経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

北米現地子会社の調達行動では、地理的には北米域内調達が7割だが、国籍的には日系調達が5割を維持。欧州現地子会社の調達行動では、地理的に欧州化が進んでおり、第三国調達における欧州比率が高く、日系調達の構成比は低い。

 日系製造業の海外現地法人の活動のデータを概観してみると、中国立地の現地法人の法人数や売上高などにおいて「環太平洋化」、つまり、中国の存在感が急激に高まるとともに、北米における現地法人の活動水準が高い状態も持続しており、他方、明らかに欧州に立地する現地法人の存在感が低下するという現象が起きていたことが分かります。

 そこで、アジア地域につづいて、「環太平洋化」の一翼を担っている北米地域の海外子会社の調達行動と、その現象とは異なる動きを見せる欧州地域の子会社の調達行動を、内訳構成比の変化という面から比較してみたいと思います。

 

 まず、北米地域の現地法人がどのような調達行動をとっているのか見てみます。

 やはり、北米の現地法人の調達の6割が、現地からの調達となっています。平成13年度との比較では、日本からの調達が、現地調達と第三国からの調達に置き換わっており、特に第三国からの調達比率が倍増していることが目立ちます。

 

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 その北米現地法人の第三国調達先も、北米地域が過半を超えています。アジア、欧州からの調達が、北米域内調達に変化してきたということになります。特に、平成13年度に過半を超えていたアジアからの調達が2割以上、構成比を低下させていることが目立ちます。この結果、地理的には7割近くが北米地域内からの調達ということになります。

 

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 北米地域の現地調達(立地国内調達)の構成比では、地場企業が過半を超えており、日系企業からの調達は約4割です。全調達額の内訳構成比で比較すると、北米地場企業からが約34%、日系企業と日本からの輸入を合計した「広義の日系」が約54%となります。実は、北米の現地法人の調達においては、日系色はそれなりに強いという結果になっています。

 

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 北米の現地法人の調達においては、リーマンショック直前にほぼ平成26年度の調達構成比率の形になっており、その傾向は「日本からの調達の低下」=現地調達化ということになります。地理的には、調達の7割が北米地域内からのもので、日本からの輸入25%を足すと大部分を占めることになり、アジア地域からの調達は想定外に低いと言えるかと思います。

 また、その地理的な意味での現地調達の中では、4割以上が未だ日系企業からの調達で、国籍的な意味での地場調達よりも広義の日系調達の方が多いという結果になっています。

 

 

 次に欧州の現地法人の調達行動について見てみます。

 欧州の現地法人の調達では、現地調達(立地国内からの調達)が4割に達していません。欧州には、北米地域とは異なり非常に多数の国家から形成されるEUという自由貿易圏があるので、現地法人の立地国内での調達という狭い意味での「現地調達」の比率は下がるのは、当然なのかもしれません(アジアの場合には、多数の国家からなる貿易圏、分業ネットワークはありますが、そこに大きな自由貿易圏が制度的に存在するとは言えず、多数の取引面での国境線が引かれています)。

 平成13年度との比較では、日本からの調達が第三国からの調達に置き換わっていると言えそうです。また、平成23年度に一時的に増加した「現地調達」が「第三国調達」に変化しているのも、欧州ならではの動きかもしれません。

 

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 欧州の現地法人の第三国調達先は、欧州地域が7割を占めており、やはり第三国とはいっても、欧州域内調達となっています。現地調達に第三国調達の欧州分を加えると、平成26年度の欧州域内調達比率が約64%で、これを広義の現地調達と考えれば、中国(64%)、北米(61%:ここに北米地域からの第三国調達を加えると69%)と実は変わらないと言えるかと思います。

 ちなみに、平成13年度段階の、欧州の広義の現地調達比率は約53%でしたので、この10年で日系の欧州現地法人の調達においても広義の現地化=欧州域内化がそれなりに進んでいるということになります。

 

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 狭い意味での現地調達の内訳構成比では、地場企業からの調達が7割以上となっています。全調達額の構成比で比較すると、地場(立地国内)企業の26%に対し、日系企業と日本からの輸入を合計した「広義の日系」が約36%と、他地域に比べると低い水準になっています。

 欧州域内調達がEUという制度を背景に盛んだとすると、狭い意味での現地調達において、「その他の企業」からの調達ももっと多いのかと思われましたが、そうでもないようで、足下の動きでは4%程度に留まっており、現地調達においては「地場化」を見せています。

 いずれにせよ、欧州では欧州域内からの第三国調達が多いので、地場企業日系企業との比較以上に、調達の「欧州化」は進んでいると評価すべきと思われます。

 

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 欧米2地域の比較では、北米現地子会社の調達行動では、地理的には北米域内調達が7割となっていますが、国籍的には日系調達が5割を維持しています。他方、欧州現地子会社の調達行動では、地理的に欧州化が進んでおり、第三国調達においても欧州比率が高く、日系調達の構成比は、北米現地子会社の日系調達の比率に比べて、低くなっています。やはり、ヨーロッパは太平洋からは遠いということなのでしょうか?

 

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 では、稿を改めて、北米と欧州の海外現地法人の調達行動について、比較してみたいと思います。

 

 

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◎ミニ経済分析のページ

海外子会社の立地場所によって、材料や部品の調達先に違いは生じているのか?;海外現地法人の調達行動を立地地域別に把握する試み|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

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◎最新のグローバル出荷指数についてのまとめ 

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◎ミニ経済分析の一覧表

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