読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

6月の鉱工業出荷は2か月ぶりに前月比1.2%上昇。資本財の出荷が堅調で、生産財の出荷も5月の落ち込みから一定の回復を見せた。

鉱工業指数

 6月の「出荷」は、季節調整済指数94.6、前月比1.2%上昇と、生産同様2か月ぶりの前月比上昇となりました。とはいえ、その上昇幅は、5月の落ち込み幅からすると限定的で、4月の指数96.0を大分下回っていますし、前年同月比も昨年12月から7か月連続の低下と、水準的には芳しくありません。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160729094655p:plain

 

 この結果、今年の第2四半期の鉱工業出荷は、指数値で94.7、前期比横ばいとなり、辛うじて2期連続の前期比マイナスを避けることができました。とはいえ、四半期ベースでみると、昨年第4四半期に前期比0.4%上昇はあるものの、昨年、平成27年第1四半期をピークとして、出荷指数は低下しています。

 月々の出荷指数は、この所上下動が大きいので、3か月移動平均で均して見ると、昨年の1~3月を山として、ゆるやかに低下しています。ただ、今年の第2四半期に入って下げ止まってきているようにも見えます。

 

  平成28年6月の鉱工業出荷では、速報15業種中13業種で前月比上昇、2業種で低下でしたが、業種的には、電子部品・デバイス工業、はん用・生産用・業務用機械工業、金属製品工業の出荷が伸びていました。

 ただし、上昇寄与4番目の輸送機械工業については、船舶関係の出荷が大きく低下したために業種としての寄与が小さくなっており、船舶等を除いた輸送機械工業、つまり乗用車中心の輸送機械工業の出荷上昇寄与を見ると、業種1位の電子部品・デバイス工業の倍近い寄与となっています。6月の鉱工業出荷のけん引役は、電子部品・デバイス工業と同時に、完成車、部品関連を含む自動車産業でした。

 

 需要用途別分類である財別出荷指数をみると、非耐久消費財や資本財の出荷が前月比低下です。ただし、船舶関係の出荷低下の影響があることから、輸送機械を除いた資本財出荷は前月比0.5%上昇となります。よって、非耐久消費財の低下を除くと、主要な需要先別分類でみた鉱工業出荷は前月比上昇ということになります。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160729095422p:plain

 

 第2四半期の鉱工業出荷の財別分類をみると、生産財(鉱工業生産財も)が2期連続の前期比低下となりました。5月までの出荷内訳表でみると、国内向け出荷の勢いが今一つであると同時に、ここ1年軟調な推移となっている輸出向け出荷の低迷が、生産財出荷の足かせとなっています。

 四半期では、投資財は前期比2.4%上昇で、消費財は横ばいなので、企業向け財の出荷が旺盛であったことが分かります。同じく5月までの鉱工業出荷内訳表でみるかぎり、輸出向け出荷が投資財でも消費財でも芳しくなく、出荷の押し下げ要因となっていますが、消費財については、国内向け出荷も勢いが良くありません。

 投資財の中では、資本財は前期比4.2%上昇であり、4期ぶりの前期比上昇ですし、輸送機械を除いた資本財は前期比3.2%上昇、5期ぶりの前期比上昇で、久しぶりに力強い出荷を見せました。一方、建設財は4期連続の前期比マイナスとなっており、調子が良くありません。

 消費財では、耐久消費財が前期比マイナス1.2%、2期連続の前期比低下であり、指数水準も昨年の第2四半期に続き80台を割り込みました。一方、非耐久消費財では前期比0.6%と2期ぶりに前期比上昇に転じています。

 

 これらの財分類の出荷指数の月々の動きを均した3か月移動平均で見ると、財別の動きの特徴が良く分かります。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160729102043p:plain

 

 輸送機械を除く資本財は、この1年半ほどは出荷が低下基調にありましたが、今年の第2四半期に入って上向きに変わっています。非耐久消費財では、この1年半ほど緩やかに出荷を上昇させてきているとともに、今年の第2四半期に入って若干水準も上がっています。

 他方、低下基調となっている鉱工業生産財、建設財、そして耐久消費財の出荷においては、なかなか方向感が上向きに変化することは期待しにくい動きとなっています。

 

 さて、生産、出荷ともに6月は前月比上昇、四半期では、ともに横ばいとなっていますが、6月末の在庫指数は前月比横ばいでした。6月では、低くなりすぎた在庫を適正水準に戻す動きや次工程への引き渡し待ちなどが一部品目で生じたため、在庫が増えている業種があった結果です。第1四半期末との比較では、在庫も2期ぶりに前期比マイナス1.3%の低下でした。6月の在庫率は2か月ぶりの前月比マイナス1.4%低下なので、在庫負担は少し軽減されたようです。

 

 四半期単位の前年同期比で作成する在庫循環図をみても、今年の第2四半期に在庫調整はそれなりに進んだようです。昨年第4四半期に在庫調整局面入りしたものの、今年の第1四半期には逆走し在庫調整局面と在庫積み上がり局面の境界線上に戻ってしまいました。この段階では、在庫調整の進捗が危ぶまれましたが、第2四半期が終わってみると、在庫調整局面をほぼ真下方向に進んでいきました。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160729100818p:plain

  

 生産は抑制しているものの外需不振に見舞われている鉱工業用生産財や出荷も伸びていますが結果的に「作りすぎている」非耐久消費財のように、在庫水準の高い財もありますが、資本財や耐久消費財では在庫水準が抑制されており、在庫調整を上手く進めているようです。

 

 

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160729101952p:plain

 

 

◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

◎鉱工業図表集スライドショー

 

◎データ冊子

 

◎鉱工業指数 しくみと見方-入門スライド