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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

4月の鉱工業指数まとめ(その1);鉱工業生産は前月比小幅上昇で、目立ったけん引役が見当たらず。稼働率は前月比低下。4月の鉱工業生産は不調ではないが、好調とも言い切れない結果に。5月は前月比横ばいの計算結果で、6月の上昇には期待。

1.生産、稼働率

 平成28年4月(確報)の鉱工業生産は、指数値で97.2、前月比0.5%上昇(3月確報96.7、3.8%)、前年同月比はマイナス3.3%低下でした。

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 4月の鉱工業生産の業種別の動きをみると、食料品・たばこ工業が珍しく上 昇寄与一位となっていました。4月の鉱工業生産では、上昇業種の中に突出して寄与の大きい業種が存在しなかったため、あまり生産上昇寄与で上位に来ること が少ない食料品・たばこ工業が生産上昇寄与トップとなりました。前月比12.8%上昇となった清涼飲料の生産増が主たる要因となっています。

 他方、生産低下については、3月に生産が例年の期末要因以上に伸びた橋りょうの反動減、熊本地震の影響で生じた普通乗用車の減産の影響で、金属製品工業と輸送機械工業の2業種が大きく生産を低下させていました。

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 また、4月の製造工業稼働率は、指数値で96.5、前月比マイナス 1.0%低下、前年同月比はマイナス4.3%低下でした。稼働率指数においては、統計作成方法の違いから、輸送機械工業、特に完成車の稼働率の影響が全体 的に強く出るようになっています。確かに、4月の鉱工業生産の前月比はプラスでしたが、前月比マイナス2.3%低下となった乗用車や前月比マイナス 7.3%低下となったトラックのように完成車の生産は低調であったので、輸送機械工業の稼働率が大きく低下し、その結果、製造工業全体の稼働率も前月比低 下となりました。

 他の低下業種としては、生産低下寄与が最も大きかった金属製品工業、そして稼働率の分母である生産能力が上昇していた電気機械工業が稼働率を引き下げていた業種でした。

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 4月の鉱工業生産を振り返ると、2か月連続の前月比上昇とは言え、普通乗用車の減 産や橋りょうの反動減があったため、その上昇幅は小幅なものに留まり、目立った「けん引役」が不在でした。4月の鉱工業生産は不調とは言えませんが、稼働率も伸びていないことや、前年水準から低下となっていることも合わせて考えると、好調とも言い切れない結果です。

 

 

2.5月以降の生産見込み

 5月に実施した製造工業予測調査の結果では、5月の前月比見込みは2.2%上昇(補正なし)、6月の前月比予測0.3%上昇(補正なし)という結果になっています。

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 5月の前月比見込みが高めに見えますが、それは4月の生産実績が見込みよ りも落ち込んでいたことによる部分が大きく、5月の計画値自体がマイナス1.5%分、下方修正されています。この「前月比上昇」への寄与が大きいのは、「はん用・生産用・業務用機械工業」と情報通信機械工業で、熊本地震の影響で4月の生産が低下した輸送機械工業は、まだ余波が残っているようで5月の生産 計画は前月比マイナスとなっています。

 この上昇寄与の大きい2業種は、実績段階において下振れが生じることが常であり、そういった調査報告値に含まれる上昇バイアスを除去した補正値では、5月は横ばいが見込まれるという計算結果です。

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 6月については、輸送機械工業を除く機械工業4業種は6月の生産計画を5月よりも少ない計画としていますが、輸送機械工業は6月には3か月ぶりに生産量を増やす計画となっています。6月生産の上昇については、この輸送機械工業の上昇寄与が大部分を占めています。

 6月の計画値は、今年3月の生産水準には達しませんが、昨年6月水準よりは多い生産予測となっています。輸送機械工業の予測からの下振れは比較的小さいので、地震の余波がなくなって来ていれば、6月生産を高い確度で引き上げてくれるものと思います。

 5月の生産実績が補正前の高い水準から、補正後の低い数値になれば、6月の前月比をより引き上げる方向に行くことから、輸送機械工業の生産増加計画がそれなりに実現するであろうことと合わせて、6月の前月比プラスは期待出来るかと思います。

 4月の鉱工業生産が2か月連続の上昇で、今年第1四半期の指数値96.1よりは少 し高い97.2で始まり、補正後の5月の前月比見込みがほぼ横ばい、そして6月がさらに前月比プラスが期待できるということになると、今年の第2四半期の 鉱工業生産については、2四半期連続低下になることは避けられるのではないかと思われ、是非ともそうなって欲しいと思います。 

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◎予測調査のページ

製造工業生産予測指数|製造業の未来|経済産業省

 

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