経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

対事業所サービスは、2か月連続前月比上昇で、前年同月比は16か月連続のプラス。対個人サービスも、2か月連続前月比上昇ではあるが、前年同月比は4か月連続でマイナス。そのうち、「し好的個人向けサービス」は前月比マイナスで重石に。

 第3次産業全体を対個人と対事業所に分けて集計したものをみてみます。
 平成28年7月は、広義対事業所サービスが前月比0.8%上昇、広義対個人サービスが前月比0.1%上昇で、ともに2か月連続の前月比上昇となりました。第3次産業総合の上昇に対する寄与としては、対事業所サービスの寄与が圧倒的に大きくなっています。f:id:keizaikaisekiroom:20160909144032p:plain

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 対事業所サービスでは、継続的に前年同月水準を上回り、今年の第2四半期、そして7月も指数値103台を超えている状態です。

 この対事業所サービスの指数が102台に落ち込んだ平成21年以降、月次指数で103台を超えたのは、平成26年3月の消費税率引き上げ前の特殊な月と、今年の4月とこの7月のみです。四半期ベースで103台を超えたのは、平成21年第1四半期に101台に落ち込んで以降、平成26年第1四半期と今年の第2四半期だけでした。

 つまり、リーマンショック前の水準という訳には行きませんが、平成21年以降では、この7月の対事業所サービスの指数レベルは、最も高い水準に達しており、順調に水準を上げてきていると言えるかと思います。

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 7月の対事業所サービスの前月比上昇に対して寄与が大きかったのは、建設コンサルタントと株式売買取引高の指標である「流通業務」でした。投資向けサービス指数も、7月は前月比1.4%上昇と2か月連続の上昇となっています。産業使用者向け卸売業も前月比0.4%と2か月連続上昇(6月は前月比1.8%上昇)で、建設関連(サービス)産業活動指数も前月比2.5%上昇です。

 また、対事業所サービスを、製造業との関連性の強い「製造業依存型」と非製造業、サービス業との関連性の強い「非製造業依存型」に分けた集計もしていますが、この非製造業依存型事業所向けサービスは、7月に前月比1.1%上昇と2か月連続の上昇をみせているとともに、継続的に前年同月比がプラスとなる状態が続いています。7月の指数水準も105.9と、平成27年の指数値103.8、平成27年度の指数値104.2と比べて高い水準となっています。

 サービス産業の活動レベルの活発化が、さらに関連サービスの需要を生むという好循環がこの分野では生じているようです。

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 他方、対個人サービスの7月は、指数値104.8、前月比0.1%上昇で、2か月連続上昇とはいえ、微増に留まっています。今年に入っての対個人サービスの動きは、2月のピーク後、3月から5月まで3か月連続前月比低下となり、6月、7月は前月比上昇ということで、底は打ったかのようにはみえます。ただ、4月以降、4か月連続で前年水準を下回っており、平成27年度平均の指数値105.1からすると、水準的には高いとは言えません。
 対個人サービスのうち、生活必需的性格の強い「非選択的個人向けサービス」は2か月連続上昇の前月比0.4%上昇でした。飲食料品小売業や燃料小売業といった関連小売業、そして医療関係が伸びていました。

 他方、選択性が強く変動しやすい性質の「し好的個人向けサービス」は、2か月ぶりに前月比マイナス0.3%低下となっています。7月の「し好的個人向けサービス」の前月比低下への寄与が大きかったのは、プロスポーツ(観戦)や美容業、マンション分譲業でした。これらの系列は、6月の上昇寄与系列でしたので、その反動が出たものと思われます。

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 7月の「し好的個人向けサービス」は、5か月ぶりに前年同月比でプラスとはなりましたが、そもそも今年の7月は土日の日数が昨年7月よりも多く、「し好的個人向けサービス」は前年より上昇し易いはずでしたが、その割にはプラス幅が限定的です(曜日要因も考慮している季節調整値同士で比較すると、今年7月は昨年7月より1%指数値が低下している)。
 また、今年の2月の一時的なプラスを挟んで、前年水準を下回る月が続いています。
四半期でも、今年の第2四半期は辛うじて前期比0.1%上昇とはなりましたが、第1四半期以前は4四半期連続の前期比低下でしたので、「し好的個人向けサービス」の基調は芳しくありません。

 6月の結果からは、「全般的に動きとしては、個人向けサービスの方向感も水準感も低調ですが、「底打ち」感がないわけではありません。こういった、6月の個人のし好的サービス需要の「上向き」の動きが、7月以降も継続し、サービス産業活動全体の押し上げ要因に、是非ともなって欲しいところです。」としていましたが、結局、7月に勢いは続かず、再び前月比マイナスとなりました。

 

 7月の対事業所サービスについては、サービス企業の活発化がさらに対事業所向けサービスを活発化させるという好循環の様相が見え、また、7月の非選択的個人向けサービスでは、4月の「医療,福祉」の低下を挟みつつも安定的な推移となっています。

 しかし、景気変動や所得環境の影響を受けやすいと思われる「し好的個人向けサービス」では、平成25年平均の指数値103.1からすると低い水準で推移しており、方向感としても上向く力強さを感じられない結果となりました。
 とはいえ、4か月ぶりに前月比上昇となった小売業、4か月連続の前月比上昇で、5か月ぶりに前年水準を上回った「飲食店,飲食サービス業」(飲食関連産業指数も3か月ぶりに前月比上昇)、そして2か月ぶりに前月比上昇の観光関連産業指数など、部分的には7月に良い結果となっている系列もあるので、「し好的個人向けサービス」全体への横の広がり、そして時間的な継続を、8月以降期待したいところです。

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