経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

グローバル化の進む製造業では、海外現子会社の数が今世紀初頭からでは倍増、その売上高も平成26年度には130兆円、調達額も85兆円という規模に達している。日系製造業の出荷量の伸びは、海外子会社からの出荷の伸びによっている。

 今世紀に入って、日本の製造業のグローバル化も進み、日本企業からの出荷量のうち3割が海外拠点からのものとなっています。また、その出荷先についても4割が海外市場となっています。

 同時に、日本からの輸出量の5割以上が、企業の事業活動に投入される部品や材料である「生産財」となっており、前世紀に家電製品などの完成品を世界中に輸出していた様とは、大きく変化しています。

 日系企業の海外拠点の活動が増えており、かつ、日本からの輸出の多くが生産財、つまり企業が日々調達する財にシフトしているということは、日系企業の調達行動が変化すると、日本の輸出向け出荷にも大きな影響が発生するということになります。

 そこで、日系製造業の海外現地法人の調達行動について、平成13年度(2001年度)から最新の平成26年度までの推移を、定量的、時系列的に確認し、その変化の特徴を検証してみたいと思います。

 

 まずは、日本の国内拠点からの鉱工業出荷と日系製造業の海外拠点からの出荷を合算した「グローバル出荷指数」の動きを平成13年度から平成27年(データの制約により、年度ではなくて、暦年データ)までの動きを見てみます。

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 平成22年暦年を100とした各年度の換算値(指数)では、平成13年度にグローバル出荷指数全体で指数値91.2だったものが、平成26年度では104.1と14%以上の上昇となりました。

 しかし、グローバル出荷指数も順調に上昇していた訳ではありません。平成19年度までは一本調子の上昇で推移し、指数値113.1と最高値となりましたが、やはり平成20年度の世界的な金融危機を受けて、グローバル出荷指数も前年度比マイナス12.6%低下と大きく低下し、翌年、平成21年度においても前年度比マイナス8.2%低下と2年連続の低下でした。

 そこから、平成23年度の東日本大震災等による「一時的な低下」を挟んで回復してきてはいますが、ピークのレベルからは8%近く低い水準に留まっています。

 グローバル出荷指数が、いわゆるリーマンショック後伸び悩んでいる理由は、日本国内の拠点からの出荷である「国内出荷」指数が低迷しているからです。逆に、海外子会社の海外拠点からの出荷である「海外出荷」指数は、平成19年度の指数値105.9から平成26年度124.4へと大きく伸びており、平成24年度以降は3年連続で上昇しています。海外出荷指数は、平成13年度で69.8でしたので、この13年ほどで8割増ということになります(さらに、平成27暦年では指数値128.6)。

 リーマンショック以降、日本の内出荷が低迷する一方で、特に平成24年度以降、海外出荷が加速度的に伸びていました。

 

 

 さて、このグローバル出荷指数を用いて、日系製造業のグローバルな出荷のうち、海外拠点からの出荷割合を計算することができます。この出荷海外比率の平成26年度の値は、28.7%で過去最高となっています。10年前である平成16年度は19.5%でしたので、この期間に海外出荷量が全出荷量に占める構成比が2割から3割に増加したことになります。

 

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 同様に、海外市場向けの出荷割合を計算することができます。この海外市場比率の平成26年度の値は、40.5%でやはり過去最高となっています。平成16年度は31.1%でしたので、この10年で海外市場向け出荷量の構成比が3割から4割に増加したことになります。

 日系製造業の事業活動においては、供給・需要の両面で、グローバル化が3割、4割というレベルになっていることになります。

 

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 この供給面と需要面両方のグローバル化が進んでいることの一つの表れとして、日本の輸出向け出荷における生産財の割合の上昇が挙げられます。原材料や部品類といった製造活動に中間投入される生産財の輸出は平成22年以降高止まりの常態にあり、輸出向け出荷の過半を占めるようになっています。生産機械や家電製品、乗用車といった最終製品が輸出向け出荷に占める割合は低下しています。

 

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 需要面のグローバル化が進むと同時に最終組立工程のグローバル化が生じて、最終製品の供給面のグローバル化が進んでいるということでしょう。そのコインの裏面として、日本国内からの輸出向け出荷における生産財の割合が増加しているということになります。

 

 このような日本の製造業のグローバル化の進展とともに、海外現地法人の数などの基本的な数値が、平成13年度(2001年度)からどのように変化してきたのかを確認します。

 まず、全業種の海外現地法人数ですが、平成13年度には12,000強の法人数だったものが、平成26年度には24,000法人と、ほぼ2倍に法人数が増加しています。売上高は、平成13年度に135兆円だったものが、平成26年度には272兆円と、こちらもほぼ2倍に増加しています(ともに名目値)。

 ただし、法人数、売上高の半分は、非製造業のものであり、特に卸売業、要すれば海外販社の法人数や売上高が一定の割合を占めています(平成26年度の法人数:6,641で構成比27.7%、平成26年度の売上高:101兆円で構成比37.3%)。

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 そこで、日本の貿易や生産に及ぼす海外調達の分析をする上では、現地法人全体ではなく、製造業海外現地法人のデータだけを検討する必要がありそうです。

 製造業の海外現地法人数は、平成13年度では6,500余りでしたが、平成26年度では10,600余りと、今世紀に入って6割以上の増加を見せています。売上高については、平成13年度に64兆円だったものが、平成26年度には130兆円と倍増しています。同時に、製造業の海外現地法人の調達額も、平成13年度の44兆円から、平成26年度の85兆円へと大きく増加していました。

 

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 これらの製造業海外現地法人のデータの推移を時系列で見ていくと、平成13年度から足元までで、2つの「画期」があることが分かります。一つは、リーマンショックの発生した平成20年度、そしてもう一つは、東日本大震災の翌年である平成24年度です。

 リーマンショックが発生する前年である平成19年度までは、海外現地法人の法人数、売上高、調達額ともに「順調に」増加していました。しかし、リーマンショックによる世界的な景気後退によって、売上高も調達額も2年連続で15%前後の低下を見せました。平成21年度を「底」に、その後は、売上高、調達額ともに回復過程に入り、平成26年度では共に、平成19年度のピークの金額を超える状態になっています。

 他方、法人数は、リーマンショック前後に目立った変化はなく、それよりも東日本大震災後の平成24年度に前年度比20%という急上昇(8,684法人→10,425法人)しています。海外現地法人数については、リーマンショックよりも東日本大震災後の平成24年度が転換点に見えます。そういった目でみると、平成24年度からは、売上高、調達額の上昇角度も急角度になっているように思えます。

 

 このように、全出荷量の3割を生み出している日系製造業の海外現地法人の活動は、リーマンショックの平成20年度と東日本大震災後の平成24年度を転換点として、今世紀初頭からの10年余りの期間で、事業規模を(名目額でみて)倍増させてきていることになります。

 

 では、稿を改めて、海外現地法人の日本からの調達が、日本の貿易にとってどのような意味を持っているのかデータを簡単に確認してみようと思います。

 

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◎ミニ経済分析のページ

日系製造業の海外子会社は、どこから部品や材料を調達しており、それはどのように変化してきたのか?;海外現地法人の調達行動の定量的、時系列的把握|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

◎スライドショー 

 

 

◎最新のグローバル出荷指数についてのまとめ 

keizaikaisekiroom.hatenablog.com

 

 

◎ミニ経済分析の一覧表

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