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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

目下、在庫調整が進捗しているようです。では、在庫水準を引き下げているのは、何だったのでしょうか?

 下図は、経済産業省が公表している鉱工業指数の在庫循環図です。

 今年の第1四半期(図中「28Ⅰ」)までの約1年半は、生産指数(横軸)の前年水準割れが続いているにも関わらず、在庫(縦軸)は前年同期比プラスが続いており、在庫循環がなかなか進捗しない状況にありました。

 しかし、第2四半期(図中「28Ⅱ」)には、ようやく在庫が前年並みの水準まで低下し、速報ではありますが、第3四半期(図中「28Ⅲ速」)には前年比でマイナスになるなど、本格的に在庫調整が進んでいるようです。

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 在庫調整を推し進めた業種は何でしょうか?下グラフは、第2四半期と第3四半期の、業種細分類別に見た前年同期比への寄与です。

 プラスに寄与している(在庫積み上がり要因の)上位3業種は、両期間で共通しており、鋼半製品等の「鉄素製品」、太陽電池モジュールなどを含む「その他の電気機械」及び「清涼飲料」でした。

 マイナスに寄与して在庫調整を推し進めた上位の業種も、両期間で概ね共通しており、第2四半期の上位7業種(「乗用車」、「土木建設機械」、「計測機械」、「農業用機械」、「集積回路」、「ファインセラミックス」、「トラック」)は、第3四半期でも上位8位までに入っており、新たな顔ぶれは第3位の「プラスチック」のみです。

 

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 更に品目を特定したところ、第2四半期に大きく低下に寄与したのは、乗用車のうち軽乗用車や普通乗用車、土木建設機械のうちショベル系掘削機械等でした(下左グラフ参照)。

 業種細分類に立ち返ってみると、乗用車の生産指数(原指数)の前年同期比はプラスで(+0.6%)、出荷指数の前年同期比は更に上昇しており(同+1.8%)、出荷の増加が在庫を減少させたようです。

 他方、土木建設機械では出荷は減少しており(同マイナス12.1%)、主として生産を減少させることで(同マイナス16.8%)在庫を抑制しているようです。

 なお、第3四半期に大きく低下に寄与した(下右グラフ)、鉄鋼製品の原料となるフェロニッケルやノートパソコン、カーナビゲーションに用いられるアクティブ型液晶素子(大型)も、生産を減少させることで在庫を抑制している模様です。

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 在庫調整が進むのは全体としては前向きな動きなのですが、生産拡大につながる「出荷増による在庫低下」という動きがみられる業種は、まだ限られているようです。

 

  

◎ひと言解説の一覧表

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