経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

3か月連続の前月比上昇となった平成28年10月の鉱工業生産。電子部品・デバイス工業の生産に勢いが戻っており、乗用車の生産上昇により輸送機械工業も、寄与は小さいが、安定的な動き。

 平成28年10月の「生産」は、季節調整済指数98.5、前月比0.1%上昇と、3か月連続の上昇となりました。指数値98.5というのは、昨年、平成27年4月の指数値98.9以来のレベルで、18か月ぶりの高い水準ということになります。生産指数の推移グラフを見ても、今年の2月に大きく指数値を下げましたが、そこから5月の大きめの前月比低下を挟みつつ、持ち直してきていることが分かります。10月の前月比上昇幅は、0.1%上昇と小幅なものに留まりましたが、ここ1、2年としては高い指数水準で、今年最も高い指数値となっています。

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 10月の鉱工業生産を業種別にみると、速報15業種のうち6業種が前月比上昇、9業種が前月比低下でした。生産上昇業種の中では、最も寄与の大きかったのは電子部品・デバイス工業の前月比4.6%(2か月ぶり)、それに次ぐのが、金属製品工業の前月比3.2%(4か月ぶり)、そして輸送機械工業の前月比0.6%(2か月連続)でした。電子部品・デバイス工業の寄与は、金属製品工業や輸送機械工業の寄与の3倍以上となっており、10月の鉱工業生産に対する電子部品・デバイス工業の寄与が大きくなっています。

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 最も寄与の大きかった電子部品・デバイス工業では、メモリ用の半導体、液晶が大型(中国向けに60インチの大型テレビ用の受注あり)と中小型ともに生産増となっています(フラットパネル製造装置の生産も旺盛)。多少スマートフォン向けなどの生産が戻ってきているようです。ただ、前年水準との比較では、8月に一時的にプラスはあったもの、引き続き前年同月比マイナスです。出荷指数も前年割れが続いており、水準的にはまだ高いとは言えません。

 金属製品工業では、橋りょう、鉄骨といった建設関係の品目の生産が好調でした。公共事業の進捗は11月からレベルが上昇しますが、そこに向けた生産、出荷が好調だったということかと思います。

 寄与3位の輸送機械工業では、引き続き普通乗用車(前月比2.7%上昇)、小型乗用車(前月比12.8%上昇)の生産が順調です。軽乗用車については、生産減で出荷増となり、在庫が前月比マイナス40%以上の低下と大幅に在庫を圧縮しています。

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 低下業種では、はん用・生産用・業務用機械工業、電気機械工業、化学工業といった業種の低下寄与が大きくなっています。特に、はん用・生産用・業務用機械工業では、半導体製造装置、運搬用のクレーン、圧縮機といった9月の生産を上昇させていた品目が軒並み反動的に低下しています。また、これらの品目では、反動に加えて、生産計画における見込み違いも発生したようです。

 10月の鉱工業生産は前月比0.1%(製造工業だけでは0.3%)上昇で、3か月連続の前月比上昇です。指数レベルとしても、今年1月を超えた9月の水準を維持し、ほぼ1年半ぶりの高い水準となっています。業種的には、輸送機械工業の生産が安定した推移で全体の下支えとなり、電子部品・デバイス工業が、水準的には昨年に比べ落ちるものの、今年1月に次ぐ生産指数へと盛り返してきています。他方、反動的な低下と目算違いが生じたはん用・生産用・業務用機械工業が生産を低下させていたのが特徴かと思います。

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