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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

日本からの輸出と海外生産のアメリカ向け出荷;日系製造業のアメリカ市場への「総供給」を試算してみました

 4年ごとの大きなイベントであるオリンピックとアメリカ大統領選挙が終わりました。アメリカの大統領選挙では、政権が民主党から共和党に移ることになり、今後、どのような経済政策、貿易政策がとられるのか、注目されます。

 そういった喧々囂々の政策論議の前に、まずはアメリカ市場と日系製造業の関係がどうなっているか、データを確認してみることにしました。

 

 まず、日系の製造業のアメリカ市場への総供給がどのように推移しているのか確認してみましょう。「アメリカ市場への総供給」とは、

①日本国内拠点からアメリカへの輸出(日本から)

②アメリカに立地する日系現地法人の現地向け出荷(現地から)

③アメリカ以外の北米地域の日系現地法人のアメリカ向け出荷(域内他国から)

④北米以外に立地する日系現地法人のアメリカ向け出荷(他地域から)

の4つのルートで、日系製造業がアメリカ市場に供給(出荷)した総量です。

 

 これらは、鉱工業出荷内訳表とグローバル出荷指数を用いて計算することができます。

 平成27年暦年のデータで、各ルートの構成比を確認すると、①が26.0%、②が61.3%でした。この2ルートが主な供給ルートで、アジア等北米地域外の日系企業のアメリカ向けの出荷の構成比はそれ程高くありません。

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 では、それぞれのルートの供給指数の時系列推移を確認してみます(平成22年=100の指数の四半期数値)。

 アメリカ市場への日系製造業の総供給は、平成21年第1四半期を底に増加しており、この底から直近の平成28年第2四半期までで、108.2%増加と、ほぼ2倍となっています。平成27年の日本市場への国産品供給指数は、96.3と基準年を下回っていることから、「日系製造業の成長にとってアメリカ市場が如何に重要か」ということが伺えます。

 また、日本からの輸出に比べ、現地からの供給のグラフの伸びが大きく、アメリカへの総供給の伸びの大部分は、アメリカ現地に進出した現地法人からの出荷の伸びによるものです。日系製造業にとって供給拠点としてのアメリカの重要性も増加しているということになります。

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 さらに、日本国内拠点からアメリカ市場への出荷の内容を別の角度からみてみます。

 日本国内からのアメリカ向けの輸出は緩やかに上昇していますが、その財別内訳で見てみます。財別分類とは、その財の需要先がどのような用途を持って需要るのかという観点からの分類です。これをみると、消費財(最終製品)の割合が減り、企業の生産活動の部品や原材料となる生産財が量的に構成比としても増加しています。つまり、日本からのアメリカ市場向け輸出では、最終製品から部品や原材料へのシフトが生じていることになります。

 

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 北米地域の日系企業視点でみると、その調達の現地化も進んでいますが、実はその現地調達に占める日系企業からの調達は現地調達の4割以上あります。

 この日系現地調達に日本からの輸入を加えた「広義の日系調達」の全調達に占める割合は、平成26年度で5割を超えており、出荷が伸びているアメリカの現地法人の調達では、いまだ日系色が濃厚です。

 

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 このように、日系の製造業とアメリカ市場との関係は密接であり、政権交代後の政策の如何に関わらず、日系製造業のアメリカ向け供給活動が、産業活動の動向をみる上で重要であることに変わりはありません。製造業における太平洋を挟んだリンケージを踏まえて、議論は進んで欲しいと思います。

 

  

◎ひと言解説の一覧表

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