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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

7月の建設業活動指数は前月比2.0%と4か月連続の上昇、土木工事を中心に、内訳系列全体が上昇している。

建設業活動指数 設備投資

 平成28年7月の建設業活動指数は、前月比2.0%と4か月連続の前月比上昇となっています。前年同月比も4か月連続でプラスとなり、指数水準も114.2と、公共工事の増加や消費税率引上げ前の民間住宅の需要拡大などにより平成25年11月に記録した114.5に次いで二番目に高い水準となっています。

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 平成28年7月の全産業活動指数は、指数値103.2、前月比0.3%と3か月連続の上昇でしたが、この前月比上昇に対する寄与を見ると、第3次産業活動指数は0.21%ポイント、鉱工業生産指数がマイナス0.08%ポイントに対し、建設業活動指数は0.12%ポイントと、第3次産業活動指数に次ぐプラス寄与となっています。
 全産業活動指数の前年同月比はマイナス0.7%低下ですが、建設業活動指数の前年同月比寄与はプラスで、0.19%ポイントとなっており、0.07%ポイントの第3次産業活動指数よりも高い寄与となっています。
 鉱工業生産が振るわないなか、建設業活動指数は、産業活動のけん引役となっていると言えるかと思います。

 

 建設業活動指数は、大きくは民間(ウェイト:3.54)と公共(ウェイト:2.23に分けられます。

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 民間建築土木活動指数は、指数値108.1、前月比1.3%上昇と4か月連続の前月比上昇となっています。前年同月比は、昨年の6月から14か月連続でプラスとなっており、水準も高くなっています。

 さらに、民間活動は、「住宅」「非住宅」「土木」に分けることができます。
 住宅指数は、民間活動の中では最もウェイトが大きいのですが、7月の指数値は110.2、前月比0.3%上昇と7か月連続の前月比マイナスなし(5月が横ばい)となっており、持続的に方向感は良くなっています。前年同月比も昨年の7月からプラスが続いていており、水準も高くなっています。

 民間の「非住宅」と「土木」は企業の投資に関係します。7月の非住宅指数は、指数値120.2、前月比0.1%上昇と4か月連続の上昇、また、民間・土木指数は、指数値99.9、前月比7.0%上昇と2か月連続の上昇となっており、民間住宅活動に比べると、ここ最近になって方向感が良くなってきました。また、前年同月比を見ると、非住宅活動はここ2年ほど前年水準を上回ることが続いており指数水準が高くなっていますが、民間・土木は、今年の3~5月までは前年割れとなっており、活動の水準が高いとは言いにくい状態です(2010年平均の100に対し、それを下回っているのは民間・土木のみ)。

 公共事業である公共建築土木指数は、指数値123.0、前月比2.8%上昇と2か月ぶりの前月比上昇となりました、建築というよりは、ウェイトの大きい土木工事が進んでいたようです。

 建設業活動指数の内訳をみると今月は全ての業種が上昇しており、ウェイトの大きい公共・土木が前月比2.6%と4か月連続上昇、その次にウェイトの大きい民間・住宅も前月比1.0%上昇と7か月連続でマイナスがない状態となっています。同時に、7月では、民間・土木も前月比7.0%上昇となって、土木工事が公共、民間ともに好調でした。この土木工事の影響もあり、企業の投資である建築・土木の寄与が住宅の寄与を上回っているとみられ、企業の投資意欲は堅調なようです。

 

 建設業に関連する指標として、建設業関連のサービスビジネスや建設財の生産、出荷の状況について見てみます。
 
 第3次産業のうち、建設業と関連性の高いと思われる業種の指数を加重平均して、建設関連産業のサービス指数を毎月公表しています。

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 7月の建設関連作業サービス指数は、指数値105.2、前月比2.5%上昇と、3か月ぶりに前月比上昇となっています。また、3か月連続前年同月比マイナスとなっており、水準としてはあまり高くありません。これには、マンション分譲業が大きく低下していることが響いているようです。
 他方、7月の土木。建築サービス業は前月比12.4%上昇と大きく上昇していますし、不動産業の中でも戸建住宅売買業や土地売買業は前月比上昇で、マンション分譲の低迷が非常に目立つ格好となっています。

 

 7月の建設財生産は、指数値96.2、前月比マイナス1.9%低下と2か月ぶりに前月比低下となりました。建設財生産の第2半期の指数も前期比マイナス2.2%低下となっておし、建設業の活動指数が好調な割には、建設財の国内生産は振るいません。
 7月の建設財の国内向け出荷は前月比マイナス2.2%低下、また輸入品供給は前月比マイナス0.5%低下となっています。その結果、建設財の総供給指数も前月比マイナス1.9%低下となりました。ただ、6月の建設財総供給は、前月比4.0%上昇であり、多少その反動もあるものと思われます。なお、建築材料卸売業も前月比マイナス1.1%低下となっており、あまり芳しくない状況です。

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 建設業活動指数が好調に推移している割には、建設関連のサービビジネスや建設財の動きは余り良くないようです。
 特に、建設財の国産品供給(国内向け出荷)は、昨年第3四半期から今年第2四半期まで4期連続前期比マイナスで方向感が良くありません。他方、建設関連サービスの方は、2四半期連続の前期比プラスで、7月の指数値105.2は、第2四半期の指数値107.6よりは見劣りするものの、平成27年度の102.7からすれば大きく上昇しており、それなりの勢いを維持できているものと思われます。

 

 建設業活動指数の先行きを見る上では、受注動態と新規の建築着工を見ることが有効かと思います。
 7月の建設受注を見ると、元請受注高は、4兆8000億円で、前年同月比2.4%上昇と2か月ぶりの上昇です。2か月ぶりとは言っても、昨年6月から今年5月までの元請受注の前年同月比はプラスですので、水準的には高いものと思えます。

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 これらの受注のうち、公共からの受注は、前年同月比マイナス8.5%低下(3か月連続)となっている一方、民間からの受注は、前月比同月比7.6%上昇です。民間からの受注高の前月同月比は、今年4月にマイナス0.3%、6月にマイナス2.3%を見せた以外は、このところ恒常的に前年水準を上回っています。
 公共からの受注は前年水準を下回ることも多いことから、ここ1年ほどの受注の好調さは、民間からの受注によるものです。

 

 さらに、新規の建築着工を見てみます。
 まず、新設住宅着工ですが、7月の着工戸数全体では前月比0.1%増となっています。内訳をみると、持家が前月比1.3%増、貸家が前月比6.8%増、そして分譲住宅が前月比マイナス8.4%減となっています。やはり、マンションを含む分譲住宅の着工数の調子が良くないようです。

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 最後に企業の設置する倉庫や工場等の非住宅建築物の新規着工面積を見てみます。
 季節調整値のある「農林水産業用」「鉱工業用」「公益事業用」「商業用」「サービス業用」「公務・文教用」の6分類のうち、7月の着工面積は、「農林水産業用」(前月比21.2%プラス)、「公務・文教用」(前月比2.7%プラス)を除く4分類で前月比マイナスとなっています。着工面積に占めるウェイトが安定的に高い商業・サービス・鉱工業の分野で、6月から7月に揃って前月比低下となっています。
 用途別に前年水準との比較をすると、倉庫の着工面積は前年より増加していますが、事務所、店舗、工場が揃って6月の増加から、減少に転じています。 f:id:keizaikaisekiroom:20160924173705p:plain


 民間からの建設受注高は高い水準で維持されているものの、マンションを含む分譲住宅の新設着工数や非住宅の着工面積を見ると一服感が出てきているようで、8月以降の建設業活動指数における民間住宅や民間非住宅の建築指数に影響がありそうです。
 好調な民間土木工事と民間の持家、貸家等の建築工事の勢いが、マンション建設や民間非住宅建築の低下を補えるかどうかが、注目点かと思います。

 

 

◎建設業活動指数(全産業活動指数のPDFの5、6ページ) 

 

◎建設関連サービス(第3次産業活動指数のPDFの11ページ目、右端) 

 

◎建設財総供給(出荷内訳表/総供給表のPDFの23ページ下段) 

 

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