経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

7月鉱工業指数まとめ-7月の鉱工業生産は前月比マイナス0.4%低下だが、製造工業稼働率は前月比0.6%上昇であり、生産の基調が悪化したということではない。生産の先行き2か月も「安定飛行」

1.生産、稼働率

 平成28年7月(確報)の鉱工業生産は、指数値で96.5、前月比マイナス0.4%低下(6月確報96.9、前月比2.3%)でした。6月の大きめの前月比上昇の割には、7月の鉱工業生産の低下幅は限定的でした。

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 7月の鉱工業生産の業種別の動きをみると、全16業種のうち、10業種が生産前月比低下となっており、特に、食料品・たばこ工業の低下寄与が大きくなっています。6月にコーヒー・茶系飲料の生産が大きく上昇していましたが、その反動減が大きく響きました。また、橋りょう等の低下による金属製品工業、数値制御ロボットやプレス用金型が低下となったはん用・生産用・業務用機械工業などが低下寄与の大きい業種でした。どの品目も6月からの反動減といった様相です。
 他方、7月に生産上昇となっている5業種は、いずれも2か月連続生産上昇となっている業種であり、堅調な推移となっています。

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 7月の稼働率指数は、指数値96.2、前月比0.6%上昇と2か月連続の上昇となっています。第2四半期の指数値95.4と比べても、稼働率の水準は良くなっています。

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 特に、生産上昇業種である輸送機械工業、電子部品・デバイス工業の稼働率上昇寄与が大きく、製造工業全体の稼働率を押し上げています(残る生産上昇業種である電気機械工業、鉄鋼業、窯業・土石製品工業の稼働率も前月比プラス)。

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 機械工業の稼働率指数も前月比1.4%上昇、非機械工業の稼働率も前月比0.3%上昇であり、7月の稼働状況は良い方向に向かっていたようです(水準は前年同月比マイナスが続いているので今一つ)。

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 7月の鉱工業生産は、2か月ぶりに前月比低下となりました。しかし、出荷の前月比上昇が続いていることから、在庫が大きく低下し、在庫調整が進捗しています。稼働率も、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業を中心に前月比上昇となっています。よって、鉱工業生産の方向感は、それ程悪い状態ではなかったと判断できます。

 

2.8月以降の生産見込み

 8月に実施した製造工業予測調査の結果では、8月の前月比見込みは4.1%上昇(補正なし)、9月の前月比予測マイナス0.7%低下(補正なし)という結果になっています。

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 8月の前月比見込みが高めにみえるのは、7月の実績値が計画値から2%程低下しているからです。また、そこに含まれる傾向的な誤差を補正すると、前月比0.1%程度となります。8月の生産実績がこの補正値程度の値になれば、9月計画は前月比プラスに変わるものと思われます。

 8月の生産上昇は、はん用・生産用・業務用機械工業、情報通信機械工業といった、実績段階で下方修正されることの多い業種の上昇寄与が大きくなっているので、実績の伸び幅は、補正値計算からも分かるように、大きく低下するものと思われます。


 9月の生産低下は、この8月に上昇するはん用・生産用・業務用機械工業や情報通信機械工業の低下によるものです。これらの業種は、8月の生産実績が計画から下方修正されるので、9月の落ち込み幅もそこそこの所に落ち着くと思われます。他方、9月の生産計画に対して上昇寄与となっているのは、輸送機械工業、化学工業、電気機械工業で、この所堅調な推移となっている業種であり、これらの業種が9月の生産を下支えするものと思われます。

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 こう考えると、向こう2か月の鉱工業生産は「安定飛行」と言えるものと思います。

 

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◎鉱工業図表集スライドショー

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◎鉱工業生産、出荷、在庫指数

 

◎生産能力・稼働率指数