の推移からも分かるようになっています。

 

 

◎結果概要ページ

www.meti.go.jp

 

 

◎図表集スライドショー 

平成28年10月のサービス産業活動 図表集

 

 

 ◎データ公表資料

 

 

 

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