経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

7月の鉱工業指数まとめ-鉱工業出荷は前月比0.7%と2か月連続の上昇し、在庫調整も進展。特に、「輸送機械を除く資本財の国内向け出荷」は、前月比1.8%上昇で、5か月連続前月比上昇と、国内の設備需要は堅調。

1.出荷(国内向け、輸出向け)

 

 平成28年7月(確報)の鉱工業出荷は、指数値で95.8、前月比0.7%上昇(6月確報95.1、前月比1.7%)と2か月連続の前月比上昇でした。水準としては、まだ高い状態とは言えませんが、方向感としては良くなってきているとは言えると思います。

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 7月の国内向け出荷は前月比1.1%と2か月連続の上昇、輸出向け出荷は前月比マイナス0.6%と2か月ぶりの低下でした。7月の鉱工業出荷の上昇は、国内向け出荷の上昇によるものということになります。

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 7月の国内向け出荷の財別分類をみると、建設財を除く各財分類の国内向け出荷が前月比上昇となっています。このうち、耐久消費財の上昇寄与が最も大きく、資本財の上昇寄与も大きくなっています。耐久消費財は2か月連続、資本財は3か月連続上昇で、さらに国内の設備投資に向けられる「輸送機械を除く資本財の国内向け出荷」は前月比1.8%上昇と5か月連続の前月比上昇となっています。
 業種的には、普通車を中心とした輸送機械工業の寄与が特に大きく、次いで、鉄鋼業、電気機械工業などの寄与が大きくなっていました。

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 また、輸出向け出荷の財別分類をみると、特に資本財の輸出向け出荷の低下寄与が大きく、前月比マイナス5.9%低下となっています。ただ、これは鋼船等の輸出の低下が響いたものであり、輸送機械を除いた資本財の輸出向け出荷は2か月連続の上昇です。設備投資に向けられる財については、国内/輸出向けともに出荷が堅調です。
 7月の輸出の低下は、元々ウェイトの小さい非耐久消費財や建設財の低下の影響もあるとはいえ、その大部分は資本財のうちの鋼船等の輸出の低下によるものでした。乗用車や自動車部品の輸出向け出荷は前月比プラスでした。「船舶・同機関」の輸出向け出荷は、6月からほぼ半減となっており、この低下寄与分だけでマイナス1.2%ポイントほどになります。
 もちろん、石油・石炭製品工業の前月比マイナス19.5%低下を筆頭に、輸出向け出荷が前月比低下となっている業種も8業種あるので、7月の輸出向け出荷が好調だった訳ではありませんが、耐久消費財輸送機械を除く資本財のように、堅調な部分も存在していました。

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 さらに、輸出向け出荷の仕向け先別の動きをみると、米国向け出荷が前月比7.8%上昇と2か月連続の大きな上昇となっています。中国向け出荷も前月比0.5%上昇と、小幅ではありますが2か月連続上昇となりました。しかし、ASEAN向けが前月比マイナス3.3%低下、台湾向けが前月比マイナス4.3%低下のほか、主要地域以外向けの出荷が前月比11.0%低下と大きく低下し、輸出向け出荷全体を押し下げています。
ウェイトの大きい中国向けでは、石油・石炭製品工業の出荷が大きく低下しているものの、電子部品・デバイス工業や鉄鋼業の輸出が伸びていました。米国向けでは、輸送機械工業の上昇寄与が大きく、はん用・生産用・業務用機械工業では反動減的に前月比低下が生じていました。

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 中国向けでは、生産財、そして資本財の出荷が前月比プラスでしたが、消費財が大きく低下しました。他方、米国向けでは、生産財、そして耐久消費財の出荷が前月比プラスで、資本財が大きく低下しました。6月はともに資本財出荷が好調でしたが、7月は米国向けと中国向けの財別出荷に多少違いが生じていました。

 

 7月の鉱工業出荷は、2か月連続の前月比上昇となりました。7月は、国内向け出荷が前月比プラス、輸出向け出荷は前月比マイナスと明暗が分かれました。その中でも、輸送機械を除く資本財の国内向け出荷は5か月連続、輸出向け出荷も2か月連続の前月比上昇で、日本製設備への需要が内外で底堅いようです。

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 また、輸出向け出荷全体が前月比マイナスとなる中、ウェイトの大きい中国向け、米国向け出荷は前月比プラスを維持していました。7月の輸出向け出荷は、設備類や米国、中国向けといったウェイトの大きい中核部分が堅調でしたが、周辺的な部分の低下が全体を押し下げました。

 

2.在庫、在庫循環

 平成28年7月(確報)の在庫指数は111.2、前月比マイナス2.4%低下でした。生産が前月比マイナスで出荷は前月比上昇だったので、在庫が大きく低下しました。主に、3か月ぶりの前月比低下となった鉄鋼業や、4か月連続で在庫を低下させているはん用・生産用・業務用機械工業などの業種における在庫の低下が、全体を押し下げていました。

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 生産と在庫の前年同期比でみる「在庫循環図」においても、今年の第1四半期に一時的に「逆走」し、「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に移行しかかりましたが、第2四半期末の段階では、在庫調整が進捗し、在庫調整局面の「半ば」にまで局面が進んでいます。7月は、生産が前年同月比マイナス4.2%低下に対し、在庫は前年同月比マイナス1.8%低下と、さらに在庫調整が進んでいます。
 是非とも、このまま在庫調整が一気に進むことを期待したいところです。

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◎鉱工業図表集スライドショー

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◎鉱工業生産、出荷、在庫指数

 

◎鉱工業出荷内訳表、総供給表