経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

2016年5月の鉱工業出荷も前月比マイナス2.3%低下。生産減少、出荷も減少で、在庫も2か月ぶりに前月比上昇。在庫調整がスピーディーに進んでいるとは言いにくい状況

 5月の「出荷」は、季節調整済指数93.8、前月比マイナス2.3%低下と、生産同様3か月ぶりの前月比低下となりました。今年の2月の出荷指数は、92.8ですので、さすがにそのレベルにまで落ち込みはしませんでしたが、昨年の最低値である12月の94.9を下回ってしまいました。レベル的には、景気の「谷」に近い時期(平成24年9~11月)の出荷レベルになっており、今年の5月の出荷の勢いは良くないと言わざるを得ないと思います。

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 平成28年5月の鉱工業出荷では、速報15業種中13業種で前月比低下、2業種で前月比上昇でした。出荷押し下げ要因となった業種も、化学工業、はん用・生産用・業務用機械工業、電子部品・デバイス工業と生産と同じです。

 

 需要用途別の財別出荷指数をみると、生産財、(輸送機械を除く)資本財、消費財等ほとんどの分類で、出荷は前月比マイナスとなっています。ほとんどの分類で出荷が前月比プラスとなっていた4月とは様変わりということになります。

 出荷において低下寄与が大きかったのは、やはり生産財で、自動車部品である駆動伝導・操縦装置部品やメモリ用のモス型半導体の出荷低下が響きました。また、耐久消費財の低下寄与も大きく、小型乗用車、カーナビなどの出荷が低下していました。

 5月の鉱工業出荷面で、輸送機械工業の低下寄与が特別高い訳ではありませんが、2月の計画減産から復帰した今年の3月を除くと、昨年11月から輸送機械工業の出荷の前月比はマイナス続きとなっているのが気になるところです。

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 生産減、出荷減となった5月ですが、在庫は前月比0.3%上昇と2か月ぶりの上昇となりました。前年同月比も小幅ではありますが、0.6%上昇と昨年水準を上回っており、この状態が3か月続いています。

 ただ、在庫循環図を見ると、鉱工業全体の生産が昨年同時期の水準と比べて抑制されているので、今年の第1四半期との比較で、在庫循環自体は進捗しています。しかし、鉱工業出荷が低下していることもあり、在庫調整がスピーディーに進んでいるとは言えないようです。

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 財分類別にみると、資本財や耐久消費財では在庫循環が進捗していますが、生産財非耐久消費財の在庫循環がやや変則的なものとなっています。生産財では、在庫調整局面にはあるものの、全体が左上方に動いており、そこから在庫減局面に移行する道筋が見えません。非耐久消費財に至っては、(意図せざる)在庫積み上がり局面をまっすぐ上に動いており、在庫循環が進展する気配がありません。企業や家計のフローの財需要(日々使って消耗する品々)が、生産企業の想定しているもの程には強くなくなってきており、そのズレが拡大しているのかもしれません。

 特に、生産財は月々の生産レベルを、今年に入って前年水準から大きく落としているにもかかわらず、在庫水準が下がらない状態です。非耐久消費財については、生産水準自体は継続的に前年水準を上回っていることもあり、今年に入って在庫が恒常的に前月比プラスになっています。特に、3、4、5月では、その前年同月末比上昇幅が大きくなっており、在庫が貯まりぎみになっています。

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