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経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

(経済解析室メルマガ)国内向け、輸出向けともに2か月ぶりの低下となった2月の鉱工業出荷。生産財の東アジア向け出荷が大きく低下。

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 平成28年2月の鉱工業出荷確報値は92.8、前月比▲4.1%と2か月ぶりの前月比低下となりました。この鉱工業出荷指数と貿易統計を再編集して、国内拠点から出荷されたものが国内と輸出のどちらに向けられているかを示す「鉱工業出荷内訳表」を作成しています。

 平成28年2月の輸出向け出荷は、指数値95.1、前月比▲5.6%低下で、国内向け出荷は、指数値92.2、前月比▲3.0%低下となり、輸出向け出荷、国内向け出荷ともに2か月ぶりの前月比低下となりました。

 国内向け出荷は、昨年1年間、かろうじて指数値95台を維持していました が、2月は普通乗用車の計画減産の影響が大きく、一気に92.2まで低下しました。この92.2という指数値は、平成24年11月の「景気の谷」の指数値 より低いものであり、この値以下は、結局、平成23年の東日本大震災後の3か月間、そしてリーマンショック後の平成21年1月から9月にのみ表れるもので あり、相当低い水準になります。

 一方、輸出向け出荷は、昨年第3四半期までは堅調な推移でしたが、第4四半期は前 期比▲2.1%低下で、99台の指数値から97台に低下しました。今年の1月は一時的に上昇したものの、2月には95.1と、昨年の最低値である12月の 95.7を下回ってしまいました。昨年2月の季節調整済指数値が99.8ですので、相当な開きが生じてしまいました。

 

 今年2月は国内向け出荷、輸出向け出荷とも低下となりましたが、両者の低下に大きく寄与した業種は電子部品・デバイス工業と輸送機械工業でした。

 電子部品・デバイス工業の国内向け出荷は、前月比で低下したとは言え、過 去2年の平均水準と比較して、2月はそれなりの水準にあります。一方、輸出向け出荷は、平成26年が96.7、27年が98.0であったのに対して2月は 82.2であり、2月の電子部品・デバイス工業の輸出向け出荷の水準は大きく落ち込んでいます。

 他方、輸送機械工業の国内向け出荷は、平成26年100.4、平成27年96.7に対し、この2月は91.2と大きく下がっていますが、輸出向け出荷では、平成26年97.5、平成27年97.2に対し、2月も96.2ですので、それ程低下はしていません。

 このように、今年の2月は、海外が不振で輸出向けが低下した電子部品・デバイス工業と、海外は堅調ですが、計画減産などから国内向けが低下した輸送機械工業と、対照的な動きとなりました。

 

 次に輸出向け出荷の仕向け先別の結果を見てみます。

 2月の輸出向け出荷前月比▲5.6%低下に対して、東アジア向け、特に中国向けの 低下が大きく寄与しています。いわゆる旧正月の影響で、アジア各所で工場等が休暇に入ったことがその要因です。他方、米国向けも前月比▲3.9%低下、欧 州向けも同▲2.3%低下と振るわず、主要地域で好調だった仕向け先はなく、全体的に2月は低調だったことになります。

 2月の輸出向け出荷は、前月比▲5.8%低下となりましたが、最終需要財 もさることながら、生産財の低下が大きく影響しました。実は、主要地域別で生産財の出荷が低下しているのは、東アジア向け(中国、台湾、韓国)のみであ り、特に中国向けの低下が著しく、2月の中国向け生産財出荷の指数値は80を割り込んでしまいました。これは2009年3月まで遡ることになります。 2009年3月頃といえば、リーマンショック後の世界的な景気低迷の影響で日本の鉱工業生産活動等が最低水準に落ち込んでいた時期であり、中国向けの出荷 は、そのころの水準に落ち込んだことになります。

 翻って、中国を含む東アジア向けの2月の生産財の出荷は、基準年である2010年 平均値からみて2割ほども低下しており、台湾向け、韓国向けも基準年を大きく下回っています。旧正月休暇の影響が集中的に出てくる地域であるとはいえ、指 数値の低調さが目を引きます。

 実は、東アジア向けの生産財出荷が基準年の水準を上回るのは、旧正月前の電子部品・デバイス工業の駆け込み出荷で急増した 2015年1月を除くと、2011年2月、つまり東日本大震災の前まで遡ることになります。この期間、生産財の生産拠点が、日本から東アジアに移転して いったことも確かではありますが、日本からの東アジア向けの生産財出荷の動きをみると、「世界の組立工場」という東アジアの位置づけが多少変わってきてい るのかとも思える結果となっています。

 

◎結果概要のページ

集計結果又は推計結果|鉱工業出荷内訳表、鉱工業総供給表|経済産業省

 

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