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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

8月鉱工業指数まとめ-8月は輸送機械工業の国内向け出荷や、主要地域向け輸出が低迷し、鉱工業出荷は前月比低下。とはいえ、在庫調整は着実に進展。

1.出荷(輸出向け、国内向け)

 平成28年8月(確報)の鉱工業出荷は、指数値で94.7、前月比マイナス1.1%低下(7月確報94.7、前月比0.7%)と3か月ぶりの前月比低下でした。7、8月の出荷指数の平均が95.3で、第2四半期の指数値94.9よりは高い状態ではありますが、多少勢いにかける点は否定できないと思います。

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 8月の国内向け出荷は前月比マイナス1.2%と3か月ぶりの低下、輸出向け出荷は前月比マイナス1.8%と2か月連続の低下でした。8月の鉱工業出荷の低下は、この2か月好調だった国内向け出荷の低下寄与による部分が大きいのですが、輸出向け出荷が2か月連続低下寄与というのも気になる所です。

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 8月の国内向け出荷の業種別分類をみると、輸送機械工業の低下寄与が非常に大きくなっています。8月は国内向けの乗用車の出荷が一服しているようでした。他方、電子部品・デバイス工業では前月比9.6%上昇、情報通信機械工業では前月比15.5%上昇と、生産上昇業種の国内向け出荷の前月比上昇が顕著でした。

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 国内向け出荷の需要先別用途別分類(財別分類)では、生産財の国内向け出荷は前月比1.5%上昇でしたが、最終需要財では、その内訳が全て前月比低下でした。特に消費財の国内出荷は前月比マイナス3.4%と3か月ぶりに前月比低下でした。国内出荷の低下に対するマイナス寄与も、投資財の倍に近い状況で、個人消費向けの財出荷が弱かったようです。

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 また、輸出向け出荷は、2か月連続の前月比低下ですが、指数値95.7も、昨年の指数値99.8からは大分落ちてきており、第2四半期の97.1からも低くなっています。9月に相当輸出が回復していないと、第3四半期の輸出向け出荷は2期連続の前期比低下ということになりかねません(第2四半期は前期比マイナス0.7%低下)。
 8月の輸出向け出荷は、業種面では、はん用・生産用・業務用機械工業や化学工業の低下寄与が大きく、財分類面では、生産財と耐久消費財の低下寄与が大きくなっていました。

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 さらに、輸出向け出荷の仕向け先別の動きをみると、米国向け出荷が3か月ぶりの前月比低下となり、8月の輸出向け出荷低下へのマイナス寄与が大きくなっていました。中国向け出荷も3か月ぶりの前月比低下で、輸出向け出荷の低下要因となりました。欧州向け出荷も同様です。
 主要地域では、ASEAN向け出荷が2か月ぶりに前月比上昇とはなりましたが、主要地域向け出荷は軒並み3か月ぶりの低下となっており、なかなか輸出向け出荷の先行きに期待ができない結果となっています。

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2.在庫、在庫循環

 平成28年8月(確報)の在庫指数は111.5、前月比0.3%上昇でした。生産が前月比プラスで出荷は前月比マイナスだったので、在庫が若干上昇しました。主に、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業、食料品・たばこ工業といった業種の在庫が上昇要因となりました。3か月ぶりの前月比低下となった鉄鋼業や、4か月連続で在庫を低下させているはん用・生産用・業務用機械工業などの業種における在庫の低下が、全体を押し下げていました。

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 生産と在庫の前年同期比でみる「在庫循環図」においても、今年の第1四半期に一時的に「逆走」し、「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に移行しかかりましたが、第2四半期末の段階では、在庫調整が進捗し、在庫調整局面の「半ば」にまで局面が進んでいます。7、8月の生産平均の前年同月比と8月末在庫の前年同月比でみた在庫循環は、早くも「意図せざる在庫減局面」という、景気回復の時期に見せることの多い領域に入っています。マイナス4.2%低下に対し、在庫は前年同月比マイナス1.8%低下と、さらに在庫調整が進んでいます。

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 昨年9月末の在庫の原指数が112.8、今年の8月末の原指数が115.0なので、9月末の在庫の前年同月比がこの在庫循環図ほど低下するとは思えませんが、それでも、この第3四半期中も着実に在庫調整が進んでいることが伺えます。
 是非とも、このまま在庫調整が一気に進むことを期待したいところです。

 

 

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◎図表集