経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

目下の対個人サービスでは、小売業の水準も低いが、サービス需要も停滞気味。観光関連、飲食関連、コンテンツ関連の各指数も不調。プロスポーツが好調な娯楽業活動指数には「底打ち」感も。

 平成28年6月の第3次産業全体を対個人と対事業所に分けて集計したものをみてみます。
 平成28年6月は、広義対事業所サービスが前月比0.3%上昇と2か月ぶりの上昇、広義対個人サービスが前月比0.9%上昇で4か月ぶりの上昇となりました。

 四半期ベースでみると、対個人サービスは4四半期ぶりに前期比マイナスとなりましたが、対事業所サービスは比較的高めの前期比0.9%上昇となっています。

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 対事業所サービスは、今年の第1四半期に前期比マイナスとなりましたが、それ以前は平成26年の第3四半期から前期比プラスが続いていました。今年の1-3月期に一時的に低下しましたが、対事業所サービスは消費増税の落ち込みからプラス基調で推移していると言って良いかと思います。
 
 他方、対個人サービスは、6月こそ前月比上昇ですが、前年同月比はマイナス0.3%低下となっており、この状態が4月から3か月続いています。このため、第2四半期全体でも前年同期比マイナス0.4%低下ということで、指数のレベルが少し落ち込んでいます。

 

 対事業所と対個人の両サービスの指数の推移を比較しても、対事業所サービスは、月々の上下動もありながら平成26年4月の消費増税の落ち込みから順調に回復しています。しかし、対個人サービスは一足早く消費税後の落ち込みから回復したものの、昨年の平成27年中は指数水準が余り上下動せず、その後、昨年11、12月、そして今年の3、4、5月に低下するという動きになっています。

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 では、対個人サービスのどこに不調の原因があるのか見てみます。
 対個人サービスは、生活必需的性格の強い「非選択的」と、そういった性格のより少ない「し好的」の2つの系列に分けることができます。

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 6月については、非選択的個人向けサービスは前月比0.2%上昇と3か月ぶりに上昇、し好的個人向けサービスも前月比1.3%上昇となっています。しかし、この6月単月の上昇は、5月の低下からの反動という面が強く、水準を上に引き上げる程の伸びではありません。
 四半期でみると、非選択的個人向けサービスは8四半期ぶりに前期比マイナスのマイナス1.2%低下となり、比較的強めの上昇幅を見せた今年第1四半期分の上昇分が第2四半期に低下してしまっています。

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 また、し好的個人向けサービスでは、第2四半期に前期比横ばいとなりましたが、実は昨年平成27年第1四半期の前期比プラスの後、5四半期に渡って前期比プラスがない状態が続いています。水準面でも、対個人向けサービスは、4月以降前年同月比がマイナスとなっていますが、その原因は、し好的個人向けサービスの前年同月比が3月以降マイナス続きとなっていることです。

 つまり、対事業所サービスとの対比で、サービス産業の勢いを削いでいるのが、対個人サービスであり、対個人サービスの指数の動きの足かせとなっているのが、方向感においても水準感においても「し好的個人向けサービス」ということになります。

 

 6月の再編集系列で、どういう分野の個人向けサービスの水準感が悪いのか見てみます。
 消費向けサービスの6月の前年同月比はマイナス0.3%低下であり、第3次産業活動指数全体の前年同月比がプラスであることに対し、マイナス寄与となっています。

 個人向けサービスは、小売業とそれ以外の個人向けの純粋サービスとに分けることができますが、6月の小売業の前年同月比もマイナス0.8%低下(8か月連続)ですし、小売業を除いた対個人サービスも前年同月比マイナス0.1%低下となっており、ともに水準感を下げています。ただ、相対的には小売業の前年水準からの低下の影響が強いようです(小売業の3次総合に対する6月の低下寄与はマイナス0.08%pに対し、小売除く個人向けサービスの同寄与はマイナス0.04%p)。

 消費者の需要するサービスについて分野的にみると、観光関連産業活動指数の6月の前年同月比がマイナス0.8%低下、飲食関連産業活動指数が前年同月比マイナス1.1%低下、コンテンツ関連産業活動指数が前年同月比マイナス6.7%低下と軒並み水準を下げています。

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 他方、スポーツ関連産業活動指数は前年同月比プラス7.2%上昇となっており、特に「観るスポーツ」であるプロスポーツの活動指数の前年同月比は18.5%上昇となっており、大きく上昇していました。
 プロスポーツへの需要はここのところ盛り上がっている(全体に対する前年同月比寄与で0.11%p)ようですが、それ以外は、個人向けサービスの各分野とも今一つという状況でした。

 

 全般的な動きとしては、個人向けサービスの方向感も水準感も低調ですが、こと6月については、し好的個人向けサービスが前月比1.3%上昇、業種的にも生活娯楽関連サービスが前月比3.1%上昇となりました。

 し好的個人向けサービスや生活娯楽関連サービスの指数のレベルも、昨年11月から今年5月までの概ね7か月間の低いレベルから、昨年10月のレベルに戻っています。

 外食サービスである「飲食店,飲食サービス業」は、まだ昨年10月レベルには戻っていませんが、娯楽業の6月の指数値は、昨年の10月レベルに戻り、前年同月比低下幅も大きく縮小して、多少「底打ち」感がないわけではありません。

 

 こういった、6月の個人のし好的サービス需要の「上向き」の動きが、7月以降も継続し、サービス産業活動全体の押し上げ要因に、是非ともなって欲しいところです。

 

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