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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

夏場の酒類需要は「家飲み」派が中心? 居酒屋等の低下と異なり、酒類販売の中心であるスーパーの飲食料品販売は長期的に低下せず ;お酒をたしなむなら「外飲み」派、「家飲み」派?(その2)

ミニ経済分析 個人サービス 個人消費 第3次産業活動指数 鉱工業指数

 酒類の生産、出荷量の変化と「外飲み」派を代表して「パブレストラン,居酒屋」活動指数の動きを確認してみると、

・年末に大きな盛り上がりを見せる

・長期的には低下傾向

という共通する特徴を見い出すことができます。

 では、自宅で飲むということ以外にも、身近な人とのパーティーやピクニックのようなものも含めた、「お店で飲む」のではない自分たちで酒類を用意する「家飲み」派が、酒類の生産出荷とどのような関係にあるのか、検討してみます。

 

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 まず、「家飲み」をするためには、酒類を購入する必要があります。酒類の購入先データでは、酒類はスーパーで買っていることが確認できました。

 そこで、スーパーのお酒類の売上げの季節パターンを見てみたいところですが、残念ながらそういったデータがありません。そこで、大型スーパーの飲食料品の販売指数(販売金額を実質化したもの)と、食品スーパーの酒類を含む商品分類である「一般食品」の販売金額の動きをもって、「家飲み」派の動きを確認したいと思います。

 

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 まず、大型スーパーの飲食料品販売指数の動きです。

 最新の平成28年6月の季節調整済指数は、112.3(前月比マイナス1.8%)で、長期的な視点で見れば上昇傾向です。また、衣料品の販売を含む大型スーパー全体の販売指数よりも、伸びが大きくなっています。酒類や居酒屋のような長期的な低下傾向を見て取ることはできません。 

 

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 また、大型「スーパーの飲食料品」販売の季節変動パターンは、12月に大きなピークがあり、7、8月にも、年平均との違いは小さいものの、飲食料品の販売が増加していることが分かります。

 「家飲み」のために酒類を購入する場所の一つである大型スーパーの飲食料品販売は趨勢的には上昇しており、酒類の生産動向とは異なった動きを見せていました。

 季節変動パターンでは、年末の盛り上がりとともに、「パブレストラン,居酒屋」業態にはなかった、夏場の小さな盛り上がりも確認できました。

 年末の大きな盛り上がりに加え、夏場に小さく盛り上がるという季節パターンは一致していますが、酒類の長期的な推移とは逆の動きでした。酒類の生産・出荷と「家飲み」の関係は、大型スーパーの動きだけでは、分かりづらい結果になってしまいました。

 

 そこで、大型スーパー(衣料品等も相当程度、販売している)ではない、食品スーパーの売上げ動向、特に、酒類を含む分類である「一般食品」の動きを確認してみます。

 まず、「一般食品」が全体の売上げのどれくらいを占めているかというと、平成27年度で、26.7%(食品だけに絞ると30%)でした。

 

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  一般食品の売上高の推移を四半期ベースで見てみると、平成23年から平成26年にかけては1割ほど低下しているものの、同年半ばからは上昇傾向に反転しており、大型スーパーの食料品販売指数と同じく、少なくとも足下での低下は見受けられません。

 

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 また、この一般食品の売上高でも、12月と8月に高くなるという酒類出荷の季節パターンと似たパターンが見られます。また、この時期に総売上に占める割合も高くなっています。

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 酒類を含む「一般食品」売上高の季節パターンは、酒類の生産、出荷のパターンに一致していました。この季節パターンを見る限り、酒類の生産、出荷に「家飲み」派の変動が影響していることは確かで、夏場の酒類出荷は「家飲み」向けの可能性が大きいと考えられます。

 ただし、長期的動きとの関係からすると、その影響度合いは、「外飲み」に比べて限定的ということになると思います。

 

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 家計の「外食」=「飲食店、飲食サービス」の指数と「内食」=「飲食料品小売業」の指数(ともに第3次産業活動指数)の加重平均に占める割合を比較すると、いわゆるリーマンショック後に「外食」の割合が低下していましたが、消費増税後は上下動を伴いながら、「外食」と「内食」が半々となっています。

 酒類販売の中心であるスーパー(大型スーパー、食品スーパー)の販売動向を見ると、緩やかな上昇傾向ということになるかと思います。その元で、内食の割合が外食より高い状態が、消費増税後に変化しています。つまり、外食全般は、活動レベルを戻してきているということになります。

 しかし、外飲み派の代表たる「パブレストラン,居酒屋」指数が低下しているということで、家計における飲食需要のみならず、外食全般と比べても、「外飲み」派が縮小していることを示唆する結果となっています。これが、酒類生産の長期的な低下傾向を生み出している要因ではないかと思われます。

 

 

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お酒をたしなむなら「外飲み」派、「家飲み」派?;酒類関連産業の動向と飲食消費行動の変化|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

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