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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

6月鉱工業指数まとめ-資本財出荷は好調だが、更新投資中心なのか、生産能力上昇には直結していない状況。6月は耐久消費財の国内向け出荷はプラスだが、四半期ではマイナスとなり指数値も低い。

鉱工業指数 鉱工業出荷内訳表 生産能力指数

1.生産能力と資本財出荷
 平成28年6月の生産能力指数は、5月に続いて、前月比横ばいとなりました。前年水準との比較でも昨年8月以降11か月連続で、前年同月比マイナスとなっており、低下基調が続いています。
 指数値94.6も、現在の基準の指数では平成20年1月以降の最低値で、ほぼ30年ぶりの低水準となっています。

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 6月の生産能力指数を機械工業と非機械工業(製造工業から機械工業を除いた分類)の動きでみると、非機械工業では、93か月連続で前年水準を下回る状態が続いており、余剰設備の削減が続いています。ただ、5月、6月と前月比では横ばいが続いており、例えば、化学工業では、構造改善のゴールが見えてきたのか、久方ぶりに4月に生産能力が前月比で増加したのち、6月にも生産能力を増加させているように、「底」が見えてきているのかも知れません。
 他方、機械工業では、一昨年後半から昨年前半にかけて生産能力を増加させている時期もありましたが、今年に入ってからは1月から6か月連続で前年水準割れとなっており、低下基調に変わっています。

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 過去の生産能力指数と稼働率指数の散布図(循環図)を見ると、生産能力指数が継続的な上昇局面に転換したのは、稼働率指数が110前後になったタイミングでしたが6月の稼働率指数は95.6と、前月比上昇とはいえ、転換点の稼働率指数にはまだまだ及ばない状況でした。

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 生産能力の上昇の方向感は見えませんが、輸送機械を除いた設備系の資本財の国内向け出荷は、今年の3月以降4か月連続で前月比上昇が続いており、堅調な推移です。指数値も112.0と、今年1月に次ぐ高いレベルであり、この4四半期の指数値の最高値が111.5であることと比較すると、この6月の輸送機械を除く資本財の国内向け出荷の水準は近時の水準としては多少高めとなっています。
 7月実施の製造工業予想調査の結果では、輸送機械を除く資本財の生産見込みについては2か月連続の増産見込みとなっており、特に8月は前年水準を上回る生産計画となっていることなど踏まえる、資本財出荷の勢いには期待して良いのではないかと思います。
 ただ、これらの資本財も、そのほとんどが更新投資向けと思われ、なかなか生産能力指数の上昇には結実していかないのかも知れません。

 

2.個人サービスと消費財出荷
 平成28年6月の第3次産業活動指数は、指数値103.9、前月比0.8%上昇と2か月ぶりに上昇となっています。このうち、対事業所サービスは前月比0.3%上昇、対個人サービスは前月比0.9%上昇と、対個人サービスの勢いがあるように見えます。

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 しかし、対個人サービスは、4か月ぶりの前月比上昇で、四半期でみると、サービス産業全体や対事業所サービスは、今年の第2四半期に前期比プラスとなっていますが、対個人サービスは、前期比マイナス0.8%低下となっており、対個人サービスの不調さが見えてきます。投資向けサービスが、この第2四半期に前期比5.2%上昇と急上昇していることと好対照となっています。

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 特に、小売業は今年の2四半期は連続して前期比低下であり、昨年第4四半期も横ばいですので、3四半期間前期比プラスがない状態で、個人の財需要の勢いが弱いことは明らかです(同時に、サービス需要も今一つでしたが、6月には娯楽業では少し上向きの方向が出てきていました)。

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 6月の消費財の国内向け出荷をみると、耐久消費財は前月比2.3%上昇、非耐久消費財は前月比1.2%上昇と、一見すると好調に見えます。確かに、化粧品や食料品・たばこ工業(出荷前期比2.1%上昇、2期ぶり)の出荷が好調なこともあり、非耐久消費財の国内向け出荷は前期比0.9%上昇と2期ぶりに前期比上昇でした。
 しかし、乗用車や家電製品などの耐久消費財の国内向け出荷は前期比0.9%低下と2期連続の低下となっており、耐久消費財の不調が目立つ結果となっています。

 特に、耐久消費財の6月の指数値は78.6と、80台を割り込んでおり、つまり、平成22年=2010年の出荷水準の8割を下回っているということです。国内向け出荷全体の指数値は94.5と、基準時点の9割以上の水準を維持しており、輸送機械を除く資本財では国内向け出荷指数が112.0と、基準時点から1割増しの出荷となっていることと比べて、耐久消費財の国内向け出荷の水準が、特に低いことが分かります。

 6月の結果だけをみると、耐久消費財の国内向け出荷が前月比プラスとなっているのですが、四半期単位の少し長いスパンでみると、これまでの所、水準だけではなくて方向感も今一つであることが分かります。個人サービスの娯楽業において少し上向きの動きが出ているように、耐久消費財の6月のプラスが、是非とも回復への第一歩となってくれることを期待したいところです。

 

 

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◎鉱工業図表集スライドショー

www.meti.go.jp

 

◎鉱工業生産、出荷、在庫指数

 

◎生産能力・稼働率指数