経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

エコカー補助金制度の実施期以降の販売台数の動きは、実は三車種三様

 最近、街で見かける自動車について、ハイブリッド車電気自動車などの「エコカー」が多くなったと感じませんか?やはり2回に渡って実施された、いわゆるエコカー補助金制度は、エコカーの普及に一役買ったのだと思います。他方、この制度は、自動車の国内販売に大きな「需要の先食い」をもたらしたという議論もない訳ではありません。

 そこで、第3次産業活動指数の内訳である自動車小売業指数で、エコカー補助金制度の実施期間を含む自動車小売業の推移を確認してみます。

 

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 上のグラフをみると、この制度が実施された期間中(注)は、自動車小売業の指数が急上昇し、その後大きく落ち込むという現象が、2回とも繰り返されたことが確認できます。また、その変動の大きさは、2014年4月の消費税増税を挟んだ、駆け込み需要と反動減の変動よりも、はるかに大きかったことも分かります。

 

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 しかし、自動車小売全体ではなく、乗用車の車種別販売台数の推移をみると、違った姿が見えてきます。

 やはり、エコカー補助金制度の影響を最も受けたのは、助成金額が大きかった普通車で、特に1回目の補助実施時における上下動の振幅が劇的でした。2回目の補助実施後や消費税増税後に販売台数が落ち込むこともありましたが、実は、エコカー補助金制度の実施前の水準からすると、2016年の販売台数は大分高い水準であることが見て取れます。

 小型車では、エコカー補助金制度の実施時期における上下動の振幅は小さいものの、普通車と同じような動きを見せています。しかし、小型車では消費税増税後の販売台数の低下傾向が収まっておらず、普通車とは異なり、2016年に入っても販売台数の水準が低いままとなっています。

 軽乗用車については、1回目のエコカー補助金制度の影響はあまり見られません。2回目の制度実施期には、販売台数が急増しており、さらに制度終了後も2014年まで販売台数が伸びていました。しかし、2015年の軽自動車税増税を転換点として、販売台数が急落し、2016年に入っても、その傾向に変化はありません。

 この結果、エコカー補助制度実施前の販売台数における車種別シェアと比較すると、2016年に入って、普通車の構成比率が大分増えるという結果になっています。勿論、このシェア変動が、エコカー補助金制度のみによって引き起こされたということではないでしょう。ただ、エコカー補助金制度の自動車小売業への影響は、一律ではなく「三車種三様」であったことから、自動車販売の車種別構造にそれなりの影響を与えたであろうことが推認されるところです。

 

(注)主なエコカー補助金制度の実施期間(期間は新車登録又は新車届出を行う日付を基準)

1回目:2009年4月10日~2010年9月7日まで

2回目:2011年12月20日~2012年9月21日まで

エコカー補助金制度は、補助対象範囲や補助金額等は異なるが、平成28年度も「クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金(CEV補助金)」として実施されている。

 

 

 

◎ひと言解説の一覧表

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