経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年10月の鉱工業生産の評価については、「緩やかな持ち直しの動き」で据え置き。8、9、10月と安定的な推移となっており、年内はこの状態が維持されることが期待出来る。

 平成28年10月の「生産」は、季節調整済指数98.5、前月比0.1%上昇と、3か月連続の前月比上昇でした。上昇幅は小幅でしたが、指数値98.5というのは、今年で最も高く、昨年、平成27年4月の指数値98.9以来の18か月ぶりの高い水準ということになります。

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 平成28年10月の「出荷」は、季節調整済指数98.5、前月比2.2%上昇と、2か月連続の上昇となりました。今年の出荷指数は、1月に96.8、4月に96.0、9月に96.4があったほかは、指数値は95台以下でした。それらからすると、10月の98.5が比較的高い指数値であることが分かります。平成27年の指数値が96.9ですので、9月までの9か月間はその水準に及びませんでしたが、10月には一気にその水準を飛び越えたことになります。

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 鉱工業出荷を需要先用途別の財別分類でみると、10月は全ての財で出荷が前月比上昇となりました。事業の中間投入となる生産財は、鉱工業生産が堅調であるため、前月比2.0%と5か月連続の前月比上昇です。

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 最終需要財も前月比2.4%と前月比上昇でしたが、その中でも出荷全体に対する上昇寄与が最も大きかったのが、耐久消費財でした。10月の耐久消費財出荷は、前月比6.7%上昇と大きく上昇し、これで2か月連続の前月比上昇です。指数値88.0も、平成26年5月に指数値86.9に落ち込んで以降で、最も高い値となりました。
 また、企業が需要する資本財、特に設備投資に用いられる輸送機械を除く資本財の出荷が、前月比2.2%上昇と、5か月連続の上昇で、伸び幅もここ数ヶ月に比べて大きくなっています。輸送機械を除く資本財の出荷指数は114.6と、昨年6月の114.2以来の114台です。出荷全体が基準年(2010年)の100を下回っている中で、特に高い指数値となっています。
 10月は非耐久消費財の出荷も0.5%と小幅ながら上昇だったこともあり、最終需要財の中では、家計向けの消費財(前月比4.1%上昇)の出荷上昇寄与が大きくなっています。勿論、企業向けの投資財の出荷も前月比0.7%上昇であり、特に設備投資向けの資本財は、第3四半期に伸びが鈍化したので若干先行きが懸念されましたが、10月にきっちりと出荷を伸ばし、指数レベルも、特異的に高い水準となった平成27年1月以降では、最も高い出荷レベルとなって、鉱工業出荷をけん引しています。

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 いずれにせよ、出荷が大きく伸びた結果、在庫も前月比マイナス2.1%低下、在庫率も前月比マイナス0.9%低下となり、さらに在庫の重石が低下しています。

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 向こう2か月の生産計画ですが、11月生産見込みの前月比は4.5%上昇が見込まれています。傾向的な予測誤差分を除外する加工をした伸び率を試算した結果では、11月の前月比は1.7%上昇という計算結果となりました。

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 11月の生産上昇は、はん用・生産用・業務用機械工業や電気機械工業ですが、これらの業種は生産計画と実績のブレが比較的大きい業種であり、実績に向けて下方修正が生じるものと思われますので、やはり補正値程度の伸びになるものと思われます。
 12月生産予測は調査結果そのままで計算すると前月比マイナス0.6%低下となります。この低下の主因は、はん用・生産用・業務用機械工業や情報通信機械工業で、これらは11月生産が計画値よりも低下し、その分12月の前月比低下は限定的になるものと思われます。他方、12月生産予測を上昇させているのは、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業や鉄鋼業といった安定生産業種ですので、これらが12月生産の下支えになるものと思われます。よって、12月の生産も、11月の横ばいから微増程度になる可能性が高いと思います。

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 このように、小幅ながらも生産は前月比上昇が続いており、3か月移動平均で見ても安定的な上昇基調にあります。また、10月は出荷が大きく伸びており、家計向けの耐久消費財、企業の設備投資向けの輸送機械を除く資本財が出荷のけん引役でした。11月、12月の生産予測も大きく伸びるというよりは、安定的推移を示唆する結果かと思います。これらの結果を踏まえ、10月の鉱工業生産の基調判断は、「緩やかな持ち直しの動き」とし、9月から据え置きたいと思います。

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