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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

北米、中国の現地法人の調達行動では、その経済圏化が進んでおり、脱アジア化(中国では、中国除くアジア)も進展。日本からの輸入と日系企業からの調達を合わせた広義の日系調達では、北米の方が中国よりかなり比率が高い。

ミニ経済分析 グローバル化 グローバル出荷指数 鉱工業指数

 日系製造業の海外現地法人の活動のデータを概観してみると、中国立地の現地法人の法人数や売上高などにおいて「環太平洋化」、つまり、中国の存在感が急激に高まるとともに、北米における現地法人の活動水準が高い状態も持続していることが分かります。

 そこで、日系海外現地法人の立地の2大拠点である中国と北米における調達行動の比較を行ってみたいと思います。

 

 まず、「日本からの調達(輸入)」「現地調達」「第三国からの調達(輸入)」を比較してみたいと思います。

 (地理的な意味での)現地調達が6割を超えていること、平成13年度に4割前後あった日本からの調達比率が2割台に低下していること、第三国調達が1割以上あることなど、平成26年度段階の調達行動の構成比は、北米と中国と同じようなものとなっています。

 時系列で見ると、北米の現地調達比率が6割に達したのは、リーマンショック前の平成19年度でしたが、中国の現地調達比率がそのレベルになったのは、リーマンショック後、そして東日本大震災後の平成23年度でした。現地調達化においては、日系現地法人の活動が先行していた北米にリーマンショックを挟んで中国が追いついたということになります。

 

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 また、第三国調達では、平成13年度段階から2割近かった中国と今世紀初めには1割なかった米国という違いがありました。しかし、平成26年度段階では、両地域ともに14%となっています。元々、ASEANNIEsといった製造業のサプライチェーンを前提として現地法人が立地した中国では、第三国調達が高かったということなのかと思います。

 

 では、中国と北米で異なる動きとなっている現地法人の第三国調達を比較してみます。

 中国立地の現地法人の第三国調達は、ほぼその9割がアジア地域からの調達です。欧米からの調達は平成13年度段階で1割程度ありましが、リーマンショック直前の平成19年度には5%に低下し、平成26年度では3%と、「その他地域からの調達」の比率も割り込んでいます。日本、中国現地を含む西太平洋地域からの調達が99%以上を占めていることになります。

 

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 他方、北米地域の第三国調達では、平成13年度段階ではアジアからの調達が5割以上あったのですが、平成26年度ではアジアからの調達が3分の1程度に低下しています。特に東日本大震災のあった平成23年度の43%から平成26年度の34%へと、この3年間で比較的急速に調達の脱アジア化が進みました。この同じ時期に欧米からの調達の比率も半減しています。そのような視点から見ると、この時期に北米域内調達比率も5割の境界線を越えたことに目が行きます。つまり、北米地域の現地法人の調達行動では、平成23年度から改めて「北米域内化」が進捗しているということになります。

 

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 このように北米現地法人の調達行動において「域内化」が進んでいる訳ですが、仮に中国を一つの大きな経済圏、それも北米に匹敵する経済圏と考えるならば、中国現地法人の調達行動でも、その現地化=中国以外のアジア(日本を含む)からの調達低下が見られ、「中国域内化」が進んでいると言えそうです。

 

 改めて立地国内の現地調達における地場企業の比率をみると、北米地域の現地法人の調達では55%が地場企業日系企業が44%ですが、中国の現地法人の調達では65%が地場企業日系企業が29%なので、中国において地場企業化が進んでいます。日本からの輸入と日系企業からの調達を合計した「広義の日系」からの調達比率は、平成26年度で北米では約52%、中国では約41%となっています。

 

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 北米、中国という大きな経済圏で活動する日系製造業の現地法人は、その経済圏の中での調達行動を進めており、調達先の脱アジア(中国の場合は、中国を除くアジア)化が見られます。日本からの輸入については、北米、中国ともに、全調達額の4分の1以下になっています。ただし、サポーティング・インダストリーの進出の歴史の違いなのか、現地調達における日系企業の存在感が、北米と中国では異なることから、広義の日系からの調達比率には、10%ポイントほどの差があります。中国現地企業の調達行動における「現地化」が、地場化と日系化のどちらによって進むのか良く見ていく必要があるようです。

 

 

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◎ミニ経済分析のページ

海外子会社の立地場所によって、材料や部品の調達先に違いは生じているのか?;海外現地法人の調達行動を立地地域別に把握する試み|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

◎スライドショー 

 

 

◎最新のグローバル出荷指数についてのまとめ 

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

 

◎ミニ経済分析の一覧表

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