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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

9月鉱工業指数まとめ-鉱工業出荷は、国内向け出荷にけん引されて前月比上昇、輸出向け出荷も3か月ぶりに上昇。

1.出荷(国内向け、輸出向け)
 平成28年9月(確報)の鉱工業出荷は、指数値で96.4、前月比1.8%上昇(8月確報94.7、前月比マイナス1.1%低下)と2か月ぶりの前月比上昇でした。この指数値は、今年1月の96.8に次ぐ高いレベルです。今年は、2月、5月、8月の出荷において大きめの前月比低下がありましたが、徐々に回復してきているようです。

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 9月の国内向け出荷は前月比1.6%上昇と2か月ぶりの上昇、輸出向け出荷は前月比3.8%と3か月ぶりの上昇でした。特に、国内向け出荷の指数値95.9は、今年で最も高い指数ですし、輸出向け出荷の指数値99.3も、今年1月の100.7に次ぐ高いレベルで、共に今年のレベルとして高い指数になっています。

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 出荷全体に占めるウェイトは、国内:輸出=4:1程ですので、9月の鉱工業出荷の上昇に対する寄与は、国内向け出荷分が大きいのですが、輸出向け出荷の上昇寄与の大きさも、国内向けの半分を超えており、9月の出荷上昇に、輸出向け出荷も相当程度寄与していることになります。

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 第3四半期でみると、国内向け出荷は前期比1.2%上昇で2期連続の前期比上昇です。輸出向け出荷も前期比0.4%上昇で2期ぶりの前期比上昇です。相対的に国内向け出荷が伸びていたので、輸出依存度(出荷全体に占める輸出向け出荷の割合)が低下してきています。
 

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 9月の国内向け出荷の業種別分類をみると、輸送機械工業(前月比5.5%上昇)の上昇寄与が特に大きくなっています。

 8月の輸送機械工業の国内向け出荷は低下していましたが、9月では乗用車、自動車部品を中心に回復してきたようです。他方、情報通信機械工業(前月比マイナス17.0%低下)、電子部品・デバイス工業(前月比マイナス5.2%低下)の低下寄与が大きくなっています。特に、情報通信機械工業の8月の国内向け出荷の上昇幅が大きく水準も高かった(概ね指数値40台で推移しているが、久方ぶりに指数値50台となっていた)ため、大きく反動的に低下しています。

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 国内向け出荷の需要先別用途別分類(財別分類)では、生産財の国内向け出荷は前月比0.3%と微増でしたが、最終需要財の国内向け出荷は前月比2.5%上昇で、建設財を除く内訳が全て前月比上昇でした。9月の国内出荷の上昇は、最終需要財の寄与によるものでした。
 特に消費財の国内向け出荷は前月比2.8%上昇と2か月ぶりに前月比上昇となりました。国内出荷の上昇に対するプラス寄与も、投資財の4倍に近い状況でした。その内訳では、非耐久消費財の寄与が大きく、食料品・たばこ工業、化学工業の家計向け財の出荷の勢いが強かったようです。

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 9月の輸出向け出荷は、業種的には輸送機械工業(前月比4.6%上昇)の上昇寄与が大きくなっています。また、輸送機械工業の半分程度の寄与ですが、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業も、輸出向け出荷の上昇に寄与しています。9月は機械工業(加工型業種)の輸出向け出荷が全体のけん引役でした。

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 財別でみると、鉱工業生産財(前月比4.1%上昇)の上昇寄与が非常に大きく、最終需要財の上昇寄与のほぼ倍の大きさです。電子部品類や自動車部品などの輸出向け出荷が好調でした。

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 さらに、輸出向け出荷の仕向け先別の動きをみると、米国向け出荷が2か月ぶりに前月比6.4%上昇となり、9月の輸出向け出荷上昇寄与が最も大きい地域でした。中国向け出荷も2か月ぶりに前月比3.4%上昇でした。他方、ASEAN向け出荷、欧州向け出荷、韓国向け出荷は前月比低下となり、輸出向け出荷の押し下げ要因となっていました。

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4.在庫、在庫循環
 平成28年9月(確報)の在庫指数は110.9、前月比マイナス0.5%低下と、2か月ぶりの低下となりました。生産が前月比プラス、出荷も前月比プラスの元で、在庫低下となり、出荷の勢いが強いことが分かります。

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 主に、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、食料品・たばこ工業の在庫減が全体の在庫水準を引き下げました。電子部品・デバイス工業や電気機械工業は生産低下業種でありますので、生産抑制によって在庫水準を引き下げていることになります。
 生産上昇寄与の大きかった輸送機械工業の在庫は、小型乗用車などの在庫減により低下ですが、それに次ぐ生産上昇寄与であったはん用・生産用・業務用機械工業は、建機類の在庫積み上がりによって、在庫が前月比上昇となっています。

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 第3四半期の生産は、9四半期ぶりに前年同期比プラスとなりましたが、在庫についても10四半期ぶりに前年同期末比でマイナス2.0%低下となりました。
 そして、生産と在庫の前年同期比でみる「在庫循環図」では、この第3四半期に「意図せざる在庫減局面」に移行しました。在庫循環は、今年の第1四半期に一時的に「逆走」し、「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に移行しかかりましたが、第2四半期には、在庫調整局面の「半ば」にまで局面が進みました。そして、第3四半期には、さらに在庫調整が進んで、景気上昇期に散見される「意図せざる在庫減局面」となりました。

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 ただ、在庫指数自身は110台となっており消費税率引き上げ前の水準からするとまだ高い状態です。また、第3四半期の在庫率は前期比マイナス1.0%低下で、今年前半の116台に比べると低下していますが、まだ前年水準からすると高い状態です。やはり、出荷のもう一段のかさ上げを期待したいところです。

 

 

 

◎鉱工業図表集

 

◎鉱工業指数確報 データ冊子

 

◎ 鉱工業出荷内訳表、総供給表

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