経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

熊本県の3月分の鉱工業指数を暫定的に試算し、そこから平成28年熊本地震による熊本県所在の鉱工業事業所の稼働停止分が、日本全体の鉱工業生産に占めるインパクトを試算してみました。

 4月14日から引き続いている「平成28年(2016年)熊本地震」により被災された皆様に、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 さて、しかるべき時期には、熊本県庁から正式に公表されるとは思いますが、熊本地震が4月以降の鉱工業生産指数に及ぼす影響を検討するため、経済解析室で独自に熊本県の鉱工業指数3月分を試算してみました。

 

 この経済解析室独自の試算値と熊本県庁の公表している指数の前月比を比較すると、基本的に上昇、低下の方向は一致していますので、前月比変動幅まで精確には再現できませんが、前月比の変化方向は、試算値によって、ある程度確認できると思われます。
 この試算では、3月の季節調整済指数は前月比で大きめの上昇を見せる見込みです。また、この試算を業種別にみると、電子部品・デバイス工業、はん用・生産用・業務用機械工業は前月比上昇しています。熊本県の鉱工業指数を計算する際に使用する業種ごとの重みであるウェイトでは、日本全体のものに比べて電子部品・デバイス工業のウェイトが大きくなっています。3月の熊本県の鉱工業生産の前月比上昇は、そのウェイトの大きい電子部品・デバイス工業の寄与によるものかと思われます。

 あくまで、「この試算では」ということではありますが、3月の熊本県の鉱工業生産では、全国の生産指数とは異なり、輸送機械工業の生産が前月比月で低下していた可能性があるようです。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160510135043p:plain

 さて、この3月の熊本県鉱工業生産指数の試算値を前提に、「平成28年熊本地震」によって熊本県内の製造業事業所の稼働が停止したことによる生産量の減少が、全国の鉱工業指数との対比で、どの程度の量に相当するのかを検討してみました。
 つまり、3月の熊本県の生産量が減少した場合に、その減少分が全国の鉱工業生産に占める割合を計算してみたということです。これは、熊本県以外の地域の鉱工業生産への影響は考慮していない、直接的な影響分だけを計算したものです。

 大きな地震が発生したのが4月14日から16日にかけてであったことから、月の後半の熊本県内の製造業事業所の活動が半月間停止したという条件、すなわち減少率を50%として計算すると、全国の鉱工業生産の0.8%分に相当する生産減少が生じたという計算になります。

 この0.8%低下をどう評価すれば良いかというと、4月初旬に実施した製造工業予測調査の結果を補正した4月の鉱工業生産の前月比見込みが、丁度3月の全国の鉱工業生産量に対して0.8%上昇するというものでした(この調査時点は4月初旬なので、地震発生前に調査されたものの結果です)。熊本県の半月分の生産停止は、この4月生産の前月比見込みを相殺してしまうほどの影響度ということになります。

 熊本県には一定の工業集積があり、この集積における生産減少が日本全体の鉱工業生産に占める割合(直接的影響)にも大きなものがあります。

f:id:keizaikaisekiroom:20160510135134p:plain

熊本県鉱工業生産指数の今回の試算方法

f:id:keizaikaisekiroom:20160510135222p:plain

 この直接的な影響は、あまり前月比で大きな上昇が見込まれていなかった平成28年4月というタイミングでは全国の指数値との対比で無視出来ない影響度を持っています。それとともに、熊本県で製造される部品類のサプライチェーンへの供給が滞ることによる間接的影響も懸念されています。

 熊本県の製造出荷額が、全国の出荷額に占める割合については、特に電子部品類において高くなっていました。また、その県外販売割合が高いこと、販売先の業種も幅広いことから、熊本県における電子部品類の生産が大きく減少し、代替が上手くいっていなのならば、そのことによって、4月以降の鉱工業指数にどのような影響を受けることになるのか、その結果を注視していこうと思います。

 

f:id:keizaikaisekiroom:20160510135027p:plain

 

◎スライドシェア