経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年4月の第3次産業活動指数は、その30年の歴史の中でも、最も高い時期であった2006~2008年前半のレベルとなっており、ほぼ8年ぶりの高水準となりました。

 平成28年4月の第3次産業活動指数総合は,季節調整済指数104.6、前月比1.4%上昇と2か月ぶりの前月比上昇となりました。

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 この4月の指数値104.6は、非常に高水準です。機械的にみていっても、この4月の水準を上回る最近のデータは、平成26年3月です。この月は、消費増税前の駆け込み需要の月ですので、直接この月と比較することは適当でないと思います。

 さらに遡っていくと、今年の4月の指数値を超える水準が出てくるのは、平成20年5月以前となり、いわゆるリーマンショックよりも前ということになります。

 そして、そこからさらに遡ると、2年間ほど、指数水準104.6を超える状況が続きますが、それ以前は1988年の3次指数開始まで遡っても、104.6を超えることはありません。

 つまり、指数レベル104.6というのは、3次指数30年弱の歴史の中で、リーマンショック前の指数水準の最も高かった時期に近い値になっているということです。

 

 昨年11月に基調判断を「一進一退」に引き下げ、さらに同年12月以降「一進一退ながら一部に弱さがみられる」としてきた今年3月までの「上がっては下がりつつ、(大きくは)下がっている」という指数のグラフ上の動きとは大分違う水準となっています。

 
 さて、平成28年4月の第3次産業活動指数では、11大分類業種のうち、上昇業種が6業種、低下業種が5業種となっています。4月の上昇幅が大きい割には、上昇業種の数が少ないなという印象です。

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 上昇寄与6業種のうち、比較的寄与が大きいのが、上位4業種となる卸売業、事業者向け関連サービス、「金融業,保険業」、情報通信業です。

 4月の上昇業種の中で最も寄与の高い卸売業と寄与が4番目の情報通信業では、3月少し調子が悪かったことの反動増的要素がみられるものの、前年水準を上回る状態が続いているので、反動増だけではなくて、水準も悪くないと言えるかと思います。

 上昇寄与2位の事業者向け関連サービスは、2か月連続の前月比プラスであり、同時に今年に入って前年水準を上回る状態が続いており、水準的にも好調といえるかと思います。特に、事業者向け関連サービスの4月の指数値は108.1、前月比4.6%上昇と、ここ数年見ることの無かった高い水準となっています(2009年3月の108.1以来)。
 一方、「金融業,保険業」は、前年同月比が2か月連続マイナスであり、ここ2、3年伸び続けていた高水準の指数レベルからすると、「並」の水準であり、4月の前月比上昇においても、3月の落ち込みが大きかったことからの反動的(あるいは見かけ的)要素が強いと言えます。

 

 個々の業種の内訳を見てみます。

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 卸売業においては、「医薬品・化粧品等卸売業」と産業機械器具卸売業、電気機械器具卸売業の寄与が大きくなっています。4月の鉱工業出荷をみると、化粧品類の出荷や資本財の出荷が大きく伸びていました。その結果が、そのまま卸売業の伸びという結果になっています。

 事業者向け関連サービスでは、内訳業種全体を見ると前月比マイナスの業種もあるのですが、技術サービス業のうち、土木・建築サービス業が建設コンサルタント(前月比28.8%上昇)を中心に増加しています。年度明けに高い受注があったようです。

「金融業,保険業」については、3月に大きく落ち込んだ株取引売買高が多少戻ったということになりますが、ただ、その前年同月比はマイナス11.5%(流通業務)であり、昨年のレベルからするとかなり見劣りします。
 情報通信業については、ソフトウェア業、特に受注ソフトウェアの前月比上昇が目立ちます。受注ソフトウェアは3月に大きく低下しており、4月の上昇には、そこからの反動分があることは確かですが、とはいえ前年同月比で1.4%プラスですので、水準が低い訳ではありません。
 
 卸売業における機械類の卸売業、土木・建築サービス業における建設コンサルタント、そして受注ソフトウェアと、企業の投資活動に関連する第3次産業業種が(年度末に上昇し、年度明け4月には低下するというパターンからすると)幅広く上昇のけん引役となっていました。

 

 4月の低下業種をみると、「医療、福祉」「電気・ガス・熱供給・水道業」といった業種が低下上位とはなりますが、その寄与自体は小さく、他の低下3業種とあまり違いはありません。その中で、特徴的な動きとしては、小売業や生活娯楽関連サービスといった個人向け業種が低下していることです。

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 小売業では、自動車小売業が前月比16.0%上昇と大きく上昇しているのですが、他の内訳業種は軒並み低下しています。

 生活娯楽関連サービスは、4月の低下幅は極小さい(前月比マイナス0.1%低下)とは言え、2か月連続の低下でした。前年同月比も6か月連続で前年水準を下回っています。こと4月については、相撲(3月場所が好調だった分、場所のない4月に大きく低下)やゴルフ場(良好な天候のため2、3月とゴルフ客の出足が良かったが、4月は前年並み)の系列の低下の影響です。これらは、3月の好調からの反転低下です。ただ、生活娯楽関連サービスの他の内訳業種においては、スポーツ関連の低下(スポーツ関連産業指数は、前月比マイナス14.4%低下)を補う力強い動きを見せた系列がないということも言えるところです。

 

 以上、4月の第3次産業活動指数は、3月からの反動増的面もないわけではありませんが、卸売業、事業者向け関連サービス、情報通信業などのうち、企業の投資行動に関連するサービスがけん引役となって、大きめの前月比上昇を見せました。
 指数値も、30年の第3次産業活動指数の中でも、最も高い時期であった2006~2008年前半のレベルとなっており、ほぼ8年ぶりの高水準となりました。

 

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