経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年5月、鉱工業生産の基調判断にはついては「一進一退」で据え置き。今年に入って「上がっては下がる」が続いている状態。6月の結果次第では、二四半期連続で、鉱工業生産は前期比マイナスとなる可能性も。

 平成28年5月の鉱工業指数速報の結果をまとめてみます。

 

 5月の生産、出荷は3か月ぶりの前月比低下でした。生産、出荷ともに、前月比マイナス2.3%低下と大きめの低下幅を見せています。5月実施の前回生産予測調査では、生産が横ばい程度で推移すると見込まれていましたが、そこから「想定外」に大きく低下することとなりました。

 

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 生産減、出荷減ということで、在庫は2か月ぶりに上昇しました。4月末段階では、第1四半期と比べて、在庫循環が進展していましたが、5月末段階ではやや停滞している印象を持ちます。

 

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 5月の生産については、指数水準95.0とかなり低くなっており、昨年の最も低い指数値であった12月の水準を下回っています。業種的には、化学工業、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業、電気機械工業といった業種が生産低下の要因となりました。他方、輸送機械工業や情報通信機械工業は生産上昇方向に向かっていました。

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 こういった低下業種の動きをみると、設備投資関連の財の生産が低下したようにも思われますが、実は資本財の生産は、半導体製造装置などの生産が好調で、前月比上昇でした。製造設備用や事務用(コンピュータ)が上昇要因となっていました。

 逆に、鉱工業生産が大きく低下しているので、自動車用の駆動伝導・操縦装置部品や軸受、半導体メモリ等の機械部品類、そして化学原料といった生産財が大きく低下しています(一部に輸出の不振あり。低下寄与の大きさでは、おおむね国内:輸出=3:2)。また、消費財、特に非耐久消費財が低下していました。

 

 改めて財別の在庫循環を確認してみると、生産財非耐久消費財の循環図が変則的になっており、在庫の前年水準との見合いでは、生産の抑制が余り上手くっていないようです。逆に言えば、企業や家計のフローの財需要の勢いが余り良くないということも言え、特に生産財の在庫圧力が、今後の生産の下押し圧力とならないことを期待したいところです。

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 先行き見込みについては、6月の生産見込みは前月比1.7%上昇ですが、報告された回答から傾向的なバイアスを除去した補正値では、前月比0.5%上昇程度になるものと計算されます。7月の生産予測は補正なしで前月比1.3%上昇となっています。向こう2か月の生産のけん引役は、やはり輸送機械工業です。2月、4月とサプライチェーンに影響を及ぼす事故や災害に見舞われましたが、普通乗用車の生産が本格的に回復してくるようです。

 ただ、6月、7月の生産計画の水準も製造業全体では前年実績水準を下回っており、向こう2か月の鉱工業生産のけん引役を期待される輸送機械工業も、7月計画では前年実績水準を下回ってしまうということになっており、2か月連続上昇見込みとは言っても、若干力強さに欠けるようです。

 

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 1月の大きな生産の上昇、2月の大きな低下、そしてそこからの3、4月と2か月連続上昇から、5月に大きく生産が低下ということで、鉱工業生産は引き続き不安定な動きが続いています。

 これらの状況を踏まえ、5月の鉱工業生産の基調判断について「一進一退」と据え置きたいと思います。

 

 

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◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

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◎データ冊子

 

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