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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

4月の生産見込みを補正すると、可能性の高い値は、前月比0.8%上昇。しかし、ここに「平成28年熊本地震」の影響を加味すると、前月比マイナスとなる可能性がかなり高い。5月の見込みについては、4月当初の計画では、前月比マイナス。

 今年4月の予測調査の結果ですが、4月生産見込みの前月比は2.6%上昇が見込まれています。

 傾向的な予測誤差分を除外する加工をした伸び率を試算した結果では、最も可能性の高い4月の前月比は0.8%の上昇と計算されています。可能性が一定以上認められる範囲での最小の伸び率が▲0.2%低下、最大の伸び率が1.8%上昇であり、場合によっては前月比マイナスの可能性があるという結果です。

 

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 ※補正値の資料PDFは、こちら。

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/reference/rev_forecast.pdf

 

 ただし、生産予測調査は毎月初旬を調査期日として、九州の大地震、特に本震とされる16日の大きな地震の前の15日には大部分の調査票は回収されておりました。よって、この4月の予測調査の結果に、今回の地震の影響は反映されておりません。

 九州の地震の影響、特に熊本県の鉱工業生産の低下の影響は、なかなか推し量り難い所はあります。平成26年の工業統計でみると、熊本県の製造品出荷額が全国に占める割合は0.8%程ですが、付加価値額でみると若干上昇して0.9%程になります。製品出荷の中では、輸送用機械器具の割合が高くなっています。それに次ぐのが、食料品、「電子部品・デバイス・電子回路」の順になっています。

 

 4月の生産見込みが前月比2.6%上昇、最も可能性の高い補正値が0.8%上昇ですから、熊本県の所在事業所の生産量がなくなると、その被災状況によっては、4月の鉱工業生産の伸び率はマイナスになる可能性が、かなりあります。

 また、熊本県内の事業所の減産分だけではなくて、サプライチェーンの寸断による他地域の生産に及ぼす間接的な効果まで計算に入れると相当な確率で、4月の鉱工業生産は前月比マイナスになってしまうものと思います。

 

 この前提で、地震の影響が加味されていないものの、今回の調査結果について検討しますと、4月生産見込みでは、上昇9業種、低下2業種です。

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 この上昇に最も寄与しているのは、やはり輸送機械工業で、4月前月比9.6%上昇見込みです。2月の計画減産分が3月でも挽回しきれない分を、当初計画では、4月に挽回するという計画だったようです。

 通常であれば、輸送機械工業の生産計画は、それ程ぶれませんが、4月については、九州の地震の影響が被災事業所の直接的な生産低下分とサプライチェーンが寸断された事による間接的な生産低下分がどの程度のマイナスの影響で留まるかということになります。

 

 この次に4月の上昇寄与が大きいのは、電子部品・デバイス工業で、4月見込みが前月比6.2%となっています。とは言え、その水準は昨年4月の実績水準からは、1割以上低い水準となっており、やはり高い水準とは言えません。

 

 5月予測については、2か月先となると不確定要素が大きいので、傾向的な誤差の除去は行っておりません。調査結果そのままで伸び率を計算すると、5月の生産は前月比▲2.3%低下となります。

 5月では、6業種が生産低下計画、5業種が生産上昇計画となっており、上昇低下が半ばする状況となっています。

 このうち、5月の生産計画を最も低下させているのは、輸送機械工業です。輸送機械工業の5月の生産計画は、前月比▲12.4%低下と非常に大きく低下することになっていますが、4月の見込み値の水準が高いので、その水準は2月の生産水準を下回るほどではありません。なお、この計画には、当然地震の影響は反映されていないので、判断の難しいところです。

 そのほか、電気機械工業や化学工業の5月計画の低下寄与が大きくなっていますが、その影響度合いは輸送機械工業に比べると微々たるものです。

 

 結局、4月、5月の製造業の生産動向については、輸送機械工業、特に乗用車生産の動向によるところが大きく、4月の九州の大地震の影響がどれ位出るのか、そして、そこからの復旧具合あるいは生産減少のリカバーのための増産が、5月の生産をどれ位上昇させるのか、来月実施の5月の予測調査の結果を見極める必要があるかと思います。

 ただ、いずれにせよ、地震の影響を除いても、4月の生産の勢いは余り強くはなく、熊本県所在事業所の被災状況によっては、4月の鉱工業生産は全国ベースでもマイナスになる公算が大きいと思われます。

 

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◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

 ◎図表集

 ※図表集のページ

鉱工業指数参考図表集(平成28年3月速報)

 

 

◎鉱工業指数 しくみと見方-入門スライド