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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年5月のサービス活動(第3次産業活動指数)は、前月比マイナス0.7%低下と2か月ぶりの低下。ただし、指数水準103.5は、リーマン・ショックが起きる前の限られた時期にだけ出現した高い水準です。

 平成28年5月の第3次産業活動指数総合は,季節調整済指数103.5、前月比マイナス0.7%低下と2か月ぶりの前月比低下となりました。

 

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 4月の第3次産業活動指数は、投資向けサービスを中心に大きく前月比で上昇し、ほぼ8年ぶり、平成20年5月の104.7以来の高い水準となりました(消費増税前の駆け込み需要期である平成26年3月を除く)。そこから、5月は前月比マイナス0.7%低下と大きく低下となりました。4月の上昇幅分が低下してしまっており、3月の103.5(4月段階の3月値は103.2であったが、確報値で103.5)と同じ値となっています。

 ただ、5月の水準は、今年の1月、3月に見せた水準であり、4月の極端な上昇からの反動減が生じて当然と考えれば、低い水準ということではありません。前年同月比もほぼ14か月連続プラス(昨年12月は横ばい)で、5月も前年同月比0.7%プラスです。そもそも、指数103.5は、指数値としては101時点中上から14位タイという高水準で、この水準より高い時期というのは平成20年のリーマンショック前、消費増税前の駆け込み需要期と今年に入ってからの時期だけです。

 それゆえ、4月と5月の指数値の平均103.9は、第1四半期の103.6より、0.3%近く高い水準であり、6月の指数値がマイナス0.4%ほど低下して103.1を下回らない限り、第3次産業活動指数総合は前期比横ばいないしプラスを維持できることになります。

 5月速報段階の鉱工業生産指数では、4、5月平均が96.1で、6月の前月比が1.2%程度ないと前期比マイナスとなる結果です。これと比べると、第3次産業活動指数が表すサービス活動では、5月に前月比マイナスをみせたとは言え、今年の第2四半期が悪いというレベルにまでは落ち込んでいません。

 

 さて、平成28年5月の第3次産業活動指数では、11大分類業種のうち、低下業種が6業種、上昇業種が4業種、情報通信業1業種は横ばいとなっています。

 低下6業種のうち、低下寄与の大きい方から5番目までの業種は、4月に前月比で上昇していた業種で、やはり4月が「良すぎて」、5月は低下となったと言えるでしょう。ただ、低下寄与が6番目の小売業は、マイナス0.2%低下と小幅ではありますが2か月連続の低下となりました。

 

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 5月の低下業種の中では、卸売業と事業者向け関連サービスの2業種の低下寄与が特に大きくなっています。

 卸売業については、その内訳の「医薬品・化粧品等卸売業」や「農畜産物・水産物卸売業」、「食料・飲料卸売業」を含む「飲食料品卸売業」が低下していました。4月の卸売業においては、「医薬品・化粧品等卸売業」の寄与が大きくなっていましたので、「医薬品・化粧品等卸売業」において大きな反動減が生じたことになります。5月の鉱工業生産・出荷をみると、化粧品類が低下要因になっていましたので、まさにその通りの結果となっています。

 他方、4月に卸売業のけん引役であった機械器具卸売業も5月は前月比低下となってはいますが、相対的に小幅な低下に留まって3月水準を上回った状態を維持しています。

 また、飲食店,飲食サービス業は前月比プラスだったものの、飲食料品小売業が前月比マイナス0.7%低下となったこととも、卸売業の低下に響いたようです。

 事業者向け関連サービスでは、4月に伸びていた建設コンサルタントは引き続き前月比上昇と高水準を維持(前年同月比16.7%上昇)していますが、同じ土木・建築サービス業のうち、測量や地質調査が2桁の幅で前月比低下となりました。

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 5月の第3次産業総合の前月比低下への寄与が大きいのは、卸売業と事業者向け関連サービスでした。こうみると、4月に良かった事業者向けサービスが全体的に大きく下がっているようにも見えますが、必ずしもそうではない面もあります。

 卸売業については、「産業使用者向け」と「小売業向け」で分けた集計をしていますが、5月はその違いがはっきりとしています。「産業使用者向け」では前月比マイナス1.2%低下、「小売業向け」では前月比マイナス5.0%低下であり、ウェイト差を考慮しても、5月は小売業者向けの卸売業が、卸売業全体を低下させていました。前年同月比では、「産業使用者向け」が4.2%上昇、「小売業向け」がマイナス1.2%低下と明暗がくっきりと分かれています。

 事業者向け関連サービスにおいても、業種全体が大きく低下したというよりは、局所的に測量や地質調査が、3、4月と「良すぎた」反動が出ているという印象です。

 

 卸売業のうち、小売業向け卸売業の総合に対する低下寄与(マイナス0.33)と、生活娯楽関連サービス、小売業の低下寄与を合算(0.55)すると、産業使用者向け卸売業の総合に対する低下寄与(マイナス0.09)と事業者向け関連サービスの低下寄与の合計(0.41)より大きくなっています。事業者向けのサービス提供は、大分類低下業種の低下寄与の一見した状況ほどには悪くないのではないかと思います(事業者向け関連サービスでは前年同月比はプラスで水準は高い。他方、生活娯楽関連サービスや小売業では、昨年11月から前年同月比マイナスが続いており水準も高くない)。

 

 以上、5月の第3次産業活動指数では、比較的好調であった3月、4月からの反動的要素もあって、卸売業、事業者向け関連サービス(測量、地質調査)、5月は横ばい業種であるものの情報通信業(受注ソフトウェア)などのうち、企業の投資行動に関連するサービスが確かに局所的に低下要因とはなっています。しかし、卸売業、事業者向け関連サービス業、そして勿論情報通信業も前年同月比は、プラス基調です。

 逆に、5月の前月比低下に対する業種としての低下寄与は、相対的に小さいものの、生活娯楽関連サービスや小売業は、今年に入って前月比でマイナスを見せることが多く、前年同月比もマイナス基調となっています。

 5月の低下の主要因ではないかもしれませんが、少し長めのスパンでみると、第3次産業活動指数が完全にリーマンショック前の水準に安定的に回復していく上での「重し」は、存外こういった個人向けサービスの業種なのかもしれません。

 

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