経済解析室

第3次産業活動指数、鉱工業指数などを使って、経済産業の「今」について考えていきたいと思います。

計画と実績のかい離幅である「実現率」の大部分は、実は「パターン化された成分」に基づくものであり、このかい離は除去可能であることが判明している

 経済解析室では、毎月の鉱工業の生産実績とは別に、ある月とその翌月の生産計画について、月初め時点で調査し、その報告結果を指数化している「製造工業生産予測指数」を公表しています。この指標は、過去の生産実績ではなく、将来の計画、見込みや予測を定量的に調査しているもので、なかなか世界的にも例のない指標であると自負しています。

 例えば、平成28年4月初旬の時点で最新の調査結果は、3月調査分による3月見込みと4月予測となります。それぞれ、3月の製造業の生産量は前月比3.9%上昇、4月の生産量は5.3%上昇が予測されています。

 

◎鉱工業指数 しくみと見方(スライド)

 

◎鉱工業指数 しくみと見方(詳細版)(25ページが生産予測指数)

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/pdf/b2010_mechanism_iipj.pdf

 

 

 さて、この予測指数で、生産計画と実際に生産された実績を比較すると、計画に対して、実績が一定の傾向やパターンでかい離している事が分かります。多くの場合、計画が実績を上回っている、つまり、実績が計画を下回っています。

 では、結局のところ、この予測調査から集計される予測指数は、日本の製造業の生産実績を予見できているのかどうか疑問をもたれることとなるでしょう。そこで、今回の「ミニ経済分析」では、この生産予測調査の「かい離」の中身を検証し、予測調査の結果が将来の生産量をどの程度予見しているのかを改めて確認してみることにしました。

 

 まず、生産予測調査の結果として導かれる各種の指標を御案内します。

 生産予測指数は、指数値を公表しているほか、当然、当月(調査実施月)分の見込みと翌月見込みの前月比を計算して公表しています。

 併せて、前回の調査における当月見込みから実績の生産量が、どの程度変化しているかを「実現率」として計算しています。また、前回の調査における翌月見込みから当月見込みに、どの程度変化しているかを「予測修正率」として計算しています。

 

 今回の分析では、この「実現率」を分析の対象として、時系列分析をしています。

 実下率の推移をみると、企業の生産改革には、4月には計画(当月見込み)に対しては実績が上に振れ、9月には計画に対して実績が大きく下に振れるといった季節的なパターンや、計画に対して実績が傾向的に下振れするといった特徴があることが分かります。

 

 

 この時系列で特徴的な変化を見せている「実現率」の変動パターンを抽出してみようと思います。

 予測指数を含む鉱工業指数では、季節変動パターンを除去するために季節調整を施しています。この季節調整を施すための計算では、時系列データが有している変動をいくつかの「成分」に分解して、季節変動を表す成分だけを抽出します。

 季節調整を施す計算(プログラム)では、変動成分を「趨勢循環変動成分」(傾向的・循環的なパターン)、「季節変動+曜日変動成分」(季節的なパターン)、不規則変動(想定外の事象)に分けています。

 今回の「実現率」の分析では、趨勢循環変動成分と季節変動+曜日変動成分に着目し、計画と実績のずれ、かい離に「パターン化された成分」として抽出しようと思います。

 

 

 季節調整プログラムを用いて、生産予測指数自体ではなく、実現率の変動を成分分解すると、その変動の大部分は「パターン化された成分」であったことが分かります。

 つまり、実現率については、この「パターン化された成分」を除去してしまうとほとんど変動せず0になるということです。実現率が0%となるということは、計画と実績のかい離が無くなるということです。

実現率の変動が、あらかじめ計算して除去することのできる「パターン化された成分」であるということは、この変動成分を除去することにより、より正確に計画値から実績値を推し量ることができる可能性が高いということが判明したということです。

 

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◎ミニ経済分析のページ

企業の生産計画は実績をどれくらい予見できているか ー製造工業生産予測指数の上方バイアスを補正する試みー|その他の研究・分析レポート|経済産業省

 

 

◎スライド資料

 

 

◎ミニ経済分析の一覧表

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分析の続きはこちらです。 

keizaikaisekiroom.hatenablog.com