経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

7月の鉱工業指数まとめ-製造業の生産能力は引き続き低下だが、今年7月までの資本財出荷や投資向けサービスの動きは堅調。7月の消費財の国内向け出荷や小売業活動指数は良い数値だが、個人向けサービスの動きは、はかばかしくない。

1.生産能力と資本財出荷、投資向けサービス

 

 平成28年7月の生産能力指数は、5、6月の横ばい推移から、前月比0.2%低下となりました。前年水準との比較でも昨年8月以降12か月連続で、前年同月比マイナスとなっており、低下基調が続いています。指数値94.4も、現在の基準の指数では平成20年1月以降の最低値で、ほぼ30年ぶりの低水準となっています。

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 7月の生産能力指数を機械工業と非機械工業(製造工業から機械工業を除いた分類)の動きでみると、非機械工業では、94か月連続で前年水準を下回る状態が続いており、余剰設備の削減が続いています。前月比も3か月ぶりにマイナス0.2%低下となりました。機械工業でも、今年に入ってからは1月から7か月連続で前年水準割れとなっており、前月比もマイナス0.1%低下となっています。

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 過去の生産能力指数と稼働率指数の散布図(循環図)をみると、生産能力指数が継続的な上昇局面に転換したのは、稼働率指数が110前後になったタイミングでしたが7月の稼働率指数は96.2と、前月比上昇とはいえ、転換点の稼働率指数にはまだまだ及ばない状況でした。

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 今のところ生産能力が上昇局面に転じる兆候はありませんが、設備投資自体は堅調です。


 輸送機械を除いた設備系の資本財の国内向け出荷は、今年の3月以降5か月連続で前月比上昇が続いており、堅調な推移です。指数値も114.0と、今年1月を大きく超えるレベルであり、この4四半期間の指数値の最高値111.5と比較して高いレベルになっています。

 また、第3次産業活動指数の投資向けサービス活動指数も7月は、前月比1.4%上昇と2か月連続の上昇です。5月に大きめの前月比マイナスがありましたが、元々4月に前月比11.4%と大きく上昇していたので、それ以前と比べて水準が大きく下がった訳ではありません。年度明けての4月から7月まで4か月連続で前年同月比プラスが続いており、投資向けサービス活動指数の水準は高くなっています。

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 8月実施の製造工業予測調査の結果では、輸送機械を除く資本財の8月の生産見込みは前月比上昇、9月は前月比低下見込みとなっていますが、その水準自体は2か月とも前年生産実績を上回っています。

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 これらの資本財や投資向けサービスの需要先には、非製造業も多いですし、製造業の設備投資も、そのほとんどが更新投資向けと思われ、なかなか生産能力指数の上昇には結実していかないのかも知れませんが、国内企業の投資意欲には堅調さがみられます。
 

 

2.消費財と対個人サービス

 7月の消費財生産は、前月比1.1%上昇、消費財出荷は、前月比3.4%上昇でした。このうち、消費財の国内向け出荷は、前月比3.0%と2か月連続の上昇で、特に、耐久消費財は前月比6.2%上昇と大きく上昇しました。

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 耐久消費財の国内向け出荷の内訳をみると、乗用車・二輪車(輸送機械工業)の影響が大きく、家事用の冷蔵庫や冷暖房用のエアコン(電気機械工業)の上昇もありました。
 
 平成28年7月の第3次産業活動指数では、対個人サービスは前月比0.1%上昇と、2か月連続の上昇ではありますが、上昇幅は小幅でした。特に、景気変動や所得環境の影響を受けやすいと思われる「し好的個人向けサービス」は、前月比マイナス0.3%低下となり勢いがありません。

 その中でも、7月の小売業活動指数は、4か月ぶりに前月比1.7%の上昇となりました。7月の小売業活動指数の上昇では、園芸・エクステリアやDIYなどの良かったホームセンターを中心とする「その他の小売業」、飲食料品小売業、燃料小売業(ガソリンなど)の上昇寄与が大きくなっていました。と同時に、機械器具小売業、自動車小売業も共に前月比上昇となっていました。

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 個人向けのサービスという意味では、生活娯楽関連サービスが前月比マイナス0.6%と低下していました。7月の個人向けの産業活動においては、財の供給活動に動きがあり、純粋サービスの供給活動は、観光や飲食といった部分を除くと、動きが鈍かった月ということになります。

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 8月実施の製造工業予測調査の結果では、耐久消費財の8月の生産見込みは前月比上昇、9月も前月比上昇見込みとなっており、その生産水準は前年同月実績を大きく上回っています。

 非耐久消費財については、8月は前月比マイナス、9月は前月比プラスが見込まれています。8月の低下については、7月実施の予測調査の時点で既に低下計画となっており、8月調査の計画ではむしろ上方修正されています。その意味では、非耐久消費財の8月の生産計画は、「強気」ということもできます(非耐久消費財では、生産計画の上方修正が2月調査分、つまり3月計画分から続いています)。

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 このように、7月の鉱工業指数、第3次産業活動指数の小売業活動指数をみると、久しぶりに耐久消費財を含む消費財の良い方向への動きを看取することができます。逆に、個人向けのサービス供給活動の動きに不透明感が出てきています。

 

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◎鉱工業図表集スライドショー

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◎鉱工業生産、出荷、在庫指数

 

◎鉱工業出荷内訳表、総供給表

 

◎生産能力・稼働率指数