経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

エレクトロニクス関連の生産が好調で、8月の鉱工業生産は前月比1.5%上昇。指数97.9は、今年の1月に次ぐ、高いレベル。

 平成28年8月の「生産」は、季節調整済指数97.9、前月比1.5%上昇となりました。

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 前月7月確報値は、前月比マイナス0.4%低下でしたが、前々月6月の前月比2.3%上昇からすると、小幅な低下に留まっていましたし、生産低下は、主に食料品・たばこ工業のコーヒー・茶系飲料や金属製品工業の橋りょう等の反動減によるものでした。

 また、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、輸送機械工業といった生産前月比が連続して上昇している業種が存在し、これらの業種の稼働率の上昇により、7月の製造工業稼働率は前月比プラスでした。こういった状況からして、7月の鉱工業生産は決して悪い状況ではありませんでした。そこから、8月の鉱工業生産は更に前月比上昇ということになりました。

 8月の指数値97.9も、今年1月の98.3に次ぐ2番目に高い水準であり、今年の第1四半期96.1、第2四半期96.3よりも高い水準です。ようやく昨年、平成27年の指数値97.8なみの生産レベルになってきており、8月の前年同月比も、5か月ぶりにプラス4.6%上昇と前年水準を超えてきています。

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 8月の鉱工業生産を業種別にみると、速報15業種のうち11業種が生産前月比上昇、3業種が生産低下で、窯業・土石製品工業は横ばいでした。
 生産上昇11業種のうち7業種は7月生産低下からの上昇ですが、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、鉄鋼業は3か月連続の前月比上昇、プラスチック製品工業は7月横ばいを挟んで3か月連続で前月比低下なしと生産の勢いが持続している業種です。8月の生産では、7月低下からの上昇分もありますが、継続的に生産増が続いている業種も散見される状態です。

 

 生産上昇業種の中では、上位5業種の寄与が大きく、特に、電子部品・デバイス工業の寄与、影響度が頭一つ抜け出していました。

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 電子部品・デバイス工業は、8月前月比6.3%上昇で3か月連続の前月比上昇です。その生産指数97.9も、今年の1月(指数値107.3)に次ぐ2番目の水準で、9か月ぶりに前年水準を上回っています。電子部品・デバイス工業の生産指数は、今年2月に前月比マイナス16.5%低下という大きな低下をみせた後、良くて92台で低迷していましたが、やっと上向きの兆候が出てきました。出荷も3か月連続の前月比上昇、在庫は2か月連続の低下(在庫率は前月比マイナス20.3%と大きく低下)と、良い数値が揃っています。品目的には、中小型、大型の液晶、メモリといった品目がけん引役でした。
 それに次ぐ、寄与を見せたのが、情報通信機械工業で、前月比14.0%上昇、3か月ぶりの前月比上昇です。主に、パソコンとカーナビが上昇品目でした。電子部品・デバイス工業の大型液晶の生産が伸びているのは、ノートパソコン用やカーナビ用なども影響しているものと思われます。

 さらに、化学工業が前月比3.6%上昇で、2か月ぶりの上昇でした。美容液などの化粧品が前月比6.9%上昇と大きく上昇しています。
 さらに、はん用・生産用・業務用機械工業が、2か月ぶりに前月比1.9%上昇となりました。半導体製造装置やボイラ・原動機がけん引役でした。
 また、プラスチック製品工業では、自動車関係のフィルム・シートや機械器具部品の生産が好調であるほか、生産水準が高くなっている清涼飲料の影響で、中空成形のプラスチック製容器の生産が上昇要因でした。

 こうみていくと、電子部品・デバイス工業や情報通信機械工業、さらにはん用・生産用・業務用機械工業の半導体製造装置のように、エレクトロニクス関係の分野の生産に勢いがあるようでした。

 

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 6月の鉱工業生産は前月比2.3%上昇で、7月は多少反動もあり前月比マイナス0.4%低下ではありましたが、6月の上昇幅からすると小幅低下となりました。さらに、8月は前月比1.5%上昇となり、指数値も今年2番目の水準となりました。第2四半期96.3に比較して、7、8月の平均値は97.2と高めとなっており、9月生産が前月比マイナス3.5%より大きい低下幅とならない限り、第3四半期の生産も前期比上昇を維持できそうです。
 
 なお、輸送機械工業は、乗用車の生産が前月比マイナス4.9%低下となり、輸送機械工業全体でも前月比マイナス1.7%低下と、8月の低下寄与のほとんどを占めました。軽乗用車の生産は前月比2.7%上昇でしたが、普通乗用車は前月比マイナス3.7%低下、小型乗用車は前月比マイナス17.1%低下となり、乗用車生産は「一休み」という感じです。

 とはいえ、小型乗用車も普通乗用車も前年同月比はプラスであり、特に普通乗用車生産の前年同月比は17.5%上昇で、生産水準がそれ程低い訳ではありませんでした。

 

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