経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

エコカー補助金、消費増税、軽乗用車の生産に与えた影響は?

 日本国内で生産される乗用車のかなりの部分は、軽乗用車です。また、軽乗用車は、日本独自の規格であるため、輸出割合が極端に小さく、まさに「国内生産・国内向け商品」です。そのため、エコカー補助金や消費税増税といった、日本国内の制度変更によって、その国内生産に大きな影響が生じたものと思われます。
 そこで、軽乗用車の生産指数の変化を確認してみることにしました。

 まず、いわゆるエコカー補助金の開始・終了と、消費税増税軽自動車税増税のタイミングを元に、2009年から足元までの期間をA~Gに分けて見ます。

 Eの期間の始期は、あらかじめデータを確認して、自動車「販売台数」に対する2回目のエコカー補助金終了の影響が見られなくなったタイミングを仮置きした時点です。

 

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(上表の×印は、制度の実施されていない期間、制度変更前をあらわす。補助金支給、税負担低減策は「追い風要因」、税負担増は「向かい風要因」としている。)

 

 

 その上で、エコカー補助金などの影響が少ない2008年を基準年(=100)とした指標を作ってみます。また、月々の特殊的、一時的な変動を均すため、12か月後方移動平均としています。

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その推移をみると、意外にも「追い風要因」が軽乗用車の生産台数に及ぼした影響は、一律ではないようです。期間Aの1回目のエコカー補助金実施期間にはその影響がほとんど見られない一方で、2回目が実施された期間Cでは、顕著に生産台数が増加しました。
また、「向かい風要因」が生じているはずの期間Fでは、ごく初期には軽乗用車の生産台数への影響は見られませんが、若干のタイムラグを伴って上昇を抑えるという影響が出ています。そして半年ほど経つと、生産台数が下がり始め、「向かい風要因」が重なり始めた期間Gに入ると、軽乗用車生産台数のダウントレンドが強まり、平成28年の第2四半期には、指数値が100、つまり2008年の生産水準を下回ることになりました。

消費者側から見れば、期間Cでは「補助金があるうちに買わなきゃ!」、期間EやF(の前半)では、「増税前に買わなきゃ!」という状況が比較的継続していたということなのでしょう。
いずれにせよ、一対一対応ということではありませんが、国内向け商品である軽乗用車の国内生産に対し、エコカー補助金や消費税増税は、国内販売と同様に、一定の影響を与えたであろうことが確認できました。


(参考)関連する内容のひと言解説


※1)平成28年7月26日掲載

エコカー補助金制度の実施期以降の販売台数の動きは、実は三車種三様|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

※2)平成28年8月8日掲載

輸出比率の高い普通乗用車、輸出比率が劇的に低下している小型乗用車;乗用車車種別国内生産台数の概観|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

 

 

◎ひと言解説の一覧表

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