経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

熊本県で生産される自動車部品の6割は県内で利用されている。一方、電子部品は県外への販売が多く、また、販売先業種も多岐にわたっていることから、平成28年熊本地震が県外の電子部品サプライチェーンに影響することも懸念される。

 4月14日から引き続いている「平成28年(2016年)熊本地震」により被災された皆様に、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 さて、この「平成28年(2016年)熊本地震」によって、熊本県の製造業事業所の操業や稼働が低下したことの影響について、手元にある限られたデータから検討してみることとしました。
 具体的には、ここでは、熊本県で生産された製品が県内と県外にどのように流通しているかを確認してみました。データの出所は、「平成23年商品流通調査」です(公表している地域別集計ではなくて、県別の再集計を行っています)。

 

平成23年商品流通調査|商品流通調査|経済産業省

 

 熊本県の生産では、やはり生産財の構成比が高くなっており、この生産財の多くは、熊本県を含む九州地域と関東地域で消費されているようです。

 さらに、その生産財の中では、電子部品と自動車部品について見てみました。

 熊本県で生産された電子部品の50%は、他の電子部品(半導体素子・集積回路)向けに流通してはいますが、機械関係の販売先の割合も高くなっています。自動車部品については、その他の自動車向け(乗用車以外のトラックなどや二輪車)や自動車部品・同付属品向けが多く、直接、乗用車生産に向けに流通している割合は低くなっています。

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 また、これらの電子部品や自動車部品の消費地域を確認してみます。
 電子部品類については、九州、特に福岡県に流通している割合が高いのですが、それでも九州地域に流通する部分が3割程度で、その他は全国に販売されています。
 自動車部品は少し様相が異なり、九州向けの販売が7割で、そのほとんどが熊本県内に販売されていました。熊本県内で利用される割合が高く、県外への流通では、やはり愛知県向けの販売が多くなっていますが、それでも2割には到達していません。

 

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 そこで、販売先である愛知県側から熊本県からの自動車部品の購入をみると、愛知県内で利用される自動車部品の0.1%を占めるという結果になっています。愛知県でも、自動車部品については、県内で調達する割合が高いようです。

 

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 このようにみてくると、熊本県内で生産される部品供給量が低下することによる熊本県以外の地域の鉱工業生産への影響(間接的影響)については、自動車部品と電子部品とで異なる可能性があるように思われます。
 自動車部品は、熊本県内で利用される割合が高いので、熊本県外への間接的影響は相対的に小さくなる可能性があります。
 一方、電子部品については、もともと熊本県からの出荷額が全国に占める比率が高い(電子部品類で2.38%、自動車部品で0.39%)上に、熊本県内での利用は1割以下であり、九州他県を含む全国で利用されています。よって、電子部品についても、県外のサプライチェーンへの影響も懸念されます。

 

 

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