経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

4月は、投資向けサービスの際だった上昇によって、対事業所サービスが大きく上昇。対個人サービスにおいても、小売業といくつかの娯楽関係のサービスを除くと、サービス消費が「動き」出している兆候も見える。

 平成28年4月の第3次産業活動指数は、前月比1.4%上昇と大きな上昇をみせ、指数水準も高いレベルに達しました。

 では、その第3次産業全体を対個人と対事業所に分けて集計したものをみてみます。

 平成28年4月は、広義対事業所サービスが前月比2.2%上昇と2か月連続の上昇となり、広義対個人サービスも前月比0.8%上昇と2か月ぶりに前月比上昇となりました。対個人、対事業所の両サービスが共に前月比で上昇するのは今年の1月以来です(その前は、昨年10月)。

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144221p:plain

 さらに、前年同月比をみると、昨年4月以降、継続的に前年同月水準を上回っている対事業所サービスに対し、対個人サービスについては、昨年12月以降の今年の2月を除き前年水準を下回っていましたが、4月は前年同月比0.6%のプラスとなりました。
 3月の結果では、「昨年末から今年に入って対個人サービスの水準が悪くなってきていることが明瞭になってきたように思われます。」としていましたが、その傾向は、4月には一旦途切れました。

 

 さて、4月の第3次産業総合の前月比1.4%上昇に対する寄与では、対事業所サービス(寄与1.10%ポイント)が、対個人サービス(寄与0.38%ポイント)を大きく上回っています。

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144332p:plain


 この対事業所サービスの上昇においては、投資向けサービス上昇の影響が大きくなっており、対事業所サービスの上昇寄与の多くは投資向けサービスの上昇によるものでした。

 4月の投資向けサービス指数は指数値105.9、前月比10.9%上昇と大きく上昇しています。投資向けサービス指数が、105台後半を見せるというのは、ほぼ3年前の平成25年8月の105.5まで遡ることになります。この3年弱の間は、投資向けサービスは低迷を続けていましたが、そこから目を見張るような急上昇を今年の4月はみせました。

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144409p:plain


 年度明け通常は一旦下がる各種の企業の投資的な発注、具体的には産業機械器具卸売業(前月比19.3%)、建設コンサルタント(前月比28.8%)、受注ソフトウェア(前月比5.7%)が揃って上昇しており、いわば設備投資、建設投資、情報化投資の3分野の投資に関連するサービスが揃って上昇するという珍しい月だったことになります。

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144444p:plain  翻って、対個人サービスは、前月比上昇ではありますが、対事業所サービスに比べると、4月の勢いが今一つであったことは明らかです。

 4月の対個人サービスを見ていくと、(再編集系列でみた)分野ごとの違いが目に付きます。
 まず、業種面では、小売業の低下が目に付きます。4月の小売業の内訳をみると、自動車小売業は前月比16.0%の上昇となりましたが、それ以外の小売業内訳業種は軒並み低下しており、4月の消費者の購買行動は抑制的だったようです。

 また、消費向けサービスで大きく低下しているのは、娯楽業で、前月比マイナス5.6%低下でした。

 娯楽業の内容をみると、スポーツ関係が大きく低下している(スポーツ関連産業指数は前月比マイナス14.4%低下で2か月連続)ほか、公営ギャンブルやパチンコホールの低下となっています。とはいえ、映画館や「遊園地・テーマパーク」はそれぞれ前月比で上昇となっていますので、生活をエンジョイするためのサービス消費が全般的に落ち込んでいるとは言いにくい結果です。

 というのも、観光関連産業指数は2か月ぶりに前月比0.9%上昇、「飲食店,飲食サービス業」も2か月ぶりに前月比0.1%上昇(飲食関連産業指数も2か月ぶりの前月比0.1%上昇)となっており、方向感自体はそれ程悪くありません。

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144610p:plain

 こうしてみると、4月の対個人サービスにおいては、自動車を除いた買い物需要と、スポーツ関連やギャンブル関連といった趣味性の強い娯楽サービスへの需要が減退しており、そういった分野のサービスビジネスが前月比に対する「重し」となりました。他方で、観光関連や外食関連、映画館やテーマパークといった個人サービスの分野は堅調に推移していました。

 3月の対個人サービスについて、「勢いのなかった財の面での個人消費だけではなくて、娯楽関係や飲食関係のサービス面の個人消費も芳しくないということが明瞭になってきたようです。」としていましたが、小売業の勢いが戻らないという点は4月も同様ですが、多少趣味性の高い娯楽サービスを除くと、観光、外食、娯楽といった所得環境や景気の状況などの影響を受けやすいと思われる個人のサービス消費の分野は3月とは異なる動きとなっているようです。

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144703p:plain


 ちなみに、個人の消費行動という意味では、最も大きな買い物である住宅については、4月にはウェイトの大きいマンション分譲業が水準は低いものの前月比上昇、比較的高い水準の戸建住宅売買業も前月比上昇となっていました。

 

 対事業所、対個人でサービスビジネスを分けて見ると、投資向けサービスの際だった上昇によって、対事業所サービスが大きく上昇しており、対個人サービスとは異なった動きとなっていました。

 ただ、対個人サービスにおいても、小売業といくつかの娯楽関係のサービスを除くと、サービス消費が「動き」出している兆候があるようにも思える結果となりました。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160610144950p:plain

 

 

◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

 

◎図表集スライドショー 

 

 

 

◎「第3次産業活動指数についてネットで分かること」

サービス産業について知りたいあなたへ ~第3次産業活動指数についてネットで分かること~|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

◎データ公表冊子