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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

対事業所サービスも前月比低下ではあるが水準が高い。やはり、8月の悪天候の影響があり、し好的個人向けサービスの動きが悪く、今年度にはいって低位安定推移

 第3次産業全体を対個人と対事業所に分けて集計したものをみてみます。
 平成28年8月は、広義対事業所サービスが前月比マイナス0.2%低下、広義対個人サービスが前月比マイナス0.1%低下と、ともに微減となりました。

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 対個人サービスでは、5か月連続で前年水準を下回る状態が続いており、2か月連続で前月比も低下しています。6月には前月比プラスでしたが、その前の3~5月は前月比マイナスなので、今年に入っての8か月間では、半分以上の5回が前月比マイナスですし、年度明けの4月以降の5か月では4回が前月比マイナスと、方向感が悪い状態が続いています。
 対個人と対事業所の指数のグラフをみても、上り調子の対事業所サービスと、ここに来てダウンスロープが明瞭になっている対個人サービスとで、動きの違いははっきりしています。

 対個人サービスの8月は、指数値104.2で、平成27年度の105.1からは少し低い水準です。前年同月比は8月マイナス0.7%低下で、4月以降5か月連続して前年水準を下回っています。

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 8月の対個人サービスの前月比低下への寄与の大きい個別系列を確認すると、プロスポーツ、ホテル、「その他の小売業」、「遊園地・テーマパーク」といった系列が並んでいます。これは、対個人サービスを2つに分類した指数のうち、「し好的個人向けサービス」に属する個別系列です。8月は、対個人サービスを2つに分けたもう一つの指数である「非選択的個人向けサービス」活動指数は、2か月ぶりに前月比0.4%上昇となっていますので、8月は「し好的個人向けサービス」の低下により、対個人サービスが低下となったことになります。

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 「非選択的個人向けサービス」と「し好的個人向けサービス」の指数の動きをグラフで比較してみると、大きな違いがあることが分かります。
 非選択的サービスは、平成26年4月の消費税率引き上げ直前に多少の盛り上がりはありましたが、相対的に消費税率引き上げの影響は軽微でした。その後、上昇基調で推移しています。今年の3月に「医療,福祉」の指数が急上昇したため、グラフではそこに一山できていますが、それを除けば、ここ1年ほどは、指数値は108に少し足りないレベルで安定しています。

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 他方、し好的サービスは、環境変化の影響を受けやすいので、消費税率引き上げ時に大きく低下し、足元でも、それ以前の水準には戻れていません。さらに、指数グラフは、昨年1月前後をピークに緩やかに低下しています。後方3か月移動平均で、指数の動きをみると、そのようなダウンスロープが、ほぼ1年間続いており、その後今年度に入ってからは、月々の上下動はあるものの、均すと100.6前後の低位安定の推移となっています。

 

 また、8月では、観光関連産業活動指数が大きく低下したのも、個人向けサービスを引き下げる要因でした。観光関連産業活動指数は、8月指数値101.7、前月比マイナス3.7%低下と5か月ぶりに低下となりました。ここには、やはり8月の悪天候の影響が如実に表れています。

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 というのも、観光関連産業活動指数を構成する個別系列のほとんどが、8月は前月比低下となっていましたが、日本の国内旅行代理店が扱った外国からのお客様の取扱高である「外人旅行」と日本人の海外旅行取扱高である「海外旅行」は前月比上昇なっていたからです。やはり、8月の日本人の国内観光には、悪天候という国内要因がマインド面を含めて、響いたことは否めないと思います。

 

 とはいえ、ここしばらくの観光関連の動きが芳しくないのも事実です。
 観光関連産業活動指数は、昨年の前半は上り調子であったのですが、夏場以降停滞気味で推移しており、この8月に大きな前月比低下を見せました。主に、ホテル、遊園地・テーマパーク、航空旅客運送業といった個別系列が低下に寄与していました。昨年も8月の観光関連産業活動指数は、前月比マイナス1.2%低下でしたので、過去に比べると、8月に観光が集中するということでもないようです。
 観光関連サービスに対する需要が芳しくないところに、かなりの悪天候が重なって、8月の観光関連産業活動指数は大きく低下しました。是非とも、9月には反動増してもらいたいところです。

 

 さて、対事業所サービスは、8月は前月比微減ではありますが、継続的に前年同月水準を上回っており、8月の前年同月比も2.5%上昇と17か月連続の上昇です。リーマンショック後のこの系列の指数としては高いレベルである103台も維持されています。
 対事業所サービスは、その提供先の事業所の業種に応じて、製造業依存型サービスと非製造業依存型サービスに分けて集計することができます。それぞれの8月の指数をみると、製造業依存型サービスでは指数値98.5、前月比1.2%上昇と3か月連続の上昇、非製造業依存型サービスでは指数値105.0、前月比マイナス0.8%低下と3か月ぶりの低下となっています。

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 鉱工業指数については、今年の6月、そしてこの8月にも基調判断を上方修正しており、製造業は資本財生産を中心に少しずつ上向き調子となっています。その結果、製造業の事業所が需要するサービスの需要も伸びてきているということになります。
 非製造業向けのサービスについても、8月は前月比低下とはなりましたが、四半期の指数の推移においてここ1年前期比マイナスがない状態であり、前年同月比も全くマイナスのない状態が続いています。指数値も8月は105.0で、平成27年度の平均指数値104.2を上回っており、好調さが持続しています。
 鉱工業生産やサービス提供が活発化すると、企業の資本財や事業所向けサービスへの需要が高まるという好循環が生じているようです。

 ただ、鉱工業生産において消費財の生産、出荷が、資本財に比べて不調であるのと同様に、サービスにおいても対事業所サービスの堅調さとは対照的に、対個人サービスの方向感の悪さが明瞭になってきています。

 是非とも、企業の生産・サービス提供と需要の好循環の余波が、個人のサービスや財に対する需要増に結びついて欲しいものです。

 

 

 

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◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

◎図表集スライドショー 

平成28年8月のサービス産業活動 図表集

 

 

◎「第3次産業活動指数についてネットで分かること」

サービス産業について知りたいあなたへ ~第3次産業活動指数についてネットで分かること~|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

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