経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

3月の生産能力指数は、2008年以降では、最低値に低下。この生産能力のレベルは、ほぼ30年ぶりの低水準

 平成28年3月の生産能力指数は94.8で、前月比マイナス0.1%低下、前年同月比マイナス0.8%低下となりました。この生産能力指数の値94.8は、平成22年の平均水準を100とした現行基準指数では、最低値となります。今年の1月にこの最低値を記録した後、2月には一旦上昇しましたが、3月には、再び生産能力は低下し、最低値に並びました。

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 この現行基準で最低値の生産能力指数94.8が、歴史的に見たときにどの程度の水準になっているかというと、昭和61年(1986年)1月まで遡ることになります。ほぼ30年前の水準ということになります。よく「失われた20年」という言い方がありますが、こと日本製造工業の生産能力の面では「失われた30年」ということになります。

 生産能力指数の前年同月比をみると、昨年8月から今年の3月まで、8か月連続で前年同月比マイナスという状態が続いています。昨年4月に55か月ぶりに前年同月比プラスに変化したものの、結局4か月しか続かず、再び生産能力が前年水準を下回る状態になってしまいました。

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 平成28年3月の生産能力は前月比低下ですが、全14業種のうち、低下業種は、化学工業と電気機械工業の2業種でした。他方、上昇業種3業種で、他の9業種が横ばい業種でした。総体的には、動きの少ない月でした。

 3月の生産能力指数を機械工業と非機械工業(製造工業 除.機械工業)に分けてみると、機械工業の生産能力は前月比横ばい、前年同月比はマイナス0.4%低下で、ここ3か月は前年水準を下回る状態が続いています。非機械工業の生産能力の前月比はマイナス0.1%低下、前年同月比はマイナス1.4%低下となりました。

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 素材型工業を中心とする非機械工業では、引き続き構造的な設備過剰の解消のために計画的に設備廃棄が続いており、非機械工業の生産能力指数は、3月までで90か月連続、つまり7年半以上に渡って、前年水準を下回り続けています。前月比についても、平成26年3月以降、プラスとなったことがありません。

 機械工業においては、需要がある一部品目においては、その需要動向に合わせて設備増強という報告も、時折あり、前月比で生産能力を増加させる月もあります。

 例えば、3月は前月比低下となった電気機械工業でも、昨年10月と今年2月に比較的大きめの生産能力増強があり、他の業種の生産能力指数が軒並み100を下回っている中で、3月の指数値が102.4と、比較的高い水準となっています(この外、生産能力指数が100を上回っているのは、電子部品・デバイス工業の103.1)。

 ただ、電気機械工業の生産能力が伸びた月の結果においても、それぞれ限定された品目において、大きく生産能力を増やした結果に留まり、生産能力増強の動きに横の広がりがありませんでした。そのため、機械工業の能力増強があっても、非機械工業の能力をカバー仕切るほどの力強さはありません。

 

 3月の輸送機械を除く資本財の総供給指数は、指数値111.4、前月比2.1%上昇と前月比で増加しています。輸入品供給は前月比マイナス8.6%低下、国産品供給は前月比3.8%上昇と、国産品の資本財の国内向け出荷が、前月比では増加していました。

 しかし、輸送機械を除く資本財の国産品供給の指数値は、3月105.7で、昨年1年間の同指数がほぼ毎月110の水準を超えていたことからすると、今年に入って、資本財の国内需要が低下していることは否めないところかと思います。

 

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