経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

3月鉱工業生産の基調判断については、「一進一退」で据え置き。新年度は、「在庫」と「地震」という重荷を背負って始まることとなりました。

 平成28年3月の鉱工業については、生産、出荷は前月比で2か月ぶりに上昇しましたが、その上昇幅は2月の落ち込みからすると、物足りない結果となり、1月の水準には及ばない結果となりました。レベル的には、生産、出荷ともに、昨年1年間の最低レベルに落ち込んだままです。特に、出荷のレベルは低く、2月から回復しているとは言え、昨年の最低水準94.9を下回っています。

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 このため、鉱工業生産、出荷ともに、今年の第1四半期は前期比マイナスとなり、前年同期比も、消費増税後7期連続でマイナスが続いています。

 

 また、生産に比べ、出荷の回復が弱い事から、3月末の在庫指数、在庫率指数がともに3か月ぶりに前月比上昇に転じています。

 第1四半期の在庫循環図を確認してみると、昨年第4四半期に在庫調整局面入りしたものの、今年の第1四半期には、境界線上ぎりぎりではありますが、再び「意図せざる在庫上昇局面」に戻ってしまいました。この在庫上昇は、輸送機械工業、特に普通乗用車と「はん用・生産用・業務用機械工業」、特に建機類によるものでした。

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 3月の生産上昇は主に輸送機械工業、特に普通乗用車によるものでした。

 一方、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業の3つを合計した広義の電気機械工業の生産の回復は弱く、前月比0.4%上昇とほぼ横ばいという状態です。その中でも、情報通信機械工業は2月の上昇から反転低下となっています。この広義の電気機械工業と輸送機械工業のウェイトがほぼ同じで、それに次ぐのが、3月は前月比上昇の「はん用・生産用・業務用機械工業」でしたので、主要な機械工業の中で、広義の電気機械工業が鉱工業全体の2月からの反動増の勢いを鈍らせました。

 

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 また、業種別の出荷では、生産同様に、輸送機械工業、「はん用・生産用・業務用機械工業」、金属製品工業の上昇寄与が大きいのですが、輸送機械工業の寄与が他の2業種より少し多い程度に留まっています。これは、生産上昇寄与品目1位の普通乗用車の出荷が、実は前月比マイナスだったからです。

 需要先別の出荷を見ると、生産財は鉱工業生産の増加により、資本財は2月低下からの反動増(輸送機械を除く資本財の国内向け出荷は▲9.3%→2.8%上昇、輸出向け出荷も▲6.4%→1.1%。「反動」というには些か弱い面もあるが)で、建設財は今年に入っての建設活動の活発化により、出荷が増加していました。ただ、耐久消費財、非耐久消費財ともに出荷が前月比低下となっており、特に、個人向けの耐久消費財出荷は、2か月連続の低下となっており、勢いが弱いです。

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 先行き見込みについては、4月の生産見込みは前月比2.6%上昇見込み、5月の生産予測は前月比▲2.3%低下となっています。ただし、これらの結果には、4月14日以降に発生した九州の大地震の影響は反映されていません。

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 4月見込みについて、傾向的な予測誤りを補正した値を試算してみると、最も可能性の高い前月比は0.8%上昇という計算結果になっています。今回の大地震の4月の生産に及ぼす影響を現段階で推し量ることは難しいところではありますが、仮に3月の熊本県所在事業所の生産量の半分に相当する量の生産が4月後半になされなかったとすると、4月の鉱工業生産を相当引き下げることになります(3月稼働半減で、日本全体の鉱工業生産を▲0.8%程低下させる計算で、丁度、補正された見込み値に相当する分がマイナスになる)。場合によっては、この0.8%上昇分が消えてしまっているかもしれません。

 これらの情報を加味すると、4月の鉱工業生産が前月比マイナスになる可能性は、結構あると言わざるを得ません。

 5月予測の前月比については、4月の生産実績の低下度合いとそこからの復旧や生産リカバーの度合いという、二重三重の不確定要素があるので判断は難しいところですが、4月当初の段階で、輸送機械工業が大きく生産を下げる計画になっているということからして、余り大きな上昇は見込めないのではないかと思います。

 

 これらを踏まえ、3月の鉱工業生産の前月比は上昇していますが、その基調については「一進一退」と据え置きたいと思います。

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 平成28年度最初の4月は、高い在庫水準と九州の大地震という大きな二つの「重荷」を抱えての新年度の出発ということになりました。

 

 

◎結果概要のページ

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 ◎図表集

 ※図表集のページ

鉱工業指数参考図表集(平成28年3月速報)

 

 

◎鉱工業指数 しくみと見方-入門スライド

 

◎データ公表冊子