経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年4月の鉱工業生産の基調は「一進一退」(3月から据え置き)。在庫調整は進んでいるが、鉱工業生産の5月、6月については、横ばい見通しという調査結果。

 平成28年4月速報の鉱工業指数と5月実施の生産予測調査についてまとめてご説明したいと思います。

 4月の鉱工業については、生産、出荷は2か月連続でともに前月比上昇でした。生産の前月比上昇幅は小幅なものでしたが、出荷の上昇幅は、3月の上昇幅が小さかったこともあり、比較的高めとはなりました。

 

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 また、生産に比べ、出荷の伸びが大きいことから、在庫指数、在庫率指数ともに前月比マイナスとなりました。在庫循環図を確認してみると、第1四半期に境界線上とは言え「(意図せざる)在庫積み上がり局面」に「逆走」していたものが、順当に在庫調整局面に戻ってきています。
 特に、輸送機械工業の在庫は前月比マイナス19.0%低下、在庫率も前月比マイナス15.7%低下で、ともに昨年4月の水準からは3割近くも低下しており、在庫圧力は大きく低下しているものと思います。

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 4月の生産については、上昇幅が小幅であったこともあり、上昇業種と低下業種の数が拮抗していると同時に、上昇業種の中でも全体の生産上昇に特に大きく寄与した業種というものがなく、上昇業種それぞれが少しずつ寄与するという結果でした。
 他方、反動減となった橋りょうによって金属製品工業が、部品工場の被災による普通乗用車と出荷も落ち込んでいる軽乗用車の生産低下によって輸送機械工業が鉱工業生産を大きく低下させていました。

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 4月の出荷については、業種的には、「はん用・生産用・業務用機械工業」や化粧品類の良かった化学工業が上昇方向に寄与している一方で、石油・石炭製品工業や、生産低下業種である金属製品工業や輸送機械工業が低下していました。

 需要先別の分類では、製造業等の事業活動の中間投入となる生産財、製品として利用される最終需要財ともに前月比上昇となりました。輸出向けの出荷も伸びていたようですが、主として国内向け出荷の伸びによって前月比プラスとなっているようです。

 最終需要財の中では、企業の設備投資に供される資本財(輸送機械を除く)の出荷が前月比で大きく伸びていました。電力用、製造設備用の財の出荷が伸びていました。また、耐久消費財も普通乗用車と小型乗用車の国内向け出荷が伸びましたが、他の耐久消費財の出荷にも、この出荷上昇の勢いが広がっていくようには見えないという結果となりました。

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 先行き見込みについては、5月の生産見込みは前月比2.2%上昇ですが、報告された回答から傾向的なバイアスを除去した補正値では、前月比0.0%の横ばいという結果です。6月の生産予測は補正なしで前月比0.3%上昇となっています。地震の関係で、今回の予測調査にご回答をいただけなかったのは1件に留まりましたので、今回の調査結果は地震の影響を含んだものです。
 いずれにせよ、5月はあまり大きな上昇は期待しにくく、6月についても計画通りであれば前年生産実績を下回る計画となっており、それほど勢いがあるとは言えません。

 これらの状況を踏まえ、4月の鉱工業生産は小幅とはいえ前月比上昇ではあるのですが、その基調判断について「一進一退」と据え置きたいと思います。

 

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 3月速報の段階では、高い在庫水準と九州の大地震という大きな二つの「重し」を懸念材料としてあげました。
 地震の鉱工業生産への影響は幸いにも限定的でしたし、在庫、特に輸送機械工業の在庫は大きく低下し、この2つの「重し」による鉱工業生産への低下圧力は杞憂となりました。とはいえ、鉱工業生産の水準感も方向感(勢い)も今一歩であり、かつ、先行きの計画もそれほど強気ということでもないという結果でした。

 

 

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