経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

学習塾と外国語会話教室の生産性(その2);外国語会話教室の労働生産性は、2007年に大きく低下し、その後緩やかに上昇。単価要因で生産性が上昇している(価値志向)

 サービスビジネスの生産性は、従前より、日本の産業経済にとって重要なテーマでした。昨今、改めて「サービスビジネスの生産性」が話題に上ることが多くなっています。そこで、今回は、典型的な労働集約型のサービスビジネスである「学習塾」と「外国語会話教室」を例に、サービスビジネスの労働生産性の変化には、どのような要素が影響するのかを、第3次産業活動指数や特定サービス産業動態調査などのデータを用いて検証してみたいと思います。

f:id:keizaikaisekiroom:20161004100451p:plain まず、今回検討の対象とする「学習塾」と「外国語会話教室」ですが、それぞれの従業員1人当たりの売上高(平成24年 経済センサス活動調査)をみると、学習塾で345万円、外国語会話教室では574万円でした。人が人に教えるというビジネスですので、当然労働集約的な産業な訳ですが、その中でも、とりわけ従業員1人当たりの売上高=労働生産性が低くなっています。

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 さて、この学習塾と外国語会話教室の活動状況を見てみます。
 第3次産業活動指数では、この2つのサービスビジネスの活動レベルをあらわす指数を毎月作成しています。
 年単位の学習塾の活動指数では、この10年以上の期間、あまり大きな変動はなく堅調な推移となっています。一方、年単位の外国語会話教室は2007年、08年と大きく活動指数のレベルを落としています(この時期に生産性も大きく低下します)。その後は、余り大きな変化を見せていません。四半期で、ここ数年の各指数の動きをみると、学習塾、外国語会話教室ともに緩やかな上昇となっています。

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 それでは、学習塾と外国語会話教室の労働生産性の推移について確認してみます。従業員の種別に詳しい、特定サービス産業動態調査を活用して、安定労働力である正社員と専任講師の合計を「正規従業員」とし、これを分母とする労働生産性(正規従業員ベース)をグラフ化します。

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 このグラフみると、学習塾と外国語会話教室の生産性には大きな違いがあることが分かります。活動指数の推移が相対的に安定していた学習塾の労働生産性のこの10年ほどの平均値は、外国語会話教室の平均値の約1.5倍の水準です。また、学習塾の労働生産性は、やはり安定した推移ですが、外国語会話教室は、活動指数が大きく低下した2007年に労働生産性も低下しました。そして、活動指数が必ずしも回復していなかった2008年に、早くも外国語会話教室の労働生産性は回復し、落ち込み前の水準を上回りました。その後、着実に外国語会話教室の労働生産性は上昇しています。


 こういった外国語会話教室の労働生産性の動きの背景には、何があるのでしょうか。

 労働生産性の動きを分析するために、その変動を「売上」と「労働投入」の変化に要因分解してみます。さらに、「売上」は、単価と受講者数の積な訳ですが、労働投入1単位当たりの受講者数を「効率性」と定義すると、労働生産性は、単価、つまり需要側にとっての価値の変化と、供給側の効率性の変化に要因分解できることになります。
 なお、売上高と単価については、一般物価水準(インフレやデフレ)の影響を除去するため、消費者物価指数(総合)で除したものを利用します。

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 こちらのエントリーで、学習塾の労働生産性の要因分解を説明しましたので、ここでは外国語会話教室について説明していきます。

 

 まず、売上高と労働投入への要因分解です。

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 外国語会話教室では、2007年に売上高の急減により一時的に生産性が大きく低下しました。それへの対処として2007年末以降、労働投入を大幅に減らすことで、大きく生産性を向上させています。その後も労働投入要因の変化によって生産性が上下動しています。その後、生産性の変化幅が非常に小さくなり、2015年からはどちらかと言えば、売上高要因が労働生産性を引き上げている状態です。

 

 次に、外国語会話教室の生産性の変化を、単価と効率性に要因分解してみます。

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 大きな特徴は、2007年から翌年にかけての大きな生産性の変化は,単価要因によって生み出されたという点です。

 需要側にとっての外国語会話教室の価値が、2007年の低下から回復したということのようです。その後、2011年までは、効率性要因の改善があると生産性が回復しています。そして、それ以降は、単価要因の寄与が強くなっているようですが、それでも生産性の変化自体は限定的です。
 外国語会話教室の生産性の変化の要因は、単価要因→効率性要因→単価要因と代わってきているようです。

 

 学習塾と外国語会話教室の各要因分解のグラフを比較すると
 ・学習塾の生産性上昇は売上高要因(オレンジ部分)によるところが大きく、外国語会話教室では労働投入要因(青部分)によるところが大きい
 ・学習塾の生産性変化は効率性要因(青部分)によるところが大きく、外国語会話教室では単価要因(オレンジ部分)による部分が大きい

 このような比較をすると、学習塾では、労働投入当たりの受講者数を増やし、売上高を増やして労働生産性を上昇させるという「効率志向(量志向)」になっており、他方、外国語会話教室では、労働投入量を削減しつつ、(効率性を改善するべく受講者数を増やすというよりは)単価を上昇させて労働生産性を上昇させるという「価値志向(質志向)」になっているという違いがわかりました。

 

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◎比較対象となる学習塾についての分析  

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

 

 

 

◎ミニ経済分析のページ

学習塾と外国語会話教室の生産性;サービスビジネスの生産性を研究するための試み|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

◎スライドショー 

  

 

◎ミニ経済分析の一覧表

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