経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年5月の主要月次指標のまとめ資料-5月の鉱工業指数は、「想定外」に前月比マイナス2.6%低下。工場の材料や部品である生産財生産が大きく低下。サービス(第3次産業指数)も前月比マイナス0.7%と2か月ぶりの低下だが、水準自体は低くない。

 主要な月次経済指標である鉱工業指数、小売販売額指数、第3次産業活動指数の平成28年5月分の結果を整理した資料です。

  5月は、横ばい程度が想定されていた鉱工業生産が、前月比マイナス2.6%と大きく低下しました。化粧品類や土木建設機械など4月に生産上昇品目だった最終需要財の反動減的な低下が目立ちます。しかし、5月の生産低下に対する寄与(影響度)を需要先別の財別分類でみると、工場の材料や部品となる生産財の生産低下の影響が最も大きく、過半を占めています。各業種において、生産財に属する品目が広く生産を減少させていました。

 一方、サービスについても、第3次産業活動指数の前月比はマイナス0.7%の低下ではありましたが、その活動水準103.5は、決して低いレベルではなく、リーマンショック前の比較的高い水準に留まっています。5月は、鉱工業とサービス活動のレベル感において、差異のあった月でした。

 

 そこで今回の資料では、鉱工業生産の低下の主因となった生産財の生産動向について、データを整理しています。

 

 まず、平成28年5月の各指標の基調判断については、鉱工業生産は「一進一退」、小売販売額は「弱含み傾向」、第3次産業活動についても「一進一退」と、3指標揃ってあまり良くない基調判断での据え置きということになりました。

 ただ、第3次産業活動指数については、あまりに4月に高すぎた対事業所サービスの反動的な低下が響いているという面が強く、水準自体は低くはありません。他方、個人消費の指標である小売販売や対個人サービスは、やはり余り勢いが良くありません。特に、選択性の強いし好的個人向けサービスの今年に入ってからの「弱さ」が、4月とは打って変わって5月は鮮明になってきているようです。

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 さて、5月の鉱工業生産を押し下げた生産財の生産推移を見てみます。

生産財は、完成品である最終需要財と比較して、その生産が今年3月以降明らかに低調になっていることが分かります。現在の日本国内生産における生産財のウェイトは半分以上を占めており、輸出に占める割合も大きくなっています。

それゆえ、生産財の生産不調は、鉱工業全体の動きに大きな「重し」となってしまいます。

 5月の鉱工業生産の低下に及ぼした財別の寄与を見ても、今年に入って2月と5月に、生産財が圧倒的に大きな低下寄与を見せました。また、過去の推移をみても、生産財が鉱工業全体の方向を決めていたことが多いことが分かります。

 

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 出荷指数の前年同期比から在庫指数の前年同期比を差し引いた値(「出荷・在庫バランス」)をみると、在庫調整の状況をみることができ、この出荷・在庫バランスの棒グラフが下の方に伸びていると、在庫が「貯まっている」ということになります。

この出荷・在庫バランスを、鉱工業全体、生産財(材料・部品類)、最終需要財(完成品)で比較すると、今年に入って生産財の棒グラフが明らかに下方に伸びており、他のグラフを赴きが異なることが分かります。ここに来て、生産財の在庫調整は最終需要財と比べて遅れており、むしろ悪化しているという面もあるようです。

 

 5月の生産財出荷指数は、国内向け、輸出向けともに低下しています。特に、輸出向けの低下幅が大きくなっており、ここ1、2年の日本国内生産のけん引役の一つ出会った電子部品類の輸出低下が響いています。

また、5月の第3次産業活動指数をみると、一部生産財の取引を含む「機械器具卸売業」や「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」活動指数なども低下となっています。

 生産財の分野では、出荷、流通の面でも停滞感が出てきています。

 

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◎スライド資料(ダウンロード)

 

 

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