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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

5月鉱工業指数まとめ-資本財の国内向け出荷を除き、5月の鉱工業出荷は前月比大幅マイナス。北米、中国向け出荷も前月比低下。在庫循環の進展も今一つ。

まとめページ 鉱工業出荷内訳表 在庫循環

1.出荷(輸出向け、国内向け)
 平成28年4月(確報)の鉱工業出荷は、指数値で93.5、前月比マイナス2.6%低下(4月確報93.5、前月比1.6%)、前年同月比マイナス1.0%低下でした。2か月ぶりに出荷が前月比マイナスとなり、指数水準も昨年の最低値である12月の値を大きく下回り、今年2月の水準も下回りました。

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 5月の国内向け出荷は前月比マイナス1.7%低下、輸出向け出荷も前月比マイナス3.9%低下と、ともに2か月ぶりの低下です。あえて計算すれば国内向け出荷の低下によって、5月の鉱工業出荷は前月比低下となりましたが、輸出向け出荷の前月比低下幅が目立ちます。

 輸出向け出荷の方が、国内向け出荷よりも変動が大きいことは確かですが、5月の指数水準94.7は、第1四半期の指数水準97.8を大きく下回っており、4、5月平均からして、第2四半期の輸出向け出荷は前期比マイナスとなる可能性が高いと思われます。

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 国内向け出荷の財別分類をみると、資本財の国内向け出荷は前月比3.1%上昇と大きく伸びています。生産財が前月比マイナス3.9%低下、消費財も前月比マイナス5.5%となる中で、資本財の国内向け出荷の伸びが目立ちます。
 この資本財の国内向け出荷は、今年の3月には前月比7.0%と大きく上昇しましたが、4月の反動減もせいぜいマイナス0.1%低下に留まり、この3か月ほどは資本財の国内向け出荷は堅調です。さらに、輸送機械を除いた資本財の国内向け出荷では、3か月連続の前月比上昇となっています。

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 非耐久消費財の輸出向け出荷が辛うじて前月比プラスとなっている以外は、どの財分類の出荷も輸出向け/国内向けが振るわない中、資本財の国内向け出荷が輸出の不振を補ってくれています。

 

 また、輸出向け出荷の仕向け先別の動きをみると、米国向け出荷が前月比マイナス121.9%低下)、中国向け出荷が前月比マイナス8.2%低下と、ともに大幅な低下となっています。

 米国向け出荷においては、輸送機械工業、はん用・生産用・業務用機械工業の低下寄与が大きくなっており、中国向け出荷においては、はん用・生産用・業務用機械工業、化学工業や電子部品・デバイス工業の低下寄与が大きくなっていました。
 他方、5月の輸出向け出荷に対して、ASEANや台湾はプラス寄与となりました。

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 5月の鉱工業出荷は、2か月ぶりに前月比低下となりました。寄与という面では、国内向け出荷の方が大きいのですが、輸出向け出荷の低下幅の大きさが目を引きます。輸出向けの出荷の水準も大きく落ち込んでいます。米国向け、中国向けといった、上位仕向け先への輸出が大きく低下しています。
 ただ、資本財の国内向け出荷は前月比上であり、各財別分類の国内向け/輸出向け出荷が概ね前月比低下となるなか、この資本財の国内向け出荷が、唯一堅調さを維持していました。

 

2.在庫、在庫率、在庫循環
 平成28年5月(確報)の在庫は、指数値113.9、前月比0.4%上昇で、在庫率も、指数値117.8、前月比1.8%上昇と、ともに2か月ぶりに前月比上昇となりました。主に、鉄鋼業、そして電子部品・デバイス工業の在庫の上昇によって、鉱工業全体の5月末の在庫は上昇しました。

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 生産と在庫の前年同月比で見る「在庫循環図」においても、今年の第1四半期に一時的に「逆走」し、「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に移行しかかりましたが、5月末の段階では、在庫調整局面に状況が「回復」してはいますが、4月段階に比べると、「在庫積み上がり局面」方向に動いています。

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 また、鉱工業生産や出荷において生産財の不調が目立ったように、5月末段階では生産財の在庫調整が相対的に遅れています。
 また、非耐久消費財の在庫循環も鉱工業全体のものとは異なった動きになっていました。既にいち早くサイクルが進んでおり、この5月段階では、「次の」在庫循環プロセスの「在庫積み上がり局面」にあり、そのため鉱工業全体の在庫を積み上げる方向に作用してしまっていたようです。

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 全体的にみて、生産の前年同月比マイナス0.4%低下に比べ、出荷の前年同月比がマイナス1.0%低下と低下幅が大きくなっており、在庫調整の進展は予断を許さない状況となっています。

 

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◎鉱工業図表集スライドショー