経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

5月の第3次産業活動指数の低下は、「高すぎた」4月から対事業所サービスが反動的に低下したことによるもの。ただし、対事業所サービスの水準自体は高く、逆に、し好的個人向けサービスが振るわないことが明瞭となって来ている。

 第3次産業全体を対個人と対事業所に分けて集計したものをみてみます。

 平成28年5月は、広義対事業所サービスが前月比マイナス1.6%低下と3か月ぶりの低下となりました。広義対個人サービスは、前月比横ばいでした。

 

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 他方、前年同月比をみると、昨年4月以降、継続的に前年同月水準を上回っている対事業所サービスに対し、対個人サービスについては、ここ2か月連続で前年水準を下回っており、前月比における対事業所/対個人の関係とは異なった結果となっています。

 両指数の推移のグラフをみると、対事業所サービスは、昨年後半から月々の振れが大きくなっているのですが、その上下動の範囲が緩やかに上昇しているように見えます。四半期の推移をみても、あるいは、3か月移動平均をみても、同様の上昇傾向を見て取ることができます。対個人サービスについては、月々の指数グラフが、今年の2月をピークに落ち込んでいることが一目瞭然です。

 確かに、5月の第3次産業活動指数総合の前月比低下は、広義対事業所サービスの低下によるものではありますが、水準的には、対個人サービスが重しになっているということができます。

 

 では、対個人サービスのどこに不調の原因があるのか見てみます。

 対個人サービスは、生活必需的性格の強い「非選択的」と、そういった性格のより少ない「し好的」の2つの系列に分けることができます。5月については、非選択的個人向けサービスは、実は前月比1.2%上昇と2か月ぶりに上昇していました。他方、し好的個人向けサービスは、マイナス1.0%低下となっています。

 この2つの個人向けサービスについては、前月比の推移もさることならが、前年同月比の動きでは大きな違いが生じています。非選択的個人向けサービスでは、継続的に前年水準を上回る状態が続いていますが、し好的個人向けサービスでは3か月連続して前年水準を下回っています。今年の2月は前年同月比プラスですが、うるう年効果を考えると、実質的にはマイナスという評価も可能であり、そうなると昨年11月から前年水準を下回る状態が続いていることになります。

 月次指数の基調的動きについても、3か月移動平均のグラフでは、非選択的がここに来て上昇している一方、し好的は横ばい推移から、更に足元で下がり気味になっているという状態です。対事業所サービスの移動平均のグラフを見れば、確実に上昇基調になっています。このように、対事業所サービスとし好的個人向けサービスとの対比が明瞭になってきています。

 

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 個人向けサービスの中でも、生活関連型サービスである「医療,福祉」と生活娯楽関連サービスとでは、その動きがかい離してきています。また、飲食関連に比べて、高水準で安定していると思われていた観光関連も5月は前月比、前年同月比ともにマイナス(特に、旅行業が悪い。遊園地・テーマパークも今ひとつ)となるなど、し好的個人向けサービスには好材料がありません。

 

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 5月は、確かに4月に急伸した投資向けサービスが、前月比マイナス6.8%低下となるという、高すぎた4月の水準からの反動減、特に対事業所サービスにおける反動減によって低下しています。しかし。水準的には、対事業所サービスの5月は、第1四半期、あるいは3月の指数値よりも高い状態を維持しています。対個人サービスの5月は、第1四半期、あるいは3月のレベルを下回っており、特に、し好的個人向けサービスにおいて、第1四半期の水準からの落ち込みが目立つという結果になっています。

 

 

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