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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

8月鉱工業指数まとめ-8月の生産能力は前月比横ばい。一時的に設備投資関連の財・サービスの提供も一服。他方、個人向けの財、サービスともにやはり8月は前月比低下。

まとめページ 個人消費 生産能力指数 鉱工業指数

1.生産能力と資本財出荷、投資向けサービス

 平成28年8月の生産能力指数は、前月から変化なしとなりました。
 電子部品・デバイス工業、金属製品工業、パルプ・紙・紙加工品工業では生産能力が増加していましたが、繊維工業、窯業・土石製品工業では生産能力が減少し、製造工業全体では、能力横ばいとなりました。

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 前年水準との比較では、13か月連続でマイナスが続いており、低下基調が続いています。指数値94.4も、現行基準の指数では平成20年1月以降の最低値で、ほぼ30年ぶりの低水準となっています。

 8月の生産能力指数を機械工業と非機械工業(製造工業から機械工業を除いた分類)の動きでみると、非機械工業では、95か月連続で前年水準を下回る状態が続いており、余剰設備の削減が続いています。前月比も2か月連続でマイナス0.1%低下となりました。機械工業でも、今年に入ってからは1月から7か月連続で前年水準割れとなっていましたが、8月は前月比も前年同月比も横ばいで、動きの少ない状態です。

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 過去の生産能力指数と稼働率指数の散布図(循環図)をみると、生産能力指数が継続的な上昇局面に転換したのは、稼働率指数が110前後になったタイミングでしたが8月の稼働率指数は98.7と、前月比上昇とはいえ、この8月と7月の平均でも転換点の稼働率指数にはまだまだ及ばない状況でした。

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 生産能力の微減が続く中、この数ヶ月は、設備投資関連の指標の推移は堅調でしが、8月にはさすがに一服という感じです。
 輸送機械を除いた設備系の資本財の国内向け出荷は、今年の3月以降5か月連続で前月比上昇が続いていましたが、この8月に半年ぶりに前月比マイナス1.1%低下となりました。その指数値は112.8と7月に次ぐ今年2番目に高い値です。前期比4.2%上昇となった第2四半期の指数値が111.1なのですが、7、8月の平均が113.4ですから、それ比べてまだ高い水準ではあります。


 また、第3次産業活動指数の投資向けサービス活動指数も8月は、3か月ぶりに、前月比マイナス2.3%低下となりました。前年同月比はまだまだプラスですので、劇的に水準が落ちているということではありませんが、第2四半期の102.0という指数値からは少し低下しています。
 ただ、この投資向けサービスの低下には、建設コンサルタントやエンジニアリングといった設計関連の技術サービスが8月に低下した影響が響いています。これらのサービスの8月の低下については、海外からの発注の低下が大きく影響しているようであり、この投資サービスの前月比低下が、国内企業の投資意欲の減退を示すものではないようです。

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 9月実施の製造工業予測調査の結果では、輸送機械を除く資本財の9月の生産見込みは前月比2.0%上昇、10月は前月比5.1%上昇と2か月連続で。大きめの上昇が見込まれています。9月の生産計画は、8月時点における生産計画から上方修正されていますので、設備類のメーカーの見通しは強気と言って良いと思います。

 これらの資本財や投資向けサービスの需要先には、非製造業も多いですし、製造業の設備投資も、そのほとんどが更新投資向けと思われ、なかなか生産能力指数の上昇には結実していかないのかも知れませんが、引き続き国内企業の投資意欲が堅調に推移してくれることを期待したいところです。

 

2.消費財出荷と個人向けサービス

 8月の消費財生産は、前月比マイナス0.4%低下、消費財出荷は、前月比マイナス4.2%低下でした。このうち、消費財の国内向け出荷は、前月比マイナス3.4%低下、特に、耐久消費財は前月比マイナス4.2%低下と大きく低下し、7月は全く逆の動きとなりました。耐久消費財の国内向け出荷の内訳をみると、輸送機械工業(乗用車)の影響が大きく、また電気機械工業(民生用電気機械)の低下によって、全体が押し下げられています。これも、7月とは正反対の動きです。

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 平成28年7月の第3次産業活動指数では、対個人サービスは前月比マイナス0.1%低下と2か月連続の低下でした。特に、景気変動や所得環境の影響を受けやすいと思われる「し好的個人向けサービス」が、前月比マイナス0.7%低下と2か月連続で前月比低下となり、個人サービス全体の足を引っ張っています。

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 その中でも、7月の小売業活動指数は、前月比1.0%の低下となりました。悪天候の影響もあり、ホームセンターへの客足が鈍ったため「その他の小売業」などが低下となっています(7月の調子が良かった事の反動という面もある)。
 個人向けのサービスという意味では、生活娯楽関連サービスが前月比マイナス1.5%と2か月連続の低下で、前年同月比はマイナス3.1%低下と大きな落ち込みを見せました。
 8の個人向けの産業活動にみると、財の供給活動も7月からの反動もあり低下、サービスの供給活動も、生活必需的な部分を除くと、悪天候の影響もあり低下ということになります。

 9月実施の製造工業予測調査の結果では、耐久消費財の9月の生産見込みは前月比上昇、10月も前月比上昇見込みとなっており、強めの生産計画です。非耐久消費財については、9月は前月比プラスですが、10月はかなり大きめのマイナスが既に予想されています。その水準は、前年同月実績を下回っています。非耐久消費財の生産見込みは必ずしも順風満帆ということではないようです。 

 

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◎図表集