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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

ノイズを除去した鉱工業生産指数を計算してみました;基調判断修正の背景にある分析

 2016年7月29日に鉱工業指数6月速報を公表し、鉱工業生産の基調判断を「一進一退」から「一進一退だが、一部に持ち直し」に上方修正しました。「持ち直し」という表現を含む上方修正は2014年12月以来、実に1年7か月ぶりになります。

 今回、鉱工業生産の基調的な動きについての評価を上方修正した理由の一つとして挙げられるのは、企業の設備機械類の生産を示す、輸送機械(トラックなど)を除く資本財の生産の回復です。

 下の図は、生産指数の動きからノイズを除去し、基調的な動きを抽出した指数を計算し、その前月比の変動要因を需要先用途別に見たものになります。これを見ると、資本財が着実に回復してきおり、生産を上昇方向に押し上げていることが分かります。

 また、生活必需品を示す非耐久消費財も、化粧品等の好調から下支えに寄与しています。

 

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 次に需要先用途別の財の市場を取り巻く環境を、需給バランスで見てみます。
 下図は、上図と同様、ノイズを除去した出荷指数と在庫指数の前月比の差分をとったものです。この差分は、需給バランスのバロメーターとして解釈できます。0を上回っていれば需給が引き締まっており、0を下回っていれば需給が緩んでいることを表しています。

 これを見ると、資本財の需給バランスが年明け頃から引き締まってきており、足下で大分需給が改善してきていることが見て取れます。つまり、資本財の需給改善が生産の増加につながっており、鉱工業全体の押し上げに寄与していると解釈できます。

 その他、建設財、耐久消費財生産財についても、これまで需給バランスが緩んでいた状況でしたが、足下でほんのわずかですが改善してきています。

 他方、これまで生産を下支えしてきた非耐久消費財では、意外にも需給バランスが緩んだままの状況です。作りすぎの面が見られ、多少気がかりな結果です。

 

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 このように、需要先用途別財の生産の状況や市場を取り巻く環境に鑑みると、製造業の生産活動は一進一退から、一部に持ち直しの動きが見られようになってきていると言えます。

 今後、こうした動きが持続していくかどうか、引き続き注視していきます。

 

※両図は、経済産業省「鉱工業指数」より作成。指数には、X12-ARIMA(デフォルト)を用いて趨勢循環変動成分を抽出したものを使用。

 

 

◎ひと言解説の一覧表

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