経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

悪天候の影響もあり生活娯楽関連サービスは前月比低下(2か月連続)だったが、卸売業などは前月比上昇(3か月連続)となったため、8月の第3次産業活動指数は前月比横ばい。指数レベルは昨年に比べて高めで推移。

 平成28年8月の第3次産業活動指数総合は,季節調整済指数104.1、前月比横ばいでした。

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 指数値104というレベルは、過去を振り返ると「象徴的な」レベルとなっています。

 平成20年、2008年6月に、前年のいわゆるサブプライム・ローン問題もあって、第3次産業活動指数総合の指数値が104を割り込み、その後、指数値は99を割り込むレベルにまで大きく低下しました。勿論、回復はしてきますが、消費税率引き上げ直前の平成26年、2014年3月に一時的に105.5とはなったものの、それを除くと、第3次産業活動指数は、104台になかなか到達しませんでした。

 しかし、今年に入って第3次産業活動指数は、やっと消費税引き上げ前のレベルを超えるようになり(平成26年1、2月平均が103.5で、今年の1月からは、5月を除いて、指数値103.5以上が続いている)、そして、2か月連続で指数値104台を超えるという状態になりました。104台というのは、2008年に大きく経済状況が悪化する前の指数水準への鳥羽口という意味で、「象徴的な」レベルであり、今後、さらに指数値105台へと進んで行って欲しいものです。

 

 さて、平成28年8月の第3次産業活動指数では、11大分類業種のうち、上昇業種が4業種、低下業種が7業種となっています。 

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  8月の上昇業種のうち、影響度合い(寄与度)が大きかったのは、卸売業、情報通信業、不動産業の3業種でした。逆に、低下業種のうち影響度合い(寄与度)がマイナス方向に大きかったのは、生活娯楽関連サービス、事業者向け関連サービス、小売業でした。 

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  卸売業は、3か月連続前月比上昇で、特に、ここの所、産業使用者向け卸売業の堅調さが目立ちます。産業使用者向け卸売業の8月指数値は98.1ですが、平成27年度の指数値が91.6ですので、昨年度のレベルを大きく上回っています(小売業向け卸売業の指数値は8月97.5,平成27年度96.4)。8月も産業使用者向けである鉱物・金属材料卸売業の上昇寄与が最も大きくなっています。

 情報通信業では、情報サービス業が2か月ぶりに前月比6.5%上昇と大きく上昇しています。内訳業種も全て前月比上昇であり、特にソフトウェア業の上昇寄与が大きくなっています(受注ソフトとゲームの寄与が同じ)。

 不動産業については、マンション分譲業が前月比25.9%上昇となりました。ただ、前年同月比はマイナス12.0%低下と昨年の水準から1割以上も低い状態が続いています。そもそも、マンション分譲業の指数値は、前月比が大きく上昇した8月でも78.3と、基準年の8割未満と低い水準です。戸建住宅売買業が129.4、土地売買業が131.7となっていることと対照的です。やはり、8月のマンション分譲業の前月比上昇については、60台という非常な低水準となった7月の反動であるという評価です。

 

 翻って、低下寄与となった生活娯楽関連サービスでは、娯楽業が前月比マイナス8.5%低下と、全体を大きく引き下げています。やはり、台風が8月は4回も日本に上陸するなど、全般的に天候が良くありませんでした。このため、夏休み期間で稼ぎ時の「遊園地・テーマパーク」(前月比マイナス23.6%低下)やスポーツ観戦(プロスポーツ)(前月比マイナス17.6%低下)などが大きく低下しています(昨今、指数レベルの上がっている相撲興行の開催がない月というのも響いています)。

 また、天候が悪く客足が鈍ったため、7月調子が良かったこともあり、ホームセンターなどの「その他の小売業」が前月比マイナス2.2%低下となり、小売業全体の押し下げ要因となりました。

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  この2業種のほか、事業者向け関連サービスも前月比マイナス2.0%低下となりました。8月は、土木・建築サービス業のうち、建設コンサルタントが前月比マイナス34.2%低下と大きく低下しています。この建設コンサルタントを含む技術サービス業は、4月に指数値119.0というかなり高い値となった後、5月から4か月連続で前月比低下となっています。技術サービス業の前年同月比は、6か月連続でプラスを維持していますので、水準としては比較的高いのですが、事業者向け関連サービスの先導役であった技術サービス業でも一服感が出ているようです。

 ただ、建設コンサルタントの8月の低下については、海外からの受注が落ちている影響が大きかったようです。実は、同じ技術サービス業の内訳であるエンジニアリング業でも、前年に比べて海外からの受注が5割近く落ち込んでいるようです。となると、8月の技術サービス業の低下には、外需低下の影響が大きく、国内企業の需要低下の影響は限定的なのかもしれません。

 

 なお、8月の第3次産業全体の動きへの寄与の大きかった業種のうち、上昇業種では、卸売業が3か月連続の上昇でしたが、情報通信業、不動産業は4か月ぶりの上昇でしたし、低下業種では、生活娯楽関連サービスが2か月連続の低下でしたが、事業者向け関連サービスは3か月ぶり、小売業は2か月ぶりの低下となっています。

 各業種の指数の方向感に、第2四半期とは異なる動きが出てきているようです。

 

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平成28年8月のサービス産業活動 図表集

 

 

◎「第3次産業活動指数についてネットで分かること」

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