経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

4月の鉱工業出荷は前月比1.5%。普通乗用車の出荷は伸びているが、軽乗用車の出荷は大きく低下。資本財の出荷も、製造設備用や電力用で大きく出荷が伸びた。

 平成28年4月の鉱工業出荷は、季節調整済指数95.9、前月比1.5%上昇と、生産同様2か月連続の上昇となりました。

 出荷の前月比伸び幅は、生産に比べると大きく見えますが、3月の戻り幅が生産に比べて小さかったことから、4月の伸びが大きくなっているという面があります。そのため、今年2月からの戻りという意味では、生産は4%程の回復となりますが、出荷はまだ3.3%程の回復に留まっています。

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 鉱工業出荷指数の動きを3か月移動平均でみると、昨年末から5か月連続マイナスです。
 出荷の前年同月比は、マイナス3.6%低下となっており、これで昨年の12月から5か月連続で前年水準を下回っている状態で、出荷の勢い自体は強いとは言えません。

 4月の鉱工業出荷では、国内向け、輸出向けともに2か月連続上昇している模様です。3月と同様に、国内向け出荷の上昇寄与が大きく、輸出は今年1月に高い水準を見せた後、あまり水準は高くない状態が続いています。

 

 平成28年4月の鉱工業出荷では、速報15業種中11業種で上昇、4業種で低下でした。4月の出荷はある程度の伸び幅を見せましたので、出荷が伸びている業種が多くなっています。
 その中で、特に上昇寄与が高かったのが、はん用・生産用・業務用機械工業と化学工業です。はん用・生産用・業務用機械工業については、水管ボイラやタービンといったエネルギー関係の設備類や掘削機の出荷が出ていました。

 化学工業については、やはり化粧品類の(国内向け)出荷が良かったようです。出荷では、この2業種の上昇寄与が他の9業種よりも大きくなっています。

 生産が特に大きく伸びていない一方で、この2業種の出荷が伸びたので、この2業種の在庫の低下が目立っています。ただし、在庫の低下に最も寄与した個別品目は、普通乗用車でした。

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 他方、出荷低下業種でいうと、石油・石炭製品工業の低下寄与が最も大きくなっています。ガソリン、軽油は輸出が低下しており、灯油は北海道の寒波の影響で3月の出荷水準が高くなっていたことと、4月の気温が高かった影響で前月比低下したものと思われます。それ以外では、生産低下業種である輸送機械工業、金属製品工業の出荷が低下していました。

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 ただ、輸送機械工業の出荷低下の内容をよく見てみると、生産低下とは大分違った点があります。
 輸送機械工業の出荷低下の最も大きな要因は、鋼船の出荷低下であり、これは年度末の3月に大きく出荷されたことからの反動減です。その次に、出荷を押し下げていたのが軽乗用車です。
 実は、普通乗用車の出荷は、4月は前月比6.5%上昇しており、品目単位では最も出荷を引き上げていました。しかし、軽乗用車の出荷は、前月比マイナス23.5%低下と極端に低下し、この普通乗用車の出荷増を打ち消してしまいました。軽乗用車の生産、出荷は、前年水準から3割近い低下となっており、生産出荷が縮小均衡している状態です(そのため、在庫も低下)。

 乗用車については、車種別に、生産減/出荷増で在庫を低下させている普通乗用車、生産減/出荷減で在庫を低下させている軽乗用車と明暗がはっきりしてきています。

 

 さらに、この鉱工業出荷を需要先別の分類である財別分類で見てみると、企業が事業活動の原料や部品として利用する生産財の出荷が前月比1.4%上昇、最終需要財の出荷が前月比1.6%上昇でした。生産財、最終需要財ともに、2か月連続の出荷上昇ということになります。

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 特に、財別分類で見たときに、出荷のけん引役となったのは、資本財でした。

 鋼船の出荷が大きく低下した輸送機械を除いた資本財の出荷は比較的高い伸び率である前月比6.0%上昇となりました。指数値も112.3と、高い水準となった今年の1月と同じ値となっており、昨年平均に回復しています。

 この資本財のうち、どのような分野の出荷が伸びていたかというと、電力用、そして製造設備用が伸びていました。また、輸出向けでは、土木建設機械が米国向け、欧州向けで3月よりも増加していたようです。

 企業の設備投資額に対して機械設計業(基本設計)の売上げが2四半期ほど先行して動くということが分かっていますが、第3次産業活動指数の機械設計業の指数の動きを見ると、昨年2015年第2四半期にリーマンショック後はじめて指数値で120台となり、その後も前期比上昇を続けています。そろそろ設備投資の進捗が計画から実際の設備取得段階に来ても良い頃かと思われます。

 また、この機械設計業の指数値は、今年の第1四半期に132.0という値となっていますので、設備投資、そして資本財の国内出荷については、好材料と言えるかも知れません。

 

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 4月の財別出荷のうち、最終需要財の中では、耐久消費財の出荷も3か月ぶりに前月比4.7%と上昇に転じました。指数値も今年の2、3月と80を割り込んでいたものから、81.8と昨年の低いレベルの水準には回復してきました。この4月の耐久消費財の回復は、普通乗用車、小型乗用車の出荷増によるものです。

 それ以外の用途については、家事用で、炊飯器等の小物家電が増加している以外は、前月比低下となっていました。4月の小売業販売額をみても、自動車小売業は前月比15.8%上昇と急増している一方、機械器具小売業は前月比マイナス3.7%低下となっていました。家計の耐久消費財需要の増加は、普通乗用車と小型乗用車以外には広がりに欠ける結果となっています。

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 4月の鉱工業出荷については、比較的大きめの前月比上昇幅をみせ、業種的に幅広い業種で、出荷が前月比上昇となりました。輸出向け出荷も増加していますが、国内向け出荷の回復が良かったようです。

 鉱工業生産の回復とともに生産財の出荷も増加し、また、4月は製造設備用や電力用の資本財の出荷増が顕著でした。資本財出荷については、先行指標である機械設計業の活動が活発で、先行きを期待したいところです。

 家計消費については、普通乗用車と小型乗用車が伸びたことにより、耐久消費財の出荷も前月比で上昇しましたが、逆に増加しているのは「そこ」だけという面があり、広がりに欠けているところは残念です。

 

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