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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

前年同期の水準と比べると、海外出荷では、日本向け出荷が低下。海外市場比率も4割を超えており、グローバル化の進展により、供給・需要両面で「国内ビジネス」の存在感が低下。

ミニ経済分析 グローバル出荷指数

 今回、平成28年Ⅰ期のグローバル出荷指数を計算したことにより、暫定値ではありますが、平成27年度の指数をまとめることができました。

 平成27年度のグローバル出荷指数は104.1で、平成26年度からは横ばいとなりました。

 このうち、国内出荷指数は平成26年度97.6、平成27年度96.3で、前年度比マイナス1.3%低下でした。一方、海外出荷指数は平成26年度124.4、平成27年度128.8で、前年度比3.5%上昇でした。

 

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 海外出荷指数については、仕向け先別として、自国(現地法人の立地国内向け)、日本向け、第三国向けの指数を作成しています。このうち、自国向け指数の前年度比は5.3%上昇、第三国向け指数の前年度比は0.8%上昇でした。日系製造業の現地法人の活動も「地産地消化」が進んでいます。

 目を引くのは、日本向け指数です。日本向け指数の平成26年度は125.1、平成27年度は121.8で、前年度比マイナス2.6%低下となりました。海外現地法人の活動においては、日本向けビジネスの比重が低下しているということになります。

 

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 この仕向け先別の海外出荷指数などを用いて、出荷海外比率(グローバル出荷に占める海外出荷の比率)、海外市場比率(グローバル出荷に占める日本以外向けの国内・海外出荷の比率)、逆輸入比率(日本の輸入に占める日本向けの海外出荷の比率)といった、「グローバル化比率」を計算することができます。

 

 平成28年Ⅰ期では、出荷海外比率は製造業全体で29.2%となり、日本製造業の出荷のうち約3割が既に海外の生産拠点からのものとなっていることになります。海外市場比率は40.9%で、4割以上が海外市場向けということになります。供給側からみても、需要側からみても、日本の製造業ではグローバル化が進んでいるということになります。

 

 業種的には、輸送機械工業の出荷海外比率は47.7%、海外市場比率は59.4%であり、輸送機械工業においては製造業平均よりもグローバル化が進んでいます。

 各比率の数字でいうと、輸送機械工業に次ぐのが電気機械工業で、出荷海外比率が30.4%、海外市場比率が40.7%です。これらの比率は丁度、製造業平均に近いものですので、輸送・電気以外の業種は、押し並べて平均よりもグローバル化が「進んでいない」ということに表面的にはなります。

 ただ、これは、他の業種のグローバル化が進んでいないというよりも、輸送機械工業の供給・需要両面におけるグローバル化が飛び抜けて進んでいる結果と解釈すべきかと思います。

 

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 なお、日本の産業構造の変化という意味では、生産の海外拠点化を示す出荷海外比率の変化に注目したいと思っています。

 出荷海外比率の変化が、国内出荷指数と海外出荷指数のどちらの変化によって生じているのかを、出荷海外比率の前年同期比に対するそれぞれの寄与度という形でグラフ化しています。

 平成28年Ⅰ期、つまり平成27年Ⅰ期からの出荷海外比率の上昇に対しては、国内出荷の減少である「国内要因」に寄与が大部分となっており、海外出荷の増加である「海外要因」の寄与はほとんどありませんでした。

 これまで、出荷海外比率の上昇は、海外出荷の増加によって引き起こされていましたが、平成28年Ⅰ期の出荷海外比率の上昇は、国内要因で説明されるという、希な現象が起きていたことになります。 

 

 さて、グローバル化が進むことで、供給も需要も日本で「閉じた」国内ビジネスの存在感が低下してきています。この「国内ビジネス」とは、国内出荷のうち、国内向け出荷、つまり供給・需要ともに日本国内で完結しているビジネスと定義します。これに対し、海外出荷と輸出向け出荷は、供給・需要の少なくともどちらかが海外という意味で「海外ビジネス」としたいと思います。      

 

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 平成28年Ⅰ期は、輸出向け出荷指数は前期比上昇でしたが、海外出荷指数は前期比低下となり、この2つを加重平均した「海外ビジネス指数」は、前期比マイナス0.6%低下となりました。「国内ビジネス指数」も前期比マイナス2.0%低下でした。

 国内ビジネスと海外ビジネスのウェイトは、ほぼ3:2ですので、この平成28年Ⅰ期のグローバル出荷指数の前期比低下に対する寄与では、国内ビジネスの低下が響いていることになります。日本向け海外出荷が前年水準を下回っていること、他方で、輸出向け出荷は伸びていたことから、日本市場の弱さが見えてくるようです。

 

 

 

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◎グローバル出荷指数とは?

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◎ミニ経済分析のページ

グローバル出荷指数(平成22年基準)について(平成28年Ⅰ期(第1四半期))|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

 

◎スライドショー 

 

 


 

◎ミニ経済分析の一覧表

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