経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

平成28年3月の鉱工業生産は前月比3.6%上昇、出荷は前月比1.4%上昇。この結果、在庫水準が上昇し、在庫循環の進展が芳しくありませんでした。

 平成28年3月の「生産」は,季節調整済指数96.6,前月比3.6%上昇と2か月ぶりの前月比上昇となりました。3月初旬時点での見込みと生産実績とのズレ(予測実現率)はプラス1.7%と、実績の方が若干多かったようです。個別業種でみると、それぞれ予測誤りの上下動はあったようですが、全体では、少し多めの当初計画に近い生産がなされたということのようです。
 とはいえ、今年に入って、1月は前月比2.5%上昇、2月は前月比▲5.2%低下と大きく上下動しており、結局は3月の鉱工業生産水準は、2月の低下幅を回復できず、1月のレベルからは相当落ち込んでいます。

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 注目された輸送機械工業ですが、3月の生産は前月比8.8%上昇でした。3月見込みと実績のズレは▲0.2%なので、当初見込みに少し及ばない生産だったことになり、2月の前月比▲8.8%低下をそれなりにカバーしています。

 他方、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業の電子・電気工業の3業種の勢いが全体的に悪く、鉱工業生産の足を引っ張っています。電子・電気工業3業種の合計の2月の前月比▲10.1%低下に対し、3月の上昇幅は前月比0.4%上昇に留まりほぼ横ばいと言って良いかと思います。この電子・電気工業3業種のウェイトと輸送機械工業のウェイトあはほぼ同じで、鉱工業生産の各々2割を占めています。この電子・電気工業3業種の3月の伸び悩みが、鉱工業生産全体の伸び悩みにつながっています。

 3月の指数値を昨年12か月の指数値と比較すると、3月よりも指数値が低かったのは、昨年の12月の95.9の1回だけでした。平成27年の水準と比較して、低い水準と言わざるを得ません。

 この3月の結果により、平成28年第1四半期の鉱工業生産指数は96.0となり、前期比▲1.1%低下となりました。昨年第4四半期に3四半期ぶりに辛うじて前期比プラスとなっていたものの、再び前期比低下となりました。
 さらに、平成27年度については、2年連続の前年度比マイナスの前年度比▲1.0%低下です。平成26年度の前年度比は▲0.5%低下でしたので、低下幅が拡大しています。

 四半期単位で見て、前年同期水準を下回る状態が続いており、なかなか反転の兆しが見えてこない状態です。

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 3月の「出荷」は、季節調整済指数94.1、前月比1.4%上昇と、生産同様2か月ぶりの上昇となりました。指数の水準としては、昨年中で最も水準の低かった12月のレベルを下回っています。2月の極端な落ち込みから回復しているとは言え、その上昇幅、レベルともに不十分と言わざるを得ません。また、生産の回復度合いに比べると、出荷の戻り幅が相対的に弱くなっています。
 第1四半期の出荷も前期比▲2.1%低下で、前年同期比も大きくマイナスの▲2.6%低下となりました。平成27年度も生産同様、2年連続の前年度比マイナスの▲1.2%低下(平成26年度▲1.2%)であり、出荷の勢いも良くない年度でした。

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 3月の「在庫」については、季節調整済指数115.3、前月比2.8%上昇と3か月ぶりに急増しています。昨年1年間で在庫が最も高くなったのは、6月の113.9であり、114を超えていませんでした。しかし、今年の3月末の在庫水準は115.3と昨年1年間の最高値をだいぶ上回っています。
 3月の在庫率指数も118.5、前月比3.5%上昇と3か月ぶりの上昇で、こちらも昨年度の平均在庫率指数が115.0であったことからすると、かなり大きく上昇してしまっています。

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 2月は、生産の抑制の割には、出荷の落ち込みが小さかったので、「在庫調整に進捗が見られた」と評価していましたが、結局、今年の第1四半期の在庫循環の状況は、境界線上ではありますが、「在庫調整局面」から「意図せざる在庫積み上がり局面」に戻っています。

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 3月末の在庫は、輸送機械工業や「はん用・生産用・業務用機械工業」、電気機械工業といった業種で上昇していますが、個別品目でいうと普通乗用車の在庫上昇への寄与が大きくなっています。
 実は、普通乗用車の生産は、当然3月に前月比13.9%上昇しているのですが、出荷は前月比▲2.6%と低下しており、そのため在庫が前月比29.5%と急上昇しています。計画減産で2月の在庫が大きく低下していたことも確かではありますが、前年同月水準と比べてもその水準が高くなっているので、3月にやはり在庫が増加していることも確かです(2月の水準が引くことによる見かけ上の前月比上昇ではないという意味)。
 また、「はん用・生産用・業務用機械工業」の建機類の在庫水準が引き続き高止まりしており、3月末の在庫を引き上げる要因となっています。
 年度末を挟んで、在庫水準も在庫率も3か月ぶりに前月比上昇となり、水準も昨年のレベルからすると高くなってしまっています。これらが今後の鉱工業生産の「重し」になるかもしれません。

 

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◎結果概要のページ

www.meti.go.jp

 

 ◎図表集

 ※図表集のページ

鉱工業指数参考図表集(平成28年3月速報)

 

 

◎鉱工業指数 しくみと見方-入門スライド